ついに生産を終える名作「ベントレー ミュルザンヌ」への想いを、清水和夫と渡辺敏史が語る【動画レポート】【PR】

公開日 : 2020/04/01 17:55 最終更新日 : 2020/04/01 17:55


ベントレーミュルザンヌのフロントスタイル

BENTLEY MULSANNE

ベントレー ミュルザンヌ

 

 

最後の想いを胸にミュルザンヌで旅に出る

 

何事も永く続いたものが終幕を迎えるのは悲しいことだが、それはクルマとて例外ではない。中でもベントレー ミュルザンヌの生産終了の一報は、日頃からベントレーのクルマ造りに共鳴する清水和夫と渡辺敏史の心にも強く響いたようで、二人は連れ立ってミュルザンヌとの最後のロングツーリングに赴いた・・・。

 

2009年のペブルビーチ・コンクール・デレガンスでワールドプレミアされたベントレー ミュルザンヌ。実際にデリバリーがスタートしたのは2010年からなので、そのモデルライフは10年ほど。決して短命ではないが、取り立てて長いというほどのものでもない。ではなぜ、我々はその終焉に感傷的な想いを抱いてしまうのだろうか?

「時代の流れの中では こうゆうものってなかなか生きていけないだろうとは思っていたけれど、寂しいよね(清水)」

 

「ですね。やっぱりこのエンジン自体がある意味ベントレーの象徴的なところがあって。60年くらいこのエンジンを造り続けていますからね(渡辺)」

 

彼らの視線の先にあるのは、ノーズに収まる6.75リッターV型8気筒OHVツインターボ。そのルーツは、アメリカ市場を睨んだ新開発エンジンとしてS2サルーンとともに1959年にデビューした6.2リッターV型8気筒OHVユニットに遡る。

 

ミュルザンヌの終焉を迎える前にミュルザンヌについて語る、清水和夫と渡辺敏史

ミュルザンヌの終焉を迎える前に、その想いについて語る、清水和夫と渡辺敏史

 

黒子に徹する最新技術

 

「このエンジンの低音の魅力というか、響きは他にはないですよね。エンジンが“シュンシュン”と高回転まで回ってパワーが“バーン”と出てっていうものとは真逆な性質ですが、このクルマにはもうこのエンジン以外はありえないっていうくらい荘厳な吹け方をしますよね。ホント、足にちょっと力を入れるだけで、ちゃんと綺麗にトルクが乗ってきますし」

 

ステアリングを握りながら渡辺はV8の旨味をそう評する。加えて、エンジンの良さを受け止めるシャシー、サスペンションの仕立てもミュルザンヌの美点であると清水は言う。

 

「イギリスの近代工業というよりも、昔からのクラフトマンシップによって造られた伝統的な高級自動車という感じ。やっぱり手造りというところがミュルザンヌの大きな魅力。乗ってみると路面の微妙なアンジュレーションに対してサスペンションが非常に綺麗に舐めていくような感じ、生き物みたいに路面をいなしていくっていうのが、ミュルザンヌのシャシー性能の大きな特徴だね。いろんな高級車に乗ってきたけど、サスペンションでこうした味を出せるのはベントレーだけだね」

 

しかしながらミュルザンヌは、ただノスタルジーの塊というわけではない。V型8気筒OHVはフォルクスワーゲン傘下での2001年に、ボッシュ製エンジン・マネジメント・システムの採用、ツインターボ化に加え全体の50%以上を刷新する大改良が施されているほか、ミュルザンヌになってからは軽量化、可変バルブ・タイミング、気筒休止システムの装着により、パフォーマンスのみならず2010年代の基準にも適合する環境性能を手に入れているのだ。

 

それでも旧き良き英国車の滋味深さというか、味わいを色濃く残しているのは「電装系とかにもフォルクスワーゲン・グループのエンジニアリングが入っているんだけれども、この世界観を守り続けるためにそれがことごとく黒子に徹している(渡辺)」からだ。そこに「ミュルザンヌだけはイギリス人が絶対にジャーマン・エンジニアリングを入れないっていうか。否定的な意味じゃなくて本当にイギリスの聖域を守った(清水)」ベントレー開発陣の気概すら感じられると言ったら、言い過ぎだろうか。

 

ベントレーミュルザンヌのサイドビュー

60年にも渡り造り続けられてきた伝統のV型8気筒OHVツインターボエンジンを搭載するミュルザンヌ。最新技術を取り込み、現代の環境に対応しているとはいえ、それすらも思わせない古典的なフィーリングは絶品。

 

フェルディナンド・ピエヒの本命はベントレー

 

