フルEVの本命「ポルシェ タイカン ターボ&ターボ S」初試乗! そのパフォーマンスを島下泰久が試す【動画レポート】

ポルシェ タイカン ターボ&ターボ S海外試乗、ポルシェ タイカン ターボ Sの走行シーン

Porsche Taycan Turbo / Turbo S

ポルシェ タイカン ターボ / ターボ S

 

 

ポルシェ初のフルEVと待望の邂逅

 

国際試乗会のスタートはオーストリアはインスブルック。基点となったホテルのエントランス、ショー会場の人工的な光の下ではなく、初めて陽光射す中で対面したタイカンは、第一印象として全長5mを少し下回るサイズを忘れるぐらいコンパクトに見えた。

 

ポルシェ タイカン ターボ&ターボ S海外試乗、ポルシェ タイカン ターボ Sとターボの走行シーン

ポルシェ初のフルEVモデル、タイカン。今回はオーストリアにて、タイカン ターボとタイカン ターボ Sの2台をモータージャーナリストの島下泰久氏が試乗し、そのインプレッションを語る。

 

全長こそパナメーラより短いが、より幅広く、そして低いプロポーション、更にはポルシェ特有のデザイン要素を継承しながら、それこそパナメーラなどと比べてもオーガニックな印象の、美しい曲面で構成されたスタイリングがそう思わせたのだろうか。コンセプトカー、ミッションEのイメージを色濃く継承した特徴的なヘッドライト、左右を一文字に繋いだテールランプなどのディテールのサイバー感も相まって存在感は大きい。

 

意気込んで、室内へ。911ではまだアナログのまま残されていた回転計が当然備わらないことから、遂にフルデジタル化されたメーターパネルは奥行きが薄く、しかも湾曲した形状で、きわめて特徴的、未来的だ。一方で、その5連ダイヤルの表示や水平基調のダッシュボードは、明らかにポルシェらしい個性を発揮している。この歴史と先進感の融合ぶりは見事である。

 

ポルシェ タイカン ターボ&ターボ S海外試乗、ポルシェ タイカン ターボ Sのインテリア

ポルシェの伝統だった5眼アナログ式と決別し、フル液晶表示となったメーター類。そして随所に施されたタッチパネルがタイカンの先進性を物語る。

 

未来的でタッチパネルを多用したインテリア

 

とは言え、このメーターパネルに加えてダッシュ中央、助手席側、そしてセンターコンソールと至るところにタッチパネルが埋め込まれた様には、ちょっとやり過ぎ感を覚えないわけではない。機能自体が豊富なのもあり、自分の求める機能を直感的に呼び出せるようになるには相当時間がかかりそうだ。

 

それでもドライビングポジションは911と同じようにぴたりと決まり、そうやって前方を眺めればフロントスクリーンの向こうに、左右のフェンダーの峰がしっかり視界に入ってくる。この眺めはまさにポルシェ。条件反射のように期待が高まったところで、ステアリングホイール右手にある911のそれと同形状のセレクターでDレンジを選び、いよいよ路上へと滑り出た。

 

ポルシェ タイカン ターボ&ターボ S海外試乗、ポルシェ タイカン ターボ Sの走行シーン

タイカン ターボとタイカン ターボ Sの通常時の最高出力は625psと同一。ただしトルクとオーバーブースト時の出力は異なり、ターボ Sとターボを明確に区別している。

 

ジェントルだが力強い発進加速

 

ターボ、ターボ Sのいずれも、電気モーターの強大なトルクのおかげで発進は力強く、2.3トンを超える車重を意識させない。ドライバビリティの調律には細心の注意が払われたようで、いきなり背中を蹴飛ばされるほどのトルクが湧き出すわけではなく、小さいアクセル開度ではあくまでジェントルにクルマを前に進め、速度コントロールはやりやすい。

 

電気モーターやインバーターなどが発生するノイズはそれなりには聞こえてくる。アウディ e-tronよりは小さいが、メルセデス・ベンツ EQCよりは明確に耳に届くという感じだ。

 

ポルシェ タイカン ターボ&ターボ S海外試乗、ポルシェ タイカン ターボ Sの走行シーン

ポルシェ タイカンシリーズのトップパフォーマンスを誇るターボ S。オーバーブースト時の最高出力は761ps、最大トルクは1050Nmを発生し、0-100km/h加速は僅か2.8秒。

 

