最高出力730ps! 史上最強のV8エンジンを搭載する「メルセデスAMG GT ブラックシリーズ」デビュー【動画】

公開日 : 2020/07/20 06:30 最終更新日 : 2020/07/20 06:30


メルセデスAMG GT ブラックシリーズの走行シーン

Mercedes-AMG GT Black Series

メルセデスAMG GT ブラックシリーズ

 

 

最強を謳う「ブラックシリーズ」6番目のモデル

 

メルセデスは、史上最もパワフルな新開発V型8気筒ツインターボエンジンを搭載した「メルセデスAMG GT ブラックシリーズ」を発表した。アグレッシブな専用デザイン、作り込まれたエアロダイナミクス、最新素材の組み合わせにより、これまでにないドライビングダイナミクスを実現している。

 

最強のAMG GTの称号を掲げたこの公道走行可能なスーパースポーツは、メルセデスとAMGのモータースポーツにおける豊富な経験が惜しみなく注ぎ込まれた。フラットプレーン・クランクシャフトが採用されたV8ツインターボは、最高出力537kW(730ps)を発揮。AMG GT3由来のデザインに加えて、速度域により可変するアクティブ・エアロダイナミクスが搭載されている。

 

メルセデス AMGブラックシリーズのラインアップ

メルセデス AMGブラックシリーズのラインナップ。2013年からメルセデスAMGのトップを務めてきたトビアス・ムアースが、2020年7月いっぱいで退任。GT ブラックシリーズは、彼が関与した最後の作品となった。

 

トビアス・ムアース会長、ブラックシリーズが最後の作品に

 

メルセデスAMGは、妥協を許さないスポーツ性能、特別なエクステリア、モータースポーツ由来のテクノロジーなどを投入した少量限定車「ブラックシリーズ」を展開してきた。今回のGT ブラックシリーズは、6番目のモデルとなる。

 

ブラックシリーズは非常に希少性が高いものの、コレクターのガレージで埃をかぶるために作られたのではない。レーシングトラックで抜群のタイムを叩き出せる性能を持ちながら、一般公道も走行可能な車両として開発されている。AMG GT ブラックシリーズは、この伝統の最新作であり、メルセデスAMGのV8エンジン搭載車で最もパワフルなモデルとなった。

 

メルセデスAMGのトビアス・ムアース会長は、メルセデス AMG GT ブラックシリーズについて、以下のようにコメントした。ムアースはこの後、アストンマーティンの新CEOになることが決まっている。

 

「この新しいGT ブラックシリーズは、2006年に確立された“ブラックシリーズ”の伝統を引き継いでいます。6番目のブラックシリーズは、AMGが打ち立てた新たなマイルストーンであり、アファルターバッハの高い技術力を証明しています」

 

「あらためて成功を収めてきたGTファミリーの絶対的な頂点に立つ、このユニークなスーパースポーツを生み出したチームを誇りに思います。GTブラックシリーズのパフォーマンス、エクステリア、運動性能は他の追随を許しません。このプロジェクトは、AMGでの私の仕事の締めくくりとして素晴らしいものとなりました。皆さんに心から感謝しています」

 

メルセデス AMG GT ブラックシリーズのV8ツインターボ

フラットプレーン・クランクシャフトの採用、ターボのコンプレッサーとインタークーラーの大型化など、大幅な改良が施されたことで、「M178 LS2」という新たなエンジン名が与えられたAMG製4.0リッターV8ツインターボを搭載。

 

最高出力730ps・最大トルクは800Nmを発揮する「M178 LS2」

 

一般的にV型8気筒エンジンには、4気筒分のクランクピンが90度位相で配置されている「クロスプレーン」と、全てのクランクピンが180度位相で配置される「フラットプレーン(フラットクランクシャフト)」というふたつのバリエーションがある。AMG製V8エンジンはこれまでクロスプレーンを採用してきた。クロスプレーンは特徴的なエンジンサウンドを持ち、抜群の滑らかさと低回転域での高トルクが特徴となる。

 

今回、アファルターバッハのエンジニアは、4.0リッターV型8気筒ツインターボエンジンの排気量を最大限活用するために、フラットプレーンの採用を決定。クランクとピストンの取り付け角度が180度となった結果、より俊敏なスロットルレスポンスを実現している。

