ポルシェ911 GT3 RSをニュルブルクリンクで試乗:後編。GPコースを島下泰久が全開アタック!【Playback GENROQ 2018】

公開日 : 2020/07/20 17:56 最終更新日 : 2020/07/22 11:45

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ポルシェ911 GT3 RS海外試乗、走行シーン

Porsche 911 GT3 RS

ポルシェ911 GT3 RS

 

 

聖地・ニュルブルクリンクでポテンシャルを暴く

 

ダウンサイズターボ化が進む911のラインナップにおいて頑にNAを貫くGT3。その最高峰であるRSが新たに生まれ変わった。4リッターのNAエンジンは歴代最高である520psを達成。そのパワフルさと速さ、そして9000rpmまで回りきるフラット6。現代のスーパースポーツカーとしては珍しいほどのピュアな快感がここにある。911シリーズきっての辛口モデルを、清水和夫と島下泰久が試乗インプレッション。本記事では島下泰久氏のレポートをお届けする。

 

ポルシェ911 GT3 RS海外試乗、走行シーン

レブリミットは実に9000rpmという自然給気の4.0リッター水平対向6気筒エンジンを搭載する911 GT3 RS。ニュルで鍛えられたパフォーマンスを現地で島下泰久氏が確認した。

 

「ひたすらに走りを突き詰める姿勢。この精神性はレーシングカーそのものだ」

 

ニュルブルクリンク北コースのラップタイムは驚愕の6分56秒4。先代から実に24秒も削り取る速さを引っ提げて登場した新型ポルシェ911GT3 RSは、そのタイムアップぶりからも解るように、ハードウェアを大幅に進化させてきた。

 

もっとも解りやすいところで言えば、最高出力は20ps増の520psに達している。先代と同じく水平対向6気筒4リッター自然吸気ではあるが、このエンジンは昨年登場したGT3から使われている新設計ユニットで、その基本設計は911GT3カップや911GT3 R、911RSRといったレーシングマシン用とも共有している。

 

最高許容回転数はGT3と同じく9000rpm。では、どのようにしてプラス20psを得ているのかと言えば、GT3 RSはターボボディの採用によりリヤフェンダーがワイド化され、エアダクトも開いている。そのため、より容量の大きな吸気系を再設計することができ、高回転域での一層のパワーアップが可能になったのだという。

 

ポルシェ911 GT3 RS海外試乗、オプションパッケージ

オプションのヴァイザッハパッケージはカーボン製ルーフ、マグネシウム製ホイール、チタン製ロールケージ、カーボン製アンチロールバーなどで30kgの軽量化を実現する。

 

「さらに30kgの軽量化を実現するヴァイザッハ パッケージも設定」

 

当然、ターボボディの目的はそれだけではなく、拡げられたフェンダーの内側には前20インチ/後21インチのよりワイドなタイヤが収まる。ボディは軽量化のためCFRP製のフロントフードやフェンダー、マグネシウム製ルーフなどを採用。強力なダウンフォースを稼ぎ出すべく、さらに前方に突き出したリップスポイラー、ブレーキ冷却とドラッグ低減に貢献するボンネット上のNACAダクト、これもCFRP製の固定式大型リヤスポイラーなどの専用空力パーツで武装している。

 

シャシーのアップデートはGT2 RSに準じたかたちだ。ほとんどのゴムブッシュはユニボールジョイントに置き換えられ、スプリングレートはGT2 RSと同等、つまり先代のほぼ倍にまで高められている。

 

GT2 RSに倣って、CFRP製のルーフや前後アンチロールバー、そしてシフトパドルに、チタン製のロールケージパーツなどを盛り込んで、さらに30kgの軽量化を実現するヴァイザッハ パッケージも設定された。また、公道走行可能ながらドライグリップに特化したトラック用タイヤも、この6月よりポルシェセンターで用意されるという。改めて言うまでもなく、6分56秒4を叩き出したのは、この仕様である。

 

ポルシェ911 GT3 RS海外試乗、リヤウイング

大型の固定式リヤスポイラーは手動で角度調整が可能だ。素材はカーボン製となり、200km/h時に144kgのダウンフォースを発生する。

 

「この快感の海に放り込まれたら、慎重に行くなんて無理な話」

 

ニュルブルクリンク グランプリコースでの我々の試乗の機会に用意されていたのはノーマルのPCCB付きという仕様だった。ほぼ10年ぶりに走るコース。最初は慎重に行く、つもりだったのだが・・・。

 

コースインしてアクセルをさらに踏み込んでいくと、自然吸気フラット6の刺激的なサウンドとレスポンスで、一気にアドレナリンが湧き出してしまった。回転が上昇するにつれてリニアにパワーが高まっていき、ほとんどがターボ化されてしまった最近のハイパフォーマンスカーなら、そろそろ頭打ちになる7000rpmを超えてもなお、ますます勢いに拍車がかかってくる。

 

そう、まさにここからがハイライト。GT3以上に迫力あるサウンド、そして圧倒的なパワーを炸裂させながら一気に9000rpmまで達するのだ。PDKの変速タイミング、そしてスピードも完璧で、Dレンジのままで旨味を余さず堪能できる。この快感の海に放り込まれたら、慎重に行くなんて無理な話である。

 

ポルシェ911 GT3 RS海外試乗、ロールバー

リヤシートは用意されず、完全な2シーター。クラブスポーツパッケージを選択するとロールケージが装着される。

 

「RS=レンシュポルトの伝統は、ここに完璧に継承されている」

 

そうは言うものの、当然ながら無理は禁物だ。トレッドが拡大され、タイヤもワイドになり、しかもサスペンションにはユニボールが多用されていることから、コーナリングはシビアさを増している。直接比較できたわけではないが、GT3ではバケットシートのホールド性には問題を感じなかったのに、このGT3 RSではシートの中で身体が動いてしまって難儀したことを考えれば、速さは間違いなく増しているのだろう。しかし、その領域はナイフエッジのように狭く、少しでも行き過ぎるとPSMがオンのままであるにも関わらずリヤが結構な勢いと量で滑り出す。ドライバーの側も、より神経を研ぎ澄ませてクルマと対峙する必要がある。スペックが向上したからと言って、自動的に速く走ってくれるわけではないのだ。

 

サーキットをエンジョイするというより、コンマ1秒でもタイムを削り取るべくひたすらに走りを突き詰める。GT3 RSは、ドライバーにそういう姿勢を求めてくるクルマである。この精神性は、まさにレーシングカーそのものだと言っていい。

 

RS=レンシュポルトの伝統は、ここに完璧に継承されている。そうした走りの世界に浸ることに無上の歓びを感じる、ストイックでファナティックな人たちにとって、この新しい911 GT3 RSはこの上ない1台となるだろう。

 

 

REPORT/島下泰久(Yasuhisa SHIMASHITA)

PHOTO/Porsche AG

 

 

【SPECIFICATIONS】

ポルシェ911 GT3 RS

ボディサイズ:全長4557 全幅1880 全高1297mm
ホイールベース:2453mm
車両重量:1430kg
エンジン:水平対向6気筒DOHC
総排気量:3996cc

最高出力:383kW(520ps)/8250rpm
最大トルク:470Nm(47.9kgm)/6000rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(リム幅):前265/35ZR20(9.5J) 後325/30ZR21(12.5J)
最高速度:312km/h

0-100km/h加速:3.2秒
燃料消費率:12.8リッター/100km
CO2排出量:291g/km
車両本体価格:2692万円

 

 

※GENROQ 2018年 7月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

 

 

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