ブラバム・オートモーティブ、オーストラリア南部にBT62の生産拠点を設立
公開日 : 2020/05/11 06:30 最終更新日 : 2020/05/11 06:30
Brabham BT62
ブラバム BT62
英国ロンドンでの正式発表から2年
ブラバム・オートモーティブは、2018年5月2日に英国ロンドンのオーストラリアハウスにおいて同社初のスーパースポーツ「ブラバム BT62」をワールドプレミアした。それから2年、現在は世界的な新型コロナウイルス(COVID-19)感染危機下にあり、ブラバムも生産・開発活動を休止しているが、収束後は速やかに現状復帰を目指すとしている。
レーシングコンストラクターとしてモータースポーツのDNAを持つブラバムは、BT62のサーキット専用仕様に続き、公道走行仕様の「BT62R」も追加。2周年を迎えた今年、南オーストラリアのアデレードに生産拠点をオープンしている。
オーストラリア・アデレードに広大な生産施設をオープン
設立されたばかりの生産施設は、車両とパーツの開発、設計、製造、組み立てすべてを網羅する完全に新設されたワークスペースとなる。敷地面積は2500平方メートル、オーストラリア最大のバス製造グループである「プレシジョン・バス(Precision Buses)」が所有する工業団地内に建設された。
ファクトリー内にはさまざまな製造工程に対応する複数の作業ベイ、最終検査用ベイ、専用カーボンコンポジット製造ワークショップ、3Dプリンタ設備を備えたエンジニアリングオフィス、ミーティングルームなどを設置。ブラバム体験の入り口としてカスタマー訪問エリアがエントランス付近に置かれている。
敷地内にはブラバム・ブランドを保有するフュージョン・キャピタルの軽量コンポジット部門であるフュージョン・コンポジットもあり、ブラバム・オートモーティブにカーボンファイバー製コンポーネントを納品。同社は航空宇宙産業をはじめ、さまざまな分野に向けて軽量素材の供給を行っている。

2019年のグッドウッドを走行したブラバム BT62。小規模生産のスーパースポーツカーメーカーとして誕生したブラバム・オートモーティブは、さらなる成長を見据えてさまざまな自動車メーカーから技術者をヘッドハンティングしている。
ビジネスの成長に合わせて生産拠点の拡充も視野に
ブラバム・オートモーティブのCEOに加えて、フュージョン・コンポジットの経営パートナーも務めるダン・マークスは以下のようにコメントした。
「私たちがアデレードに生産拠点を設立したのは、小規模自動車メーカーとしての要件に適合しているだけでなく、ビジネスの成長に合わせて拡張できるキャパシティを持った生産設備があるからです。需要が拡大するレベルに合わせて、ブラバム・オートモーティブとフュージョン・コンポジット、どちらも生産規模を拡大できるだけの十分なスペースがあります」
ブラバムは人材の拡充を続けており、マクラーレン、アストンマーティン、フェラーリ、ゼネラルモーターズ、ジャガー、ケーニグセグ、ロータス、メルセデスAMG、テスラ、ボルボなどから多くの優秀なスタッフが加入。彼らはブラバム・オートモーティブとブラバム・モータースポーツに向けて、車両の設計・開発などを行っている。
6月の公道仕様発表に先駆けてレース仕様がデビュー
ブラバム・モータースポーツは、2020年シーズンの「ダンロップ・ブリットカー耐久シリーズ」に参戦するBT62コンペティション仕様の1号車をデリバリーし、デビューウィンも飾った。BT62を世界中の様々な耐久レースに投入するだけでなく、ル・マン24時間への挑戦・勝利も狙っている。
ブラバム・モータースポーツのスポーティングディレクターを務めるデイビッド・ブラバムは、以下のようにコメントした。
「この2年間、ブラバム・オートモーティブの成長に心から満足しています。立ち上げから生産、そしてカスタマーへの供給まで、ビジネスとして確実に一歩一歩前進しています」
「私の父のジャック・ブラバムは、1966年にブランズハッチで開催されたイギリスGPで優勝しています。同じブランズハッチで、BT62のステアリングを握ってデビューウィンを飾ったことは特別な瞬間になりました。そして、我々の目標はブラバムのマシンでル・マン24時間レースに勝利すること。さらなる挑戦が待っているのです」
ブラバム・オートモーティブは、次なるステップとして公道仕様となる「BT62R」のデリバリーを控えている。サーキット専用モデルとシャシーやパワートレインを完全に共有しながら、公道での走行に合わせて、前後の足まわり(フロントのリフトアップ機構を含む)と、エアロダイナミクスを変更。この6月にもデリバリーが開始される予定だ。