ポルシェの自宅で楽しめる趣味講座 第3回「愛車をピカピカにする“奥の手”教えます」

公開日 : 2020/04/28 11:55 最終更新日 : 2020/04/28 11:55

時間があるからこそ愛車のお手入れを!

 

ポルシェは、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を阻止するために自宅待機を続ける読者に向けて、趣味講座「#GetCreativeWithPorsche」を展開中。この講座には毎回その道のプロが登場し、ロックダウン中でも自宅で自動車に関するクリエイティブなスキルを身につけられるようになっている。

 

趣味講座の第3回目は、カーディーラーから人気インフルエンサーとなったリチャード・ティッパー(Richard Tipper)が愛車の美しいお手入れ方法を伝授する。

 

ティッパーが扱ったクルマは、誰もが一目でわかるはずだ。ファクトリーをラインオフしたばかりかのような美しさをたたえているだけでなく、スイッチ類やエアコンの吹き出し口、シートポジションもすべて、ミリ単位でまっすぐに整えられているのだ。ディテールへのこだわりこそが、彼がクルマのお手入れというテーマで「#GetCreativeWithPorsche」に登場した理由である。

 

31年前、運転免許試験に合格して以来ティッパーはクルマを磨き続け、その過程で発明品レベルの便利グッズや新たな技術を生み出してクルマを美しく仕上げてきた。その様子はもはや“強迫観念”とさえ言えるレベルだ。その結果が、200台ものコレクションを持つ大富豪をはじめとした世界中に広がる垂涎モノの顧客名簿の獲得である。しかし、億万長者だろうと市井のドライバーだろうと、ティッパーのクルマに似対する細部へのこだわりが変わることはない。

 

洗車の達人、リチャード・ティッパー

今や“クルマのお手入れの達人として”世界中に顧客を持つリチャード・ティッパー。究極の仕上げを誇るティッパーのSNS(@perfectionvalet)をチェックすれば、様々なテクニックを知ることができる。

 

洗車の達人として世界中に顧客をもつティッパー

 

これまで数えきれないほどの仕事をこなしてきたティッパーは、ポルシェの大ファンでもある。彼が所有するケイマンRは大切な財産だという。彼のお手入れ術はほとんどの人にとって目に触れることのない部分にまで及ぶため、ポルシェが自動車製造にかける凄まじい情熱を理解することができたと言う。

 

「たとえば、これまで私はポルシェ カレラGTを何度か手入れしました。このクルマを整備ピットで調べると、ポルシェのエンジニアがどれほど細心の注意を払ってきたかを目の当たりにでき、最高級の素材とノウハウによって製造されていることが分かります。私にとってカレラGTは品質面でマイルストーンと言える存在です」

 

そして、ティッパーはあらゆる面に注意を払う人物だ。「私の家族は世話焼き家系なんです(笑)。父は完璧主義者で、洗車業者に綺麗にしてもらったクルマを改めて洗車していましたから」と、彼は肩をすくめた。

 

通常、ティッパーはクルマを完全にクリーニングするのに2日をかける。しかし、サイレンサーを掃除するためにアンダートレイを外したり、ホイールアーチライナーを取り外したりするなど、その作業に1週間もの期間を要するケースもあるという。多くの場合、彼は座席をすべて外してパン粉やほこりの最後の一粒までをキャビンから排除する。

 

その究極の作業術から、ティッパー(@perfectionvalet)はTwitterとInstagramで膨大なフォロワーを持つインフルエンサーとなった。今回、たとえロックダウン中で愛車を運転できない状況でも、自動車ファンがお手入れを楽しめるテクニックやヒントをたっぷり紹介してくれた。また、ハッシュタグ「#GetCreativeWithPorsche」をつけて投稿することで、ティッパーやポルシェ・ニュースルームのスタッフが反応する予定だ。

 

アルカンターラ製ホイールを起毛する専用ブラシ

アルカンターラ製ホイールを起毛する専用ブラシを使って、新品同様のクオリティに。

 

1:アルカンターラ製ステアリングホイールを新品のようにする方法

 

