ポルシェが開発した「3Dプリント ボディフォーム フルバケットシート」が実用化
公開日 : 2020/04/09 14:55 最終更新日 : 2020/04/09 14:55
3D-printed bodyform full-bucket seat
3Dプリント ボディフォーム フルバケットシート
クッションの一部を3Dプリンタで作成
ポルシェはスポーツシートの世界に革命を起こそうとしている。コンセプトスタディ「3Dプリント ボディフォーム フルバケットシート(3D-printed bodyform full-bucket seat)」により、従来のバケットシートに代わる革新的なインテリアのコンセプトを提示した。
新たなコンセプトで開発されたこのシートは、その中央部分、背もたれのクッションの一部が3Dプリンタで作成されている。将来的にカスタマーは、愛車の購入時に中央パーツの硬さを3種類(ハード、ミディアム、ソフト)から選べるようになるという。
この新しいテクノロジーは、モータースポーツとの密接なつながりにより実現した。それぞれのレーシングドライバー向けにパーソナライズされた専用バケットシートは、プロの世界では当たり前の存在となっている。
モータースポーツからもたらされたコンセプト
ポルシェのR&D担当取締役、マイケル・シュタイナーはシートが新たな段階へと進化しつつある状況について、以下のように説明する。
「シートは人間とクルマの間にあるインターフェースです。正確でスポーティなハンドリングにとって、非常に重要な存在になります。それもあって、レースの世界ではドライバー専用にパーソナライズされたシートが当たり前になりました。今回発表した『3Dプリント ボディフォーム フルバケットシート』により、量産車の世界にも、モータースポーツから引き継がれたテクノロジーを提供できるようになるでしょう」
シュタイナーの言葉にもあるように、3Dプリント ボディフォーム フルバケットシートは、モータースポーツからもたらされた。ドライバーそれぞれにフィットした形状だけでなく、ユニークなデザイン、大幅な軽量化、快適性や安全性の向上なども期待されている。
その構造はポルシェの軽量フルバケットシートをベースにしており、サンドイッチ構造を特徴とする。発泡ポリプロピレン(EPP)で作られたベースサポートは積層造形となり、ここに3Dプリンタ技術が採用された。シートの表面部分は「レーステックス(Racetex)」を使用し、室内温度に対応するため穿孔パターンがチョイスされている。
2020年5月から限定販売、2021年半ばからラインオプションに
3Dプリント ボディフォーム フルバケットシートは、911と718のドライバーズシートとして2020年5月から「ポルシェ テクイップメント」のラインナップに加わる。
販売開始時点では6点式シートベルトと組み合わせられ、ヨーロッパのサーキット用として限定40基をプロトタイプとして販売。このプロトタイプのカスタマーから得られたフィードバックは、今後の開発プロセスに組み込まれる予定だ。
次の段階として、3つの異なる硬さと豊富なカラーバリエーションを備え、公道使用が可能な3Dプリント・ボディフォーム・フルバケットシートが、2021年半ばからポルシェ・エクスクルーシブ・マニュファクチュアのラインオプションとしてチョイスできるようになる。