ボンドカーの「代役」を名演した幻のDB4【アストンマーティン ヴァンテージの70年を辿る。DB4編】

公開日 : 2020/03/25 11:55 最終更新日 : 2020/03/25 11:55


アストンマーティン DB4 ヴァンテージの正面イメージ

Aston Martin DB4 Vantage

アストンマーティン DB4 ヴァンテージ

 

 

SUキャブを三連装した強化型DB4

 

アストンマーティン DB4は1958年から1963年に製造されたグランドツアラーで、シリーズ1から5までが存在する。1961年に登場したシリーズ4の生産開始と同時にデビューしたのが高性能仕様のヴァンテージだった。

 

標準仕様が搭載するタデック・マレック設計の3.7リッター直列6気筒DOHCユニットは260hpを発生したが、ヴァンテージはこれを“スペシャル シリーズ”として様々な強化施策を実施。SUキャブレター(HD8タイプ)を2基から3連装へ、シリンダーヘッドに大径バルブを採用し、圧縮比を高めるなどの施策により266hpへと約10%のパワーアップを果たしている。

 

アストンマーティン DB4 ヴァンテージのフロントイメージ

1961年に登場したDB4のシリーズ4に設定された高性能モデル、DB4 ヴァンテージ。DB4 GTに通じるカウルドヘッドランプのデザインや、その周囲のアルミニウム製トリムがデザイン上の特徴となる。

 

後継車DB5のプロトタイプ的存在として

 

DB4のヴァンテージはデザイン上でも“違い”を演出していた。ヘッドライトは軽量・高性能なスペシャルモデルとして1959年に登場した「DB4 GT」のようなカウル付きの流線型デザインとなり、その周辺には光沢のあるアルミニウム製トリムがあしらわれていた。

 

1962年には車内スペースを拡大したシリーズ5のヴァンテージが登場。シリーズ最終型のDB4は、1963年夏にデビューすることになるDB5とほぼ変わらない外観がすでに与えられていた。いわばDB5のプロトタイプとも呼べるスタイリングは、後にかの有名な映画作品の制作現場で大いに役立つことになる。

 

アストンマーティン DB4 ヴァンテージのエンジンイメージ

DB4 ヴァンテージはタデック・マレック設計の3.7リッター直6ユニットに、トリプルキャブレターを標準装備した。最高出力は266hpを発生。

 

『007シリーズ』でボンドカーの“代役”を務めたDB4

 

映画『007シリーズ』史上初のボンドカーはもちろんDB5だが、じつは撮影用車両として提供するDB5の製造が間に合わず、1台はDB4 シリーズ5のヴァンテージがベースにされていた。かくして、DB4 ヴァンテージは映画『007 ゴールドフィンガー』でショーン・コネリー演じるジェームズ・ボンドの愛車としてDB5の代役を見事に務めたというわけである。

 

アストンマーティン DB4 ヴァンテージのリヤビュー

当時新設されたニューポートパグネル工場で生産されたDB4 ヴァンテージ。総生産台数は135台。加えてDB4 GTのエンジンを積んだDB4 GT ヴァンテージが6台のみ作られている。

 

DB4はバッキンガムシャーに新設されたニューポートパグネル工場で生産された。うち、ヴァンテージの生産台数は135台前後といわれ、オプションとして設定されたDB4 GTエンジンを搭載したヴァンテージはわずか6台のみが作られたという。

 

 

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