「アルカンターラの手入れは一番多く聞かれる質問です。アルカンターラは、たくさんの小さな起毛繊維からなる人工ファブリック。この起毛繊維はドライバーの手からの汗と油分に加えて、使用し続けることでフラットになってしまいます。時間が経つにつれて生地はすり減ったようにも見えますが、実際は凝固した油分で固まっているんです。そんな状態のステアリングは、油分を取り除き起毛を立ち上げましょう」

 

(1)市販のファブリック用クリーナーを使用しますが、できれば自動車専用のものを選んでください。それをステアリングホイールにスプレーしますが、作業範囲は4分の1ずつにしましょう。あと、スプレーしすぎないでください。ホイールに水分を与えすぎると、乾燥時にアルカンターラが脆くなってしまいます。

 

(2)次に温かく湿らせたマイクロファイバータオルでステアリングを包み、布を軽くねじってください。バイクのグリップを握って捻るような感じです。ここでマイクロファイバーに汚れを吸い取らせます。

 

(3)グリップ部分など特に汚れている箇所がある場合は、1本の指でマイクロファイバーを包みその部分に集中してください。

 

(4)乾いたマイクロファイバータオルで湿気をできるだけ吸収し、ホイールを軽く擦ることで起毛を立ち上げます。

 

(5)柔らかさを取り戻すために、清潔な歯ブラシを使用して表面を優しくブラッシングしましょう。

 

(6)このテクニックはアルカンターラが使用された他の部分でも使えます。プラスチック製のノズルを持つハンディ掃除機は使用しないほうがいいです。素材に線が入ってしまう場合があります。

 

(7)オマケのアドバイスですが、ファブリック用クリーナーをスプレーする前に室内の換気を確かめてくださいね。

 

非イオン系汚れ取りデコンジェルを使って汚れを落とす。

非イオン系汚れ取りデコンジェルを使って汚れを落とす。

 

2:ホイールを美しく輝かせる

 

「ホイールはクルマ全体の中で一番汚れている部分だったりします。なので洗車する場合は別の場所に移動させて、最初にホイールを綺麗にしましょう」

 

(1)マイクロファイバー製の柔らかいホイールブラシを用意してください。引っかき傷を防ぐために、金属製ではなくプラスチック製把っ手が付いたセットがオススメです。

 

(2)非イオン系汚れ取りデコンジェルも必須です。ディスクハブは陽極酸化されており、洗剤に含まれている酸が表面を損傷する可能性があります。特にポルシェ・カーボン・セラミック・ブレーキ(PCCB)搭載車には、絶対に酸性のホイールクリーナーは使用しないでください。

 

(3)このデコンジェルは(腐った卵のような臭いは別として・・・)本当にうまく機能してくれます。色変化技術が組み込まれていて、誰でもこの洗剤が機能していることが分かるでしょう。まるで出血しているようにブレーキダストの汚れが紫色に変色するんです。

 

(4)ホイールを洗浄する最良の方法は、ホイール自体を外すことです。それができない場合はブレーキディスクやパッドにできる限り触れないようにして、冷えた状態でホイールにデコンジェルを塗布してください。

 

(5)ジェルを塗り終わったら少し浸透時間を与えて、ジェルがホイールでしっかり機能するようにします。

 

(6)ホイールブラシですが、これらにはさまざまなサイズが販売されています。ホイールのサイズや形状に合ったブラシをチョイスしてください。バルブとホイールナットに特に注意を払いながら、ブラシでデコンジェルを広げていきましょう。

 

(7)徹底的に磨きたいのであれば、ホイールの内側を忘れないでください。カレラGTを所有できるほど運が良い人ならば、キャリパーとホイールが接近しているので、ブラシを入れるのが難しいかもしれません。そんな時はホイールを1/4回転させると、その部分もクリーニングできるようになります。

 

(8)最後にすべてを完全に洗い流します。高圧洗浄機で金属表面に水を強く当てる必要はありません。穏やかなに流すだけで十分です。

 

