ポルシェ911 タルガ 4Sとタイムスリップするマックイーンの『栄光のル・マン』の世界

公開日 : 2020/06/30 11:55 最終更新日 : 2020/06/30 11:55

マックイーン『栄光のル・マン』の世界観を再現イメージ

911でサルトサーキットへ乗りつける名シークエンス

 

スティーブ・マックイーン主演の『栄光のル・マン』がクランクインしたのは、いまからちょうど50年前のこと。マックイーン演じるディレイニーがポルシェ911 Sでサルトサーキットへと乗りつける、静かなオープニングはあまりにも有名だ。

 

ワインディングを走り街路樹を抜け橋を渡ったグレイの911 Sが、サルトサーキットを味わうようにコース上をゆっくりと進んでいく。オーベルジュの前でクルマを停め、コクピットから降りたマックイーンがユーノディエールを見晴るかすショットはつとに印象的である。そこから車検場へと移動していく前半部分は会話の類も一切ない。伝説的なイントロの主役を務めていたのは、まさしく911 Sだった。

 

マックイーン『栄光のル・マン』の世界観を再現イメージ

スティーブ・マックイーン主演『栄光のル・マン』の世界観を再現するべく、サルトサーキット近郊トゥロシェの工房へ。初代911クーペと現行911のタルガ 4S ヘリテージ エディションが集合した。

 

現代版『栄光のル・マン』の代役に相応しいポルシェは

 

もしも2020年のいま、あの『栄光のル・マン』を再現するとしたら、911 Sの代役が務まる現代のポルシェはどれか。きっと911 タルガ 4S ヘリテージ エディションが最もふさわしいだろう。もちろん当時の倍以上、450hpという猛烈なパワーは比べようがないものの、エレガンスと逞しさを兼備したムードは相通じる。

 

911 タルガ 4S ヘリテージ エディションは、1950年代から60年代初頭のレースシーンへオマージュを捧げる限定モデル。フロントフェンダーに槍型のグラフィックを採用、ボンネットやステアリングホイール、ホイールセンター及びキーには1963年当時のロゴ「ポルシェ クレスト」を配している。

 

マックイーン『栄光のル・マン』の世界観を再現イメージ

今回の撮影には、劇中でマックイーンのライバルとして登場するドイツ人ドライバー、ヨハン・リッターのヘルメットも用意。

 

かつてポルシェチームの基地だったトゥロシェへ

 

今回『栄光のル・マン』にオマージュを捧げる撮影を実施するにあたって、その911 タルガ 4Sを連れていったのはサルトサーキット近郊にあるトゥロシェの工房。ここは1980年代までポルシェチームのベースとして使用されていた由緒ある聖地である。

 

『栄光のル・マン』の世界観を構築するもうひとつの要素として用意されたのが、劇中でマックイーンのライバルとして登場するドイツ人ドライバー、ヨハン・リッターのヘルメット。50年前の撮影で実際に使用した年代物だ。

 

マックイーン『栄光のル・マン』の世界観を再現イメージ

『栄光のル・マン』冒頭でマックイーンが911 Sでサルトサーキットにやってくるシーンはあまりにも有名。その代役を現代のポルシェが務めるなら、「911 タルガ 4S ヘリテージ エディション」がうってつけだ。

 

ポルシェ908で撮った実際のル・マン

 

なんといっても『栄光のル・マン』を名画たらしめているのが、実際のル・マン24時間レースの映像を物語に絡めた迫力ある演出だろう。

 

1970年のル・マンに、マックイーンの映画会社“Solar Productions”が所有するレースカー、ポルシェ908/02 スパイダーで出走。カメラカーとしてまさしく迫真の撮影を行った。跳ね上がる計器の針の映像ひとつとっても、レースの本物の躍動感を伝えている。

 

マックイーン『栄光のル・マン』の世界観を再現イメージ

1950年代から60年代のレースシーンに着想を得た限定モデル「911 タルガ 4S ヘリテージ エディション」は992台のみ生産される。1963年当時の「ポルシェ クレスト」を採用している。

 

「ポルシェは世界一のクルマ」

 

レーシングドライバーの行動や仕草、佇まいを映画の世界に閉じ込める。スティーブ・マックイーンが自身で温めていたそのアイデアを実現した『栄光のル・マン』。こけら落としは1971年、マックイーンの育ったインディアナポリスで行われた。あまりに独創的で実験的なその内容に、興行成績としてはふるわなかったものの、のちにカルト的人気を獲得。フォロワーとして数々の作品が生まれたのはご存じの通り。

 

マックイーン『栄光のル・マン』の世界観を再現イメージ

レースをこよなく愛したスティーブ・マックイーンが、その現実と魅力を一本の映画として閉じ込めた『栄光のル・マン』。劇中ではとりわけポルシェの“名演”が光る。半世紀を経てもなお、エンスージアストや映画好きから熱い支持を集めている。

 

映画のラスト近く、ディレイニーとライバルのエリッヒ・スターラーは大観衆の見守る中でフィニッシュラインを越えた。2人のいずれも勝者ではなかったが、互いに相手を深く認め合いながら。

 

スターラー役のジークフリート・ラウヒは、マックイーンについてこんな風に語っている。

 

「彼に言わせれば、ポルシェは世界一のクルマだったのさ」