ブガッティ シロン ピュール スポール、振り回して楽しめる究極のハンドリングマシンに進化

公開日 : 2020/05/28 11:55 最終更新日 : 2020/05/28 11:55

最終的な開発テストが続くブガッティ シロン ピュール スポール

Bugatti Chiron Pur Sport

ブガッティ シロン ピュール スポール

 

 

世界各地のあらゆる走行条件で最終調整を敢行

 

抜群のコーナリングスピードを持つ究極のハイパースポーツ。そして、アジリティ、ハンドリング、ドライビングパフォーマンス、その全てが最適化された存在。ブガッティ シロン ピュール スポールは、ドライビングダイナミクスの技術的な限界に挑戦した。

 

現在、シロン ピュール スポールは発売に向けて、ビルスター・ベルクなどのテストコース、レーシングサーキット、曲がりくねったワインディングロード、そして高速道路など、様々な走行条件で最終的な調整が行われている。2020年後半から生産をスタートし、ヨーロッパでは300万ユーロ(北米は3599000ドル)のベース価格で60台が限定販売される予定だ。

 

最終的な開発テストが続くブガッティ シロン ピュール スポール

400km/hオーバーの最高速度を誇るシロンの次なるターゲットはコーナリング性能の向上。シロン ピュール スポールでは横方向の運動性能が大幅にアップした。

 

ドライバーにとって理想的なハンドリングマシン

 

ブガッティのエンジニアは、シロン・ファミリーに加わる新たな仕様に関して、これまでにないビジョンを掲げることになった。シロン ピュール スポールは、最高速ではなくコーナリング性能に特化した理想的なハンドリングマシンとなる。

 

開発責任者を務めるステファン・エルロットは、シロン ピュール スポールについて以下のようにコメントした。

 

「コーナリング性能を向上させるためには、様々な技術的な変更が必要でした。実際にステアリングを握ればその結果を直接感じることができるでしょう。ダイレクトでしっかり感があり、正確なハンドリング性能を実現できました」

 

「ドライバーの皆さんは、目の前のコーナーが楽しみになるはずです。ギヤ比が15%クロスレシオ化されたことで加速力が向上。エアロダイナミクスを調整しダウンフォースレベルも大幅にアップしています」

 

最終的な開発テストが続くブガッティ シロン ピュール スポール

”コーナリングマシン”を実現すべく、ブガッティのエンジニアはシャシーを大幅に強化。ネガティブキャンバーの採用に加え、スプリングレートもハードにセッティングしている。

 

ネガティブキャンバーとハードスプリングレートを採用

 

シロン ピュール スポール最大の変更点のひとつがシャシーだろう。前後アクスルのキャンバー角をマイナス2.5度に変更し、接地性能が大幅に向上。ネガティブキャンバーを導入するために、ブガッティのエンジニアは新たにサスペンションジョイントを開発している。

 

サスペンションジオメトリーには様々な可能性があったため、入念なプロセスを用いて17種類もの仕様がシミュレーションされた。最終的にボディ、スプリング、タイヤが完全に調和するスペックを選択することになった。スプリングレートは、フロントが100N/mmから166N/mm、リヤが150N/mmから200N/mmに変更。乗り心地を犠牲にすることなく、しっかり感のあるセットアップを実現している。

 

シャシー開発責任者のヤーチン・シュワルベは、入念なテストによりこの仕様が決定されたと強調した。

 

「シロン ピュール スポールのかなりハードな足まわりは、スポーティなハンドリング、トラクションの確保、快適な乗り心地という相反する要求に対して、最高の妥協点を見つけることができました。この最終的な仕様にたどり着くまでには何度もテストを繰り返しました」

 

「ドライバーは目の前のコーナーに集中して、最小限のステアリング操作をするだけです。この正確さと予測可能性によって、ドライビングが非常にイージーになっています」

 

最終的な開発テストが続くブガッティ シロン ピュール スポール

コーナリング性能に特化したシロン ピュール スポールではグリップ性能を重視し、あえて最高速度は350km/hに制限された。

 

あえて最高速度を350km/hに制限

 

ドライビングダイナミクスの限界ともいえるグリップを得るために採用されたソフトタイヤ、ネガティブキャンバー、そしてダウンフォースの大幅な向上を踏まえ、ブガッティのエンジニアは最高速度を350km/hに制限することを決定した。

 

「最高速度と引き換えにシロン ピュール スポールはあらゆる速度域で卓越したロードグリップを提供します」と、シュワルベは説明する。

 

市販モデルとして発売される以上、スポーティなハンドリングはあらゆる路面で機能しなければ意味がない。それはニュルブルクリンクのノルドシュライフェでも、街中の石畳だろうと、パッセンジャーに十分な快適性能を提供する必要がある。そのためシャシーの微調整だけでも5万km以上のテスト走行が必要になったという。

 

「強化されたシャシー、クロスしたギヤ比、ダウンフォースレベルの向上、そして新しいドライビングモード『ESC-Sport+』の組み合わせは病みつきになります。このクルマはあらゆる状況下で適切なギヤを選択できます。そして、まるで路面に吸いつけられているように感じるはずです。シロン ピュール スポールは、経験豊富なドライバーの期待を必ず超えるはずです」と、シュワルベはその完成度に自信をのぞかせた。

