アストンマーティンが新型コロナウイルス対策の保護具を製造。ワークスのスキルも緊急車両に投入

公開日 : 2020/04/18 06:30 最終更新日 : 2020/04/18 06:30


アストンマーティンの保護シールド製造イメージ

マルチマティックと協力して保護具を開発

 

アストンマーティンは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策の最前線で働く国民保険サービス(NHS)のスタッフ向けに個人用保護具を提供する。

 

COVID-19患者の集中治療にあたる現場でもっとも危険度の高い作業のひとつが人工呼吸器の挿管及び抜管であり、作業にあたるスタッフには、十分な保護具が必要となる。

 

アストンマーティンは、今回のプロジェクトにあたりマルチマティック社とパートナーシップを結んだ。英国のカタパルト・センター(官民が出資する非営利のイノベーション機関)であるMTC(Manufacturing Technology Center=製造技術センター)に協力し、新型保護具の製造をサポートする。

 

アストンマーティンの保護具イメージ

アストンマーティンは、自動車の開発、量産のノウハウや3Dプリンタなどを駆使して新型コロナウイルス感染症から医療スタッフを守る保護具を製造する。

 

レザー用カッティングマシンでシリコンを切り出し

 

保護シールドはパースペックス(透明なアクリス樹脂)製で、アストンマーティンとマルチマティックは一体型シールドを設計・製造。保管時にかさばらないよう重ねて収納できる形状にした。

 

さらに、普段はレザートリムの作成に使用しているゲイドンの最新式カッティングマシンも活用。保護具のパーツとなるシリコン部材を切り出している。この新しい保護具は数日で完成し、ロイヤル・ロンドン病院で試験を行った。

 

アストンマーティン、保護具製造イメージ

ハンドクラフトによる作業の多いアストンマーティンならではのアドバンテージを活かし、保護ガウンなどの製造も行っている。

 

危機を脱するために革新を起こす

 

アストンマーティン・ラゴンダのプレジデント兼最高経営責任者のアンディ・パーマーは語る。

 

「アストンマーティンにとって故郷のコミュニティというのは大変重要な存在です。ですから地元の病院をサポートできることはとても嬉しい。最前線で働くNHSのスタッフは我々をCOVID-19から守ってくれています。だからこそ我々はバイザーとガウンを作ることで彼らを守りたいと考えました。危機が襲う時はまた、革新の時でもあります。集中治療にあたる人々の使うシールド製造にあたり、マルチマティックとMTCと団結できることは非常に喜ばしいことです。すべての人がためらうことなく協力してくれたし、全員が誇りをもって業務にあたっています」

 

マルチマティックの最高技術責任者、ラリー・ホルトもコメントしている。

 

「お声掛けいただいてとても嬉しく、この重大なプロジェクトに参加できることを大変喜ばしく思っています。アストンマーティンとマルチマティックは、自動車の世界で一見不可能と考えられるようなことへ共に挑んできました。MTCが取り扱う非常に重要な革新的医療デバイスの製造は、我々のパートナーシップの延長線上にあるのです。関わることができて本当に光栄です」

 

MTCのチーフ エグゼクティブを務めるクライヴ・ヒックマンは「アストンマーティンとマルチマティックの協力的な姿勢は我々に勇気を与えてくれるものです。鋭い知性と最高峰のテクノロジーが、非常に素早くプロジェクトを推進しました。これこそ英国の製造産業の実力の証左といえるでしょう」と語る。

 

アストンマーティンが製造する保護シールドイメージ

アストンマーティンが製造する保護シールドの最初のロットは、DBXに積載して出荷された。

 

3Dプリント技術を活用したバイザー製造

 

加えて、アストンマーティンは週に150個のバイザーを生産する。製造には最新の3Dプリンタを駆使。保護バイザーの開発にあたってはNHSの定める感染対策ガイドラインに適合させるべく、アストンマーティンのデザインチームが地元のワーウィック病院と協働して進めた。すでに量産体制に入っており、組み立てはゲイドンのデザインスタジオで政府の定めたソーシャルディスタンスを守りボランティアスタッフが作業に当たっている。最初のロットはイースター後にDBXに積まれ出荷された。

 

保護ガウンの要請は、地元の病院の購買部門からゲイドン本社へ直接寄せられた。必要部材の供給を受けた後、サンプルを作成してNHSに提出。その翌週には生産をスタートした。ゲイドン本社内に量産ラインを設け、週に最大750着の保護ガウンを製造できる人力を確保している。

 

アストンマーティンのロゴイメージ

アストンマーティンはゲイドン本社、ワークスが働くニューポートパグネルの各拠点で新型コロナウイルス感染症対策に協力している。

 

ワークスのスキルを緊急車両の整備に

 

一方、ニューポートパグネルに拠点を置くアストンマーティンワークスのスタッフは緊急車両の稼働に協力。2020年3月末からミルトン・ケインズ・ユニバーシティ病院で働くNHSスタッフ向け緊急車両の修理を行っている。作業料はすべて無料で、入庫は平均1日2回。タイヤのパンクからワーニングチェック、ブレーキパッド交換など様々な修理を実施する。

 

アストンマーティンワークスのプレジデント、ポール・スパイアズも以下のようにコメントしている。

 

「NHSを危機が襲うこの状況で、我々はミルトン・ケインズ・ユニバーシティ病院で働く人々のために自分たちができることをしたいと考えました。ワークスのスタッフは全員が自主的にこのプロジェクトへ参加しています。医療従事者に前例のないプレッシャーが押し寄せる中で、NHSのために何らかの手伝いができることで心が奮い立つ思いです」