ベントレーの偉大な6 3/4リッターV型8気筒エンジン、ついに最終生産を完了
公開日 : 2020/06/04 06:30 最終更新日 : 2020/06/04 06:30
最終エンジンは「ミュルザンヌ 6.75 エディション」に搭載
ベントレー史上最も長い生産の歴史を持つV8エンジン「6 3/4(6.75)リッターV型8気筒エンジン」が、ついに最終号機の製造を完了した。ベントレーのアイコンとして長く愛されてきたこのエンジンは、7名のテクニシャンにより英国・クルーの本社工場においてハンドメイドで組み立てられた。
60年以上に渡って生産され、1959年の初期型と同じボア×ストロークを持つ6 3/4リッターV8エンジンは、ミュルザンヌの最終限定モデルである「ミュルザンヌ 6.75 エディション by Mulliner」に搭載。この最終エンジンは限定30台の最後の1台に載せられる。
このミュルザンヌのフィナーレを飾るミュルザンヌ 6.75 エディション by Mullinerのインテリアには、エンジンオイルキャップをミニチュア化したデザインが特徴の「オルガンストップ」型エアベント操作ノブを採用。6.75 エディションのモチーフを各シートに刺繍した他、エクステリアとエンジンルームには同モチーフをデザインしたクロームバッジを設置した。さらに時計とマイナーゲージの表示面にはエンジン断面図を模したデザインが採用されている。

V8エンジン初搭載のベントレー S2と、最後に搭載されたミュルザンヌ。1959年にデビューしたベントレー S2が搭載するV8エンジンは、その後ターボや電子制御の搭載など改良が施され、3万6000基が製造された。
ベントレー S2に初搭載後、改良を施され数十年
1959年に「S2」に初搭載されたLシリーズV型8気筒エンジンは、現在生産されているV型8気筒エンジンの中で最も長い歴史を誇るパワーユニットのひとつ。当時は最高出力180bhp、当時の主力だった直列6気筒エンジンを上回る高性能を狙って開発された。
それ以来、継続的な改良が施され、ターボチャージャー(最初はシングル、その後ツインターボに変更)、電子制御システム、燃料噴射システム、可変バルブタイミングなどを搭載。そのオリジナルエンジンの直系となる子孫はミュルザンヌ スピードに搭載され、実に最高出力530bhp・最大トルク1100Nmを発揮するに至っている。近年では排出ガスも大幅に削減されており、最新スペックでは有害な排出ガスの99%削減に成功している。
過去60年間に製造された3万6000基のLシリーズ・エンジンは、すべてがクルーの本社工場内エンジンファクトリーにおいて手作業で組み立てられている。最新エンジンは15時間かけて製造されており、完成後に徹底的なテストを経てベントレーのエンジンスペシャリストによって最終確認が行われた後、エンジン前面にサインプレートが貼られる。
ミュルザンヌの製造終了と共に次世代エンジンにバトンタッチ
ベントレーの生産担当取締役を務めるピーター・ボッシュは、偉大なV8エンジンの最後について以下のようにコメントした。
「この由緒ある6 3/4リッターV8エンジンは、60年以上にわたってベントレーのフラッグシップモデルに搭載されてきました。そして、このたびついに引退することになりました。何世代にもわたる職人たちが、数十年にわたって1台1台のエンジンを丹念に手作業で組み立ててきたことを、私は心から誇りに思います」
「このエンジンがこれほど長い期間作られ続けてきたのは、よりパワフルに、より洗練された信頼性の高いエンジンに改良し続けてきたエンジニアたちの努力があってこそです。今、私はベントレーの未来を楽しみにしています」
ミュルザンヌ 6.75 エディション by Mullinerの30台をもって、ミュルザンヌの生産は終了。新型フライングスパーがベントレーのフラッグシップモデルとなる。フライングスパーは2023年までに、ハイブリッドパワートレインの搭載も予定されている。
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