しなやかな足まわりが生む優れた快適性

 

優れた快適性にも感心させられた。ボディの剛性感は高く、サスペンションはストロークこそすごく長いようには感じられないが、その中でしなやかに動いて快適な乗り心地をもたらす。

 

ミシュランの20インチを履いていたターボは、タイヤの特性もあり路面の当たりがマイルド。一方、ターボSはグッドイヤーの21インチを履いていたが、こちらは標準装備のPCCBのおかげでバネ下が軽く、サスペンションの動き自体はスムーズに感じられた。甲乙つけ難いが、率直な印象では21インチのミシュランを試してみたいと感じた。

 

ポルシェ タイカン ターボ&ターボ S海外試乗、ポルシェ タイカン ターボ Sの走行シーン

足まわりは前にダブルウィッシュボーン、後ろにマルチリンクを採用。ターボ Sはブレーキディスクも巨大で、前が420mm径、後ろは410mm径を搭載する。

 

低速域でもポルシェらしさを味わえる

 

それにしても、ステアリングまわりの剛性感が高く、上々の操舵感、レスポンスを実現していることには嬉しくなった。この点ではパナメーラよりも圧倒的にポルシェらしい。絶対的な重量があるため驚くほどではないが、それでもフロントにエンジンが無い分、ノーズの動きが軽く感じられるのも911を想起させるところで、低速域でも十分ポルシェを操っているという充足感を味わえる。

 

もちろん真のパフォーマンスを発揮する領域は、その先にある。SPORT PLUSモードを選び、アクセルペダルを深々と踏み込んでいくと、タイカンはまた別の顔を見せた。

 

ポルシェ タイカン ターボ&ターボ S海外試乗、ポルシェ タイカン ターボの走行シーン

ポルシェ タイカン ターボは、ターボ Sほどのパフォーマンスを必要としないカスタマーに向けられるが、それでもオーバーブースト時の最高出力は680psと並のスポーツカーを大きく凌駕する。

 

強烈な加速のオーバーブーストモード

 

路面を掻きむしることもなく一気に4輪にトラクションがかかり、凄まじい勢いでダッシュが始まる。まさに、背中がシートバックに押し付けられるような感覚である。オーバーブーストモードは2.5秒間持続し、その間に速度は100km/h近くまで到達。その直後に、後軸に備えられた2段ギヤボックスが高速側ギヤにシフトアップするのが軽いショックと音の変化で伝わる。すると更に加速は勢いを増して、事情が許すなら260km/hまで続いていくのだ。

 

実はターボとターボ Sで同じことを試したのだが、差を体感するのは難しかった。0-100km/h加速に0.4秒の差しかないだけでなく、電気モーターの特性が基本的に両車で変化が無い、あるいは変化をつけにくいからだろう。この後発表されたタイカン4Sが、どのように違い、差を出してくるかは興味深い。

 

ポルシェ タイカン ターボ&ターボ S海外試乗、ポルシェ タイカン ターボの走行シーン

タイカン ターボはターボ Sと同様に最高速度が260km/hに制限されている。0-100km/h加速は3.2秒を計測し、車重2.3トンを超える重量車とは思えない俊足ぶりを発揮。

 

制動力の90%近くは回生ブレーキが発生

 

面白いのがターボSにオプションのポルシェ・エレクトリック・スポーツサウンド。電気モーターの音から抽出したという合成音を加速に応じて発生させることができる。これがあると加速の雰囲気は幾分違ってくる。半ばギミックと思いつつ結局、常時オンにしていたのだった。

 

ブレーキの素晴らしさにも触れておきたい。アクセルオフでは緩めの回生が行われるだけで、ある程度以上の制動力を得るにはブレーキペダルを踏む必要があるが、実際には制動力の90%近くは回生によって発生させているという。しかしながらPSCB(ポルシェ・サーフェス・コーテッド・ブレーキ)のターボ、PCCB(ポルシェ・セラミック・コンポジット・ブレーキ)のターボ Sともにペダルのタッチ、効き、コントロール性の調律ぶりは見事で、信頼してコーナーに飛び込んでいくことができた。

 

ポルシェ タイカン ターボ&ターボ S海外試乗、ポルシェ タイカン ターボの走行シーン

前後アクスルに電気モーターを各1基搭載した4WD方式を採用。モーターを電子制御して前後トルク配分をコントロールするPTV Plusを用いて、アンダーステア知らずのドライビングを披露する。

