ポルシェ・ミュージアム、ル・マン24時間を初制覇した「917KH」をル・マンのバーチャル開催に合わせて公開

公開日 : 2020/06/05 17:55 最終更新日 : 2020/06/05 17:55


1970年のル・マンを制したポルシェ 917KH

Porsche 917KH (1970)

ポルシェ 917KH(1970)

 

 

歴史的なル・マン初制覇から50周年を記念

 

ポルシェはル・マン24時間レースにおいて19回の総合優勝、そして数えきれないほどのクラス優勝を達成してきた。信じられないほどの感動の数々が、60年以上にわたってポルシェとこの伝統的なモータースポーツイベントを結びつけてきたと言えるだろう。

 

1970年6月14日、ポルシェは最高出力580hpを発揮する「917KH」でル・マン24時間初制覇を達成した。その50年後となる2020年6月13日と14日の週末に、ポルシェ・ミュージアムではオリジナルのウイニングマシンを公開する。

 

1971年のル・マンを制したポルシェ 917KH

長くル・マン24時間の総合優勝を阻まれてきたポルシェだったが、1970年のル・マンで917KHを駆ったヘルマンとアトウッドが初の総合優勝をもたらした。写真は翌1971年に連覇を決めた、マルティニ・カラーの917KH。

 

Porsche 917KH (1971)

ポルシェ 917KH(1971)

 

初勝利までの長い道程、その後の快進撃

 

1951年にポルシェはル・マン24時間に初参戦し、356 SLでクラス優勝を獲得。以降、ヴァイザッハのスポーツカーメーカーにとって、この耐久レースは欠かせない存在となっている。

 

しかし、初勝利までの道のりはけして平坦なものではなかった。1960年代後半までポルシェはあくまで“小兵”として参戦し、小排気量クラスに集中していた。そして1960年代後半にその戦略を変更する。1969年は908を4台、917を2台という必勝体制で挑んだものの、わずか2秒・120mの差でフォード GT40に競り負けてしまう。

 

そして1970年、ポルシェ・ザルツブルクから参戦したハンス・ヘルマンとリチャード・アトウッドが917KHで、ついに総合優勝を達成。マルティニ・カラーのポルシェ917LHをドライブしたジェラール・ラルースとウィリー・カウーゼン、ポルシェ908/02のルディ・リンスとヘルムート・マルコがそれぞれ2位と3位を獲得し、ポルシェは表彰台を独占する。

 

その1年後、1971年シーズンのル・マン24時間は、グリッドに並んだ49台のうち33台がポルシェのレーシングカーで参戦。ヘルムート・マルコとジィズ・ヴァン・レネップのコンビが、ポルシェ・917KHで2連覇を決めた。

 

1974年、ポルシェは911カレラRSR 2.1ターボを発表し、ル・マンにターボ時代の到来を告げた。1976年には936スパイダーをドライブしたジャッキー・イクスとジィズ・ヴァン・レネップがターボ車での初勝利を達成。1979年のクラウス・ルドヴィク、ビル・ウィッティントン、ドン・ウィッティントンによる935K3での優勝は、初のリヤエンジンモデルによるル・マン制覇となった。これは911シリーズによるル・マン初勝利でもある。

 

1994年のル・マンを制したダウアー 962LM

1982年に導入されたグループCカテゴリーに合わせて開発された956、そしてその後継モデルの962Cはル・マンをはじめとする耐久レースで圧倒的な強さを見せた。写真はドイツのプライベーターによって開発され、1994年のル・マンを制したダウアー 962LM。

 

Dauer 962LM

ダウアー 962LM

 

無敵を誇ったグループCマシン、956と962C

 

1981年から1987年までの期間、ポルシェ製レーシングカーはル・マンで無敵の存在だった。ル・マン史上最長の連勝記録は、1981年の936スパイダーによる3回目の勝利で幕を開ける。そして翌1982年、ポルシェはグループCレギュレーションで開発されたプロタイプレーシングカー「956」を発表。この年のル・マンは956が表彰台を独占し、さらにトップ5までをポルシェ勢が占めた。

 

956とその後継モデルである962Cは走る実験室とも言える存在であり、電子制御式インジェクションシステムや、市販モデルではお馴染みとなった「ポルシェ・デュアルクラッチ・トランスミッション(PDK)」の開発ベットにもなっている。

 

1990年代には、ワークスチームとカスタマーチームにより、タイプの異なる3台のレーシングカーで4回の総合優勝を果たした。1994年は962Cをベースに開発された「ダウアー 962LM」が、ヤニック・ダルマス、ハーレイ・ヘイウッド、マウロ・バルディのドライブで優勝。1996年と1997年は、ポルシェが開発した「TWR ポルシェ WSC スパイダー」を使用したカスタマーチームがル・マンを制している。そして1998年はポルシェ911 GT1が1-2フィニッシュを達成した。

 

2015年〜2017年にかけてル・マン3連覇を達成した919 ハイブリッド

2014年、長らくワークス参戦を離れていたポルシェがル・マンに復帰。マシンはハイブリッドパワートレインを搭載した919ハイブリッドだった。

 

Porsche 919 Hybrid

ポルシェ 919ハイブリッド

 

先進的ハイブリッドマシンでハットトリックを達成

 

ワークス活動休止期間は、911のレース仕様によるカスタマーサポートも積極的に行ってきた。1999年から2018年までの間、ル・マンでは11回のクラス優勝を獲得している。

 

そしてついに総合優勝を狙い、2014年にワークスチームとして復帰。ヴァイザッハで“ゼロ”から開発されたポルシェ919ハイブリッドは、独自のハイブリッドテクノロジーを搭載していた。電気モーター、エネルギー回生システム、V型4気筒ガソリン直噴ターボにより、システム全体で約900psの最高出力を達成。2015年から2017年にかけてポルシェはハットトリックを達成した。

 

eスポーツに参戦するポルシェ 911 RSR

第88回目を数える今年のル・マン24時間レースの延期を受けて、主催者はeスポーツでの開催を決定。ポルシェは「ポルシェ Eスポーツチーム」を結成し、4台の911 RSRで参戦する。

 

Porsche 911 RSR

ポルシェ 911 RSR

 

バーチャル・ル・マンに4台の911 RSRを投入

 

クラス優勝108回、総合優勝19回を誇るポルシェは、約100年に及ぶル・マンの歴史の中で最も成功を収めたマニュファクチャラーとなった。ポルシェは1951年以来、様々なポルシェ製レーシングカーを創り上げ、この世界で最も厳しい戦いを強いられる伝統的なレースへの参戦を続けてきた。

 

しかし、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により、2020年のル・マン24時間レースは、9月19~20日に延期が決まってしまった。それでも、WECとACOは6月13~14日にレーシングシミュレーター「rFactor2」を使用したバーチャル耐久レース「ル・マン24時間バーチャル」の開催を発表した。

 

ポルシェはこのレースに向けて、新たに創設された「ポルシェ Eスポーツチーム(Porsche Esports Team)」を結成。専用のスペシャルカラーリングが施された4台の911 RSRで参戦する。