 

ブガッティ シロン ピュール スポールのコクピット

より俊敏な加速を実現するため、ブガッティは7速DCTを15%クロスレシオ化。特に6速使用時の中間加速レベルが大幅に向上している。

 

15%クロスレシオ化された7速DCT

 

7速デュアルクラッチトランスミッション(DCT)は、通常モデルと比較して15%クロスレシオ化。この結果、0100km/h加速は2.4秒から2.3秒、0200km/h加速は6.1秒から5.9秒に短縮した。さらに、6速における60120km/hの加速が7.4秒から4.4秒へと大幅に向上することになった。

 

今回、ギヤ比とシフトスピードの変更に合わせて、シフトマネージメントを大幅に見直した。シフトアップとシフトダウンはエンジン回転数とロードポイントに合わせて完璧に制御。また、ステアリング裏に配置されたシフトパドルを使用することでドライバー自身がマニュアル操作を行うことができる。

 

トランスミッション開発担当エンジニアのカール・ハイレンケッターは以下のように説明する。

 

「私たちは1年半の歳月をかけてトランスミッションの制御システムを開発し、すべてのシフトがあらゆる走行条件に適合するように調整しました。最初はシミュレーション、次にテストベット、そして最終的にはテストコースやサーキット。さらには田舎道や高速道路でもテストを行っています。これによって完璧なシフト操作が楽しめるようになりました」

 

試験機器が取り付けられたブガッティ シロン ピュール スポール

エンジン自体のスペックに変更はないものの、出力のピークをノーマルよりも高く設定。最高エンジン回転数は7000rpmに変更された。

 

ギヤ比の変更に合わせてエンジンもファインチューン

 

最高出力1500ps・最大トルク1600Nmを発揮する8.0リッターW16気筒エンジンは、ギヤ比の変更に合わせて全般的なリファインが行われている。回転域が広げられ、最高エンジン回転数は7000rpmに変更された。また、4基のターボチャージャーに関してはウェイストゲートバルブの調整も行われている。

 

エンジン開発担当エンジニアのマイケル・ゲリケは以下のようにコメントした。

 

「ギヤ比の変更に合わせて出力のピークを高く設定し、回転域を拡大しました。この結果、最高出力をより長く発生させることが可能になりました。より情緒的でスポーティな感覚が高まっています。シロンをドライブしたことがある人であれば、すぐにパワーユニットの違いを感じ取ることができるでしょう」

 

ブガッティ シロン ピュール スポールのエアロブレード

シロン ピュール スポールは、ミシュランがブガッティ専用に開発した「Sport Cup 2 R」を装着する。また、ホイールにはオプションで軽量化とエアロダイナミクスを向上させるエアロブレードも用意された。

 

ブガッティに専用開発されたミシュラン・タイヤ

 

タイヤに関しては、ブガッティとミシュランのエンジニアがテストを繰り返し、最高のグリップを確保するラバーコンパウンドを設定。ブガッティ専用に開発されたミシュラン「Sport Cup 2 R」は、フロントが285/30R20、リヤが355/25R21のサイズとなり、タイトコーナーにおける抜群のグリップを発揮する。

 

新開発のタイヤ構造とシャシーに最適化されたソフトなラバーコンパウンドを組み合わせたことで横方向の加速性能は10%アップ。コーナリングスピードは大幅に向上した。

 

マグネシウム・ホイールには、エアロブレードをオプションで装着可能。リング状に配置されたこのブレードは、ホイールアーチ部の空気を高効率で排出させ、空力特性に寄与する。高速走行時はリムに装着されたリングがホイール内の空気を吸い込み、ダウンフォースレベルを増大させる効果もある。

 

5本のホイールナットには特殊なカバーを装着。空気の乱流を最小限に抑えるだけでなく、ホイールの外観を美しく仕上げている。4本のホイールの合計で16kgもの軽量化を実現したことで、コーナリング性能を左右するバネ下重量の低減を実現した。

 

最終的な開発テストが続くブガッティ シロン ピュール スポール

ドライコンディション下で今回設定された「ESC  Sport+」を選択すれば、ドライバーはハイパースポーツでのドリフトを楽しむことができる。

 

ドリフトを楽しめる新たなドライビングモードを採用

 

シロン ピュール スポールには、新たなドライビングモード「ESC  Sport+」が追加され、サーキットにおいてドリフトを楽しむこともできる。このモードではESC(横滑防止装置)の介入を制限し、アクセルペダルでリヤをコントロールすることが可能になる。

 

ドライビング・ダイナミクス・スリップ・コントロール・システム&全輪駆動担当エンジニアのクリスチャン・ウィルマンは「ESC  Sport+」モードの楽しさを絶賛した。

 

「誰もがクルマを降りたくなくなるはずです。本当に最高ですよ。そして1600Nmのトルクを持つ強力なエンジンをあらゆる気候条件下でトラクションを発揮できるよう制御するのは、ドライバーにとってやりがいのある仕事です」

 

「今回、トラクションコントロールの介入を弱めることで、特にドライコンディションのサーキットにおける自由度を大幅に高めることができました。サーキットで高い安全性を確保していることはもちろん、公道での安全性も完璧に確保しています」