 

アンダーステア知らずのフットワーク

 

そして肝心なフットワークはと言えば、正確性に富んだステアリングによりターンインでは狙ったラインを忠実にトレースできるし、その先では前後トルク配分の巧みなコントロールにPTV Plus(ポルシェ・トルクベクトリング・プラス)の働きが相まって、車体の大きさを意識させない旋回性、そしてアンダーステア知らずの強烈なダッシュを味わうことができる。ときに車重を意識させられる瞬間はあるし、うねった路面などではストローク感をもう少し・・・とも感じるが、それでも十分、操縦に没頭できるフットワークが実現されていることは間違いない。

 

こんな具合に、躊躇なくアクセルを踏んでいくような走りだったにも関わらず、電費がきわめて良好なことにも感心させられた。ターボ Sの車載電費計の表示はざっと24.0kWh/100km辺り。つまり93kWhのバッテリーでほぼ400kmを走破できることになる。ターボでもう少しペースを落として走らせた時には17kWh/100km前後だったから、こうなると1回の充電で500kmの走行も余裕だ。回生を含むエネルギーマネージメント、相当練られているようである。

 

ポルシェ タイカン ターボ&ターボ S海外試乗、試乗会の様子

今回の試乗会ではタイカン ターボとターボ Sの2モデルを試乗したが、シリーズにはエントリーモデルとなるタイカン 4Sも用意されている。ターボ&ターボ Sに対し、4Sがどのような味付けになっているのか興味は募る。

 

走りの手触りも含めて紛れもないポルシェ

 

パフォーマンスだけでなく走りの手触りも含めて、紛れもないポルシェに仕上がっていたというのが、ようやくステアリングを握ったタイカンの偽らざる印象だ。

 

もっとも、自分が本気でフラット6の代わりに電気モーターで満足できるのかは、まだ確信には至っていない。もっと色々な場面で試してみなければ、あるいはもっと長い時間付き合ってみなければ断言できない、とも思っている。その意味でも間違いなくこの先が楽しみな、注目せざるを得ない新しいポルシェの登場だ。

 

 

REPORT/島下泰久(Yasuhisa SHIMASHITA)

 

 

 

 

【SPRCIFICATIONS】

ポルシェ タイカン ターボ

ボディサイズ:全長4963 全幅1966 全高1381mm

ホイールベース:2900mm

トレッド:前1702 後1667mm

車両重量:2305kg

モーター:永久磁石同期モーター×2

トランスミッション:前シングルスピード 後2スピード

バッテリー容量(パフォーマンスバッテリープラス):93.4kWh

最高出力:460kW(625ps)

最高出力(オーバーブースト with ローンチコントロール):500kW(680ps)

最大トルク(with ローンチコントロール):850Nm

駆動方式:4WD

サスペンション形式:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク

ブレーキキャリパー:前対向10ピストン 後対向4ピストン

ブレーキディスク:前後ベンチレーテッドディスク

ブレーキディスク径:前415×40mm 後365×28mm

タイヤサイズ(リム径):前245/45R20(9.0J)後285/40R20(11.0J)

最高速度:260km/h

0-100km加速:3.2秒

車両本体価格:未定

 

ポルシェ タイカン ターボ S

ボディサイズ:全長4963 全幅1966 全高1378mm

ホイールベース:2900mm

トレッド:前1690 後1655mm

車両重量:2295kg

モーター:永久磁石同期モーター×2

トランスミッション:前シングルスピード 後2スピード

バッテリー容量(パフォーマンスバッテリープラス):93.4kWh

最高出力:460kW(625ps)

最高出力(オーバーブースト with ローンチコントロール):560kW(761ps)

最大トルク(with ローンチコントロール):1050Nm

駆動方式:4WD

サスペンション形式:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク

ブレーキキャリパー:前対向10ピストン 後対向4ピストン

ブレーキディスク:前後ベンチレーテッドディスク

ブレーキディスク径:前420×40mm 後410×32mm

タイヤサイズ(リム径):前265/35R21(9.5J)後305/30R21(11.5J)

最高速度:260km/h

0-100km加速:2.8秒

車両本体価格:未定

 

 

【問い合わせ】

ポルシェカスタマーケアセンター

TEL 0120-846-911

 

 

【関連リンク】

・ポルシェ公式サイト

https://www.porsche.com/japan