 

そして、様々な改良が施されたAMG製V8ツインターボエンジンは、新たに「M178 LS2」という型式名が与えられた。新しいカムシャフトとエキゾーストマニホールドの採用により効率は向上。最高出力537kW(730ps)、最大トルクは800Nmという、メルセデスAMG史上最もパワフルなV8エンジンの称号も手にしている。

 

メルセデス AMG GT ブラックシリーズの走行シーン

ターボチャージャーの改良により、スロットルレスポンスが大幅に改善。さらにローンチコントロールに改良が施されたことにより、0-100km/h加速3.2秒という性能を実現している。

 

スロットルレスポンスやスタート時の反応を改善

 

ツインスクロール・エキゾースト・ターボチャージャーは、4ドア仕様の「AMG GTクーペ」と同様にアンチフリクション・ベアリングを採用し、スロットルレスポンスを最適化。コンプレッサーを大型化したことで、エア供給量もAMG GT Rの900kg/hから1100kg/hに増加した。また、インタークーラーも大型化されている。

 

エンジンの刷新により、パワーやトルク、レスポンスの向上に加えて、そのエンジンサウンドも大きく変化した。もちろん走行性能も進化しており、0-100km/h加速は3.2秒、0-200km/h加速は9秒以下、最高速度325km/hというスペックを実現している。

 

強大なパワーはAMG製7速スピードシフトDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)を介して後輪を駆動。従来のAMG GTと同様に、最適な重量配分を実現すべくリヤアクスルにトランスアクスルを採用する。また、トランスミッションの冷却も改善された。

 

エンジンとトランスミッションをつなぐトルクチューブは、従来のアルミニウム製からカーボンファイバー製に変更。約40%の重量を削減し、13.9kgもの軽量化を実現した。また、ドライブシャフトにもカーボン製が採用された。

 

ゼロ発進加速を最適化するローンチコントロール機能も改善。スタート時のエンジン回転数を増加し、ホイールスリップコントロールをより繊細に制御することが可能で、さらにレーストラックに適したスポーツタイヤを採用したことにより、スタートレスポンスが大幅に改善されている。

 

メルセデス AMGブラックシリーズの空力開発

メルセデス AMGブラックシリーズの空力開発。世界中の耐久レースで活躍したAMG GT3で鍛えられたエアロダイナミクスが、ブラックシリーズにも投入。大型化されたラジエーター・エアインレットも、GT3由来の形状が採用されている。

 

大型化された新形状のラジエーター・エアインレット

 

エアロダイナミクスは、AMG GT RやAMG GT R PROと同様に、AMGの技術陣により徹底的に煮詰められている。今回、レース仕様のAMG GT3とAMG GT4から、様々な技術がキャリーオーバーされた。

 

大型化された新形状の「ラジエーター・エアインレット」はGT3から採り入れられた。中央のエアインレットからは、ホイールアーチクーラーにも直接フレッシュエアが供給されるようになり、従来存在していた2基のアウターエアアウトレットが廃止されている。フロント周辺のエア流量を最適化し、フロントアクスルのダウンフォースレベルを向上するだけでなく、ブレーキ冷却効率もアップした。

 

また、エアカーテンにより空気の流れをコントロールし、ホイールに向けて誘導。ホイール前部に設置されたフリックと組み合わせることで、ドラッグを大幅に低減し、ダウンフォースを増加させることができる。

 

メルセデス AMG GT ブラックシリーズの空力デバイス

フロントバンパー下に設置されたカーボンファイバー製フロントスプリッターは、走行状況に合わせて手動で調整が可能。さらに、速度域が上がることで自動的にリフトダウンし、ベンチュリー効果を発生させる。

 

走行条件に合わせて展開するフロントスプリッター

 

カーボンファイバー製フロントスプリッターは、手動での角度調整が可能(公道仕様/サーキット仕様)で、様々なサーキットコンディションに合わせてアジャストできる。レース仕様に設定すると、フロントセクション下部に逆ウイングプロファイル形状のフロントディフューザーが形成される。

 

走行速度が上がることで、スプリッターは自動的に下へと展開。アンダーボディのエアフローを大幅に加速させることで「ベンチュリー効果」が発生し、フロントアクスル周辺のダウンフォースレベルを増大させる。高速コーナリング時にはより正確なコントロールが可能となり、優れた安定性を発揮。コクピットのドライバーはステアリングでその効果を実感することができるだろう。