(9)仕上げとして「タイヤワックス」を使う場合もありますが、ひとつ注意があります。もしクルマにカバーをかけて保管する場合、このタイヤワックスによってクルマ全体が汚れてしまう場合があるので使用を避けてください。

 

ボディの洗浄は泡が立ちやすいスノーフォームか、プレリンス剤を使用する。

ボディの洗浄は泡が立ちやすいスノーフォームか、プレリンス剤を使用する。

 

3:クルマのボディは傷をつけずに洗浄したい

 

「クルマは常に直射日光を避けて洗ってください。そして、クルマが熱を持っていないことの確認も必要です。他の人に迷惑をかけないためにも、樹木のある場所、混雑した街角、公道などで行うことは厳禁です。クルマのボディを注意深く観察すると、塗装全体に一連の傷や渦が見られる場合があります。これはあまり知られていないことですが、ほとんどの場合が洗車中についた傷であることが多いのです。従って洗車用スポンジに砂や汚れが付かないようにすることが本当に重要です」

 

(1)洗剤は泡が立ちやすいスノーフォームか、プレリンス剤を選びましょう。高圧洗浄機を使用すると簡単に塗布できますが、高圧洗浄機がない場合は、ホースに取り付けることのできる製品もあります。とにかく、泡をクルマ全体にいきわたせるようにしてください。

 

(2)スポンジやウォッシュミットは合成セーム革かマイクロファイバータオルのどちらか。できるだけ柔らかい製品を選んでください。あと、グリットガード付きのバケツが必要です。グリットガードは、汚れがバケツに落ちるようにする排水カバーのようなもので、ウォッシュミットがバケツに落ちないようにしてくれます。

 

(3)バケツは2個用意します。ひとつのバケツでウォッシュミットを洗剤に浸して、クルマの上で泡立て、もうひとつのバケツには綺麗な水を張って泡を洗い流します。作業は「洗剤のバケツ→クルマを洗う→バケツでウォッシュミットを洗う」、この繰り返しですね。

 

(4)洗う順番はルーフから始めて、クルマの一番汚れた箇所を最後に、ボディ下へと向かって作業します。

 

(5)ホースの水でボディ全体を濯いだら、乾燥したマイクロファイバータオルで拭き取っていきます。最近のマイクロファイバータオルは非常にたくさんの水を吸収してくれます。ボディにタオルを置いて水に浸したら、静かに滑らせていきましょう。かつては天然セーム革を使っていましたが、マイクロファイバータオルの方がスジを残さず仕上げられるため、私はもう20年くらい天然セーム革を使用していません。

 

(6)究極の仕上げのコツはしっかり乾かすこと。自動車専用ドライヤーはヒンジやフィラーキャップなどの隙間から水を取り除き、美しいボディに仕上げるのに適しています。

 

(7)最後のアドバイスですが、「水切りワイパー」は使わないでください。洗車後のボディ表面は新品同様に見えても多少の汚れがあります。水切りワイパーをボディ表面に滑らせるだけで、細かい傷が残ってしまいます。

 

丁寧にきちんと仕上げれば、エンジンルームもご覧の美しさに。

丁寧にきちんと仕上げれば、エンジンルームもご覧の美しさに。

 

4:機械の知識はなくてもエンジンは美しくできる

 

「エンジンはクルマの心臓部です。すべてのエンジンはウェザーシールされていますが、高圧な水の直撃に耐えられるようには設計されていません。ですからエンジンを綺麗にする場合は、非常に注意深く作業しなければなりません。それに水を使わない方法もあります。ポルシェ、特に911のようにリヤエンジンのクルマは埃が溜まりやすいという特徴もあるので、洗剤スプレーの使用は非常に効果的です」

 

(1)作業前にまずエンジンが冷えた状態であることを確認してください。ゴム製パーツにダメージを与えないためにも、溶剤含有量の少ない多目的クリーナーを選びましょう。

 

(2)まとめてスプレーせず、ひとつのセクションに集中しましょう。エンジン全体にクリーナーをスプレーしてしまうと、落とす前に乾いてしまう場合があります。

 