そしてもうひとつ大事なポイントは、ベントレーがドライバーズカーであるという、創業以来のプリンシプルを守り続けていることだ。

「生前、フェルディナント・ピエヒさんにインタビューした時に、あなたはロールスが欲しかったのか? それともベントレーが欲しかったのか?って聞いた。そうしたらベントレーって言ってたね」

 

清水はさらに続ける。

 

「彼らにはル・マンというレースの歴史がある。そもそもミュルザンヌってル・マンのコーナーの名前で、その前のアルナージもル・マンのコーナーの名前だからね。やはりル・マン24時間というモータースポーツをきちっとリスペクトしたところに、ベントレーがロールスとは違う高級車だってところがある」

 

清水が「ベントレーは後席よりもコクピット、ドライバーシートが特等席だよね。運転席が1等であり、ファーストクラス」と力説するのは、そういうバックグラウンドがあるからだ。それでいて、ゆったりと時間の流れを味わいながらクルージングに興ずることができるのもまた、ミュルザンヌの懐の深さといえるかもしれない。

 

「僕にとってはスポーツクルーザーみたいな感じです。100km/h 、1000rpmで“ドロドロ”っと走っているのが気持ちいいですし、何か必要なことがあればすぐにクルマは反応してくれるんだけど、すべてが手下にありながら自分を主張することなくずっと控えめに回っている」

 

ベントレーミュルザンヌのフロントスタイル

京都の街並みに映えるのも伝統を活かしてきた証しだろう。歴史と文化を重んじたミュルザンヌの存在意義は極めて大きい。

 

ミュルザンヌは走る工芸品

 

そういって渡辺はこう付け加えた。

 

「クルマを運転するとか、クルマに乗っているっていう事とはちょっと一線を画するくらいの感じがありますね。もう工芸ですよ。工芸品が走っているようなものだなと」

 

まだまだ走り足りないが、そろそろキーを戻さなければいけない時間が近づいてきたようだ。

 

「“最後”なんて聞くとちょっと泣いちゃいそうになるけど、やっぱりこの女と別れるのは嫌だな。ずっといつまでも一緒にいたいねって感じがする」

 

思わず清水の口からそんな言葉が漏れた。「名残惜しい」とは、まさにこういうことを言うのだろう。

 

世間的に見れば、ミュルザンヌはエスタブリッシュの象徴のような存在だ。でも贅を尽くした高級車という側面以外のクルマ好きの琴線に触れる部分が多いのもミュルザンヌの特徴といえる。

 

ベントレーミュルザンヌのリヤスタイル

値段や速さ、大きさといったヒエラルキーに関係なく、内包された世界観に共感できる人こそミュルザンヌの価値が分かると、清水和夫と渡辺敏史は締めくくった。

 

ノブリス・オブリージュという言葉を理解できる人こそ乗るべき

 

「従来からある値段、速さ、大きさのヒエラルキーではなくて、あえてノブリス・オブリージュ(財力のある者は相応の社会的または道義的義務を負わなければならない)という言葉が理解できる人たちに乗ってもらいたいと思いますね(清水)」

「僕もクルマのハードウェアに共感するというよりも、内包された世界観に共感してくれる方に乗ってもらえると、このクルマもすごい幸せなんだろうなと思います(渡辺)」

 

ミュルザンヌ終焉のカウントダウンは、もうすぐそこまで迫っている。しかし、今回改めてステアリングを握ったことで、清水の中には新たな気持ちが湧いてきたという。

 

「きっとこういう世界を知っている人たちがいるって事は、これからEVとか水素燃料電池車とか、新しい時代のパワートレインになってもミュルザンヌが成し得てきたこの世界観というのは引き継がれていくと思うんです。そういう意味で今のミュルザンヌとはお別れだけど、この世界観は“永遠”なんじゃないかな」

 

 

 

【主要諸元】

ベントレー ミュルザンヌ スピード

全長×全幅×全高:5575×1925×1530mm

ホイールベース:3270mm

車両重量:2770kg

エンジン:V型8気筒OHVツインターボ

総排気量:6752cc

最高出力:395kW(537ps)/4000rpm

最大トルク:1100Nm/1750rpm

トランスミッション:8速AT

駆動方式:後輪駆動

燃料タンク容量:96リットル

トランク容量:443リットル

タイヤサイズ:前後265/40ZR21

最高速度:305km/h

0 – 100km/h加速:4.9秒

車両本体価格:4022万1000円(税込)

 

【問い合わせ】

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ベントレー東京 世田谷 Tel 03-5760-6290

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