 

モータースポーツから直接派生したコンポーネントとして、2基の大型エアアウトレットを備えた新形状カーボンファイバー製ボンネットがある。この大型エアアウトレットは、エンジンルームから出る熱気を斜めに配置された冷却ファンを通して放出。ダウンフォースを増加させると同時に空気抵抗を減少させ、エンジンを冷却するためのエア総量も最適化される。

 

メルセデス AMG GT ブラックシリーズの空力デバイス

テールゲートにボルトで固定された「カーボンファイバー製2段式リヤウイング」は、アッパーウイングに可動式フラップを備える。このフラップはドライビングモードに応じて自動展開するほか、コクピットからもポジションを選ぶことができる。

 

可変フラップを備えた2段式大型リヤウイング

 

Aピラーとサイドウインドウ周辺を通過したエアフローは、完全に刷新されたリヤセクションへと導かれる。

 

大型ディフューザーを備えた新形状のリヤエプロン、左右に配置されたツインテール・パイプトリム、サイドホイールアーチ・ベンチレーションに加えて、革新的なカーボンファイバー製2段式リヤウイングが採用された。2枚のブレードは、様々な路面状況に合わせて調整が可能となっている。

 

ボトムウイングは上段よりも幅が狭く、これはフロントからのエアフローに合わせた形状が採用された。軽量かつ堅牢なカーボンファイバー製ステーはマットブラックにペイントされ、テストにより空力的に最適化された形状になっている。リヤウイングはカーボンファイバー製テールゲートにボルトで固定されている。

 

アッパーウイングは中央に可動式フラップを備える。このアクティブエアロダイナミクスは、走行状況と選択された「AMG ダイナミクス」のモードに合わせて、自動的に20度の範囲で調整される。フラットポジションは空気抵抗を低減した最高速度重視のセッティング。立ち上がったポジションは、リヤアクスル周辺のダウンフォースを増加させることで、ブレーキ性能とコーナリングの安定性を向上させる。

 

AMG ダイナミクスは「ベーシック(Basic)」「アドバンスド(Advanced)」「プロ(Pro)」「マスター(Master)の4つのモードを用意。250km/hまではフラップが自動展開し、250km/hを超えると空気抵抗を減らすためにフラットポジションとなる。

 

ただし、ドライバーが急ブレーキをかけたり、コーナーでハンドルを切ったりした場合、フラップはすぐに展開。ダウンフォースと空気抵抗の増加により、ブレーキングとコーナリング性能を最適化する。このフラップは、センターコンソールにあるボタンを使ってドライバーが任意にコントロールすることもできる。

 

ブラックシリーズは、ダブルバブル形状の軽量カーボンファイバー製ルーフ、小型リップスポイラーを備えたカーボンファイバー製テールゲート、軽量薄板ガラス製前後ウインドウなど、“インテリジェント”なマテリアルを積極的に導入。大幅な軽量化を実現した。

 

メルセデスAMG GT ブラックシリーズのエクステリア

足まわりのセッティングは、走行条件に合わせて「AMGダイナミックセレクト」で変更することができる。特にサーキット走行向けに用意された「スポーツ・プラス」モードは、走行するサーキットに合わせて自動的に調整される。

 

3つのモードが用意された足まわりのセッティング

 

ダブルウィッシュボーン・サスペンションは、バネ下重量を減らすためにウィッシュボーン、ステアリングナックル、ハブキャリアなどを鍛造アルミニウム製とする。リヤアクスルの上下に配置されたボールジョイントはモータースポーツで使用されている強化パーツを採用。ブラックシリーズは明確なステアリングフィードバックを提供することで、コーナリング性能が向上している。

 

AMG GT Rと同様に、調整可能なAMG製コイルオーバー・サスペンションをチョイス。過酷なレーストラックでの使用に対応するため、モータースポーツで鍛えられた可変アダプティブ・ダンピング・システムが組み合わされた。このシステムは高度に電子制御されており、スピードや路面状況に合わせて、各輪の減衰レベルを自動的に適応させる。

 