(3)マイクロファイバータオルを使用して軽く汚れを取っていきます。布が届かない隅や角に備えて、ブラシもいくつか用意してください。

 

(4)この作業と同時にエンジンの一般的なメンテナンスチェックを行うことをお勧めします。機械的な知識がなくても取り扱いマニュアルを参考にしながら、ベルトの張り具合を確認したり、ベアリングオイルがしっかり残っているかを確認しましょう。

 

(5)ポルシェの作業では電動スポイラーもチェックします。オイルがしっかり塗布されていることを確認するのです。

 

洗車後のボディに残っている細かい汚れを落としたあと、丁寧にポリッシュしていく。

洗車後のボディに残っている細かい汚れを落としたあと、丁寧にポリッシュしていく。

 

5:仕上げが肝心、クルマ磨きの秘訣

 

「ポリッシュ作業を始める前にクルマが汚れていないことをしっかり確認してください。ボディ表面をできるだけ滑らかにして、つや出し剤が固着するようにします。オールインワンポリッシュ剤を使うことでボディ表面の輝きが復活し、ボディペイントも保護されます」

 

(1)私はビスケット形状のパテ、クレイバー(Claybar)を使用して、ボディに付着した汚れた物質を取り除きます。最高の洗浄をしたとしても、小さなタール跡やカーボンの堆積物が残ってしまうのです。

 

(2)クレイバー用潤滑剤をボディの小さな面積にスプレーし、その部分にクレイバーをまっすぐに滑らせます。とにかくそっと、丁寧にしましょう。非常に優れたツールなので軽く力を入れるだけで十分です。

 

(3)汚れが取れるとボディ表面を滑らかに滑ってくれるので、作業が完了したかすぐに分かるはずです。

 

(4)クレイバー自体が汚れを付着させていくので、クレイバー表面をクリーンに保ちましょう。ひとつのセクションの作業を終えたら、次のセクションのためにクレイバーを折り重ねて表面をクリーンにします。クルマがどれくらい汚れているか次第ですが、新品に買い換えるまで3~4回は使用できるはずです。

 

(5)いよいよポリッシュ行程に進みます。オールインワンクリームポリッシュ剤の場合、付属のアプリケーターパッド(マイクロファイバーで包まれたスポンジ)に、エンドウ豆サイズのポリッシュ剤を4滴ほど落としてください。これで約2平方フィート(0.185平方メートル)の面積を作業できます。パネル中央から始めてまっすぐに磨きます。実際に磨いてみて、ポリッシュ剤がほとんど見えないことが、正しい量のポリッシュ剤を使っている証拠です。

 

(6)ポリッシュ剤のラベルをチェックして記載された乾燥時間だけ置いたあと、綺麗なマイクロファイバータオルでポリッシュ剤を拭き取っていきます。拭き取るクロスはとにかく柔らかい素材である必要があります。傷を付けないようにラベルも外して、くしゃくしゃにせず4つ折りにしてください。

 

(7)プラスチック、ガラス、ゴムシール、マット仕上げのカーボンファイバーは絶対に磨かないでください。磨くと白く変色してしまいます。ただし、光沢仕上げのカーボンファイバーならば磨くことができます。

 

(8)ウインドウを磨きたい場合には、ふたつのマイクロファイバータオルを使用しましょう。湿らせた方でガラスを拭いて、すぐにもうひとつの乾いたクロスで拭き取ります。

 

(9)オールインワンポリッシュ剤の代わりに使用できる非常に優れた自動車用ハードワックスもあります。マイクロファイバータオルの代わりにスポンジが必要ですが、こちらの方が価格的にお求めやすいはずです。オールインワンポリッシュ剤はそれ自体が高価ということもありますが、拭き取るためのクロス代がバカにならないのです。ハードワックスの場合も作業の要領は同じで、塗布してから60~90秒間おいてすぐに拭き取ります。

 

(10)拭き取ったら、椅子に座ってリラックスしてください。少なくとも6回の洗浄分はボディペイントを保護してくれます。お疲れさまです、ドライブに行く準備ができました!