コーナリングやブレーキング時に減衰力を強めに設定し、車両のロールを効果的に抑制。また、速度に合わせて減衰量を連続的に可変調整することで最高のロードコンタクトが確保され、高速走行時の安全性を高めることに成功している。

 

ドライバーは「AMG ドライブユニット」のスイッチを押すか、「AMGダイナミックセレクト」のドライブモードを使って足まわりの特性を調整することも可能だ。

 

AMGダイナミックセレクトは、「コンフォート(Comfort)」「スポーツ(Sport)」「スポーツ・プラス(Sport Plus)」の3モードを用意。コンフォートとスポーツは公道での走行に適したセットアップで、スポーツは足まわりのセッティングがより硬くなり、乗り心地など快適性は低下する。スポーツはウェットコンディションなど滑りやすい路面状況が続く場合には、レーストラックでも選択できる。

 

スポーツ・プラスはサーキットでの使用を想定。平坦な高速コースのホッケンハイム、バンピーなニュルブルクリンク・ノルドシュライフェなど、コース状況を自動的に認識し、ダンピング・レベルを自動的に適応させる。

 

メルセデス AMG GT ブラックシリーズのインテリア

インテリアは、専用のナッパレザーとDINAMICAマイクロファイバーが組み合わされた。コクピットにはメータークラスター内に12.3インチディスプレイを装備。センターコンソールには10.25インチのマルチメディアモニターが配置される。

 

2基の大型ディスプレイを備えたレーシーなコクピット

 

インテリアは、専用ナッパレザーにスポーティなブラックのDINAMICAマイクロファイバーが組み合わせられた。トップステッチにはレーシーなーオレンジのコントラストが施されている。インストゥルメントパネルと新デザインの軽量ドアパネルには、ループ・プルハンドルを採用。この軽量ドアハンドルは、ブラックのDINAMICAマイクロファイバーでトリミングされている。

 

マットブラックのカーボンファイバー製トリム、インテリアナイトパッケージにより、印象的なコクピットが実現。AMGカーボンファイバー製バケットシート(米国、カナダ、中国では未販売)は、軽量化と最適な横方向のサポートを両立。米国、カナダ、中国では、AMGパフォーマンスシートが標準装備される。また、インテリアにはグレーのトップステッチを施したオプションも用意された。

 

これまでのAMG GTファミリーと同様に、フルデジタル・インストゥルメントディスプレイを採用。ドライバーの前方には12.3インチのインストゥルメント・クラスターを配置し、センターコンソールには10.25インチのマルチメディアモニターを装備した。

 

インストゥルメントクラスターはAMG専用の「クラシック(Classic)」「スポーティ(Sporty)」「スーパースポーツ(Supersport)」という3種類のディスプレイスタイルが用意されている。「スーパースポーツ」モードでは、中央にレブリブカウンターが配置され、マニュアルトランスミッションモードでのシフトアップを促す「シフトライト」など、幅広い追加情報を表示する。

 

メルセデス AMG GT ブラックシリーズのインテリア

AMGカーボンファイバー製バケットシート装着車に対応する「AMGトラックパッケージ」は、軽量チタン製ロールケージを装備。転倒時の安全性向上だけでなく、ボディ剛性を大幅にアップさせる。

 

ロールケージを備える「AMGトラックパッケージ」

 

米国、カナダ、中国以外のマーケットでは「AMGトラックパッケージ(AMG Track Package)」をチョイスすることができる。このパッケージには、ロールオーバープロテクションシステム、ドライバーシートと助手席用4点式シートベルト、サーキット専用消火器が含まれる。

 

ロールオーバープロテクションシステムの軽量チタン製ロールケージは、メインロールバー、シートベルト取り付け用ブレース、2基のリヤブレース、リヤのX形状ブレースで構成。ロールケージを装着することで安全性はもちろん、ベースモデルの高い車両剛性をさらに向上させ、ドライビング・ダイナミクスを大幅にアップさせる。

 

 

【SPECIFICATIONS】

メルセデスAMG GT ブラックシリーズ

エンジンタイプ:4.0リッターV型8気筒ツインターボ

総排気量:3982cc

最高出力:537kW(730hp)/6700-6900rpm

最大トルク:800Nm/2000-6000rpm

トランスミッション:AMG スピードシフト 7速DCT

駆動方式:RWD

最高速度:325km/h

0-100km/h加速:3.2秒