ニューデザインを纏ったジャガー Fタイプ コンバーチブル試乗! 高品質な仕上げにライバル不在の完成度を見た

公開日 : 2020/07/23 17:55 最終更新日 : 2020/07/23 17:55

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ジャガー Fタイプ Rダイナミック コンバーチブルの走行シーン

Jaguar F-Type R-Dynamic Convertible

ジャガー Fタイプ Rダイナミック コンバーチブル

 

 

大胆不敵な刷新

 

ジャガーが放つピュアスポーツが大胆な刷新をうけて登場した。より筋肉質でドラマチックな外観、インテリアには最新の大型ディスプレイを採用。今回は300ps/400Nmを発生する2.0リッター直4ターボ搭載のコンバーチブルを味わってきた。

 

ジャガー Fタイプ Rダイナミック コンバーチブルの走行シーン

全長4470×全幅1925×全高1310mm、ホイールベース2620mmのボディディメンションと、車両重量1670kgをスペックシートに掲げるジャガー Fタイプ Rダイナミック コンバーチブル。今回は主にエクステリアデザインに刷新を加えた。

 

「上質なオープン2シーターとして、申し分のない出来栄えに感嘆した」

 

新型車の登場にはワクワクさせられるが、熟成を積み重ねたモデルの良さも捨てがたい。例えば自分の未来の愛車を考えた時には、熟成の度合いをまず先に考える。マイナーチェンジ後というのは、欠かせないキーワードといえる。

 

ブルーファイヤーブルーという深みのある青が印象的なジャガーFタイプはマイナーチェンジが施されたばかりの新型である。ヘッドランプが縦長からキリッとした横長デザインに切り替わったフロント・マスクには、2020年代のジャガーらしさがしっかりと盛り込まれている。完全刷新されたフロントに対し、リヤエンドはテールランプとバンパーのお化粧直し程度に見えるが、それでも前後のスタイリングが完全に符合しているように見えるあたりにデザイナーの力量が感じられる。

 

ジャガーFタイプ Rダイナミック コンバーチブルの走行シーン

爽快なオープンエアドライブを実現するコンバーチブルでは、幌にソフトトップを採用する。重心が高くなるメタルトップを避け、スポーツ性能を追求していることが窺える。

 

「未来のジャガーデザインを背負って立つ」

 

ジャガーのような規模のメーカーのデザインが合議制で成り立つことは百も承知だが、しかしカリスマティックなチーフの存在が欠かせない。Fタイプの新しい意匠を手掛けたのは、昨年イアン・カラムからバトンを受け取ったばかりのジュリアン・トムソンである。

 

ジュリアンはジャガー・デザインの大所帯の中でジワジワとトップまで上りつめた人間ではない。1990年代の中頃、懐かしくも新しい曲線を持った初代のロータス エリーゼで一躍時の人となった彼は、VWで工業デザインに磨きをかけ、ジャガーに招聘された。おそらく未来のジャガーデザインを背負って立つことが運命づけられていたのだろう。

 

彼の経歴に含まれるもうひとつのトピックは、プリンス・ビラの血を引いているという事実である。戦前のヨーロッパレース界を、イギリスを代表するレーシングカーであるERAで駆け抜けたシャム国(現在のタイ)の王族である。

 

ジャガーFタイプ Rダイナミック コンバーチブルのエンジン

最高出力300ps/最大トルク400Nmを発生する2.0リッター直4ターボのINGENIUMガソリンエンジンを搭載。トランスミッションには8速ATを採用した。

 

「P300は最もピュアで軽快なモデルという予測が成り立つ」

 

そんなヒストリーを踏まえて刷新されたFタイプのスタイリングを眺めると、その背後にある奥深さが見えてくる(?)。少なくともそれは、どこかの国のクルマによくある、広告代理店とマーケッターの意見を具現化しただけの「それ風のデザイン」ではない。13年のデビューから今回のマイナーチェンジまでの間にも、Fタイプには数多くの刷新が施されてきた。特にデビュー当初のV8エンジンモデルのハンドリングはまったく褒められたものではなかったから、余計にその後の改良が印象的に感じられたのである。

 

今回試乗したのはRダイナミックのスタイリングでまとめられたコンバーチブル。車名の末尾のP300の文字は300psの最高出力を誇る2.0リッター4気筒ターボエンジン搭載車であることを意味している。V6エンジンを搭載したFタイプはAWDと後輪駆動が選べるがV8エンジンモデルはAWDのみ、一方4気筒モデルは後輪駆動のみとなる。つまりP300は最もピュアで軽快なモデルという予測が成り立つ。

 

インテリアのデザインにはほとんど変更がないように見える。はっきりと違うのはナビモニターがセンターコンソールの幅いっぱいまで拡大されたことぐらい。だが原初のデザインがかなり攻めたものであるため、これをリデザインすることは不可能に近いし、古さが感じられないので変える必要もなかったのだろう。

 

ジャガーFタイプ Rダイナミック コンバーチブルのインテリア

12.3インチのディスプレイを新たに標準装備するが、全体的なインテリアデザインは引き継がれている。試乗車にはオプションのパフォーマンスシートが備わり、確実なホールド性を提供する。

 

「4輪の間で荷重がねっとりと移動していく様子が感じられる」

 

オプション設定されているパフォーマンスシートのホールドの強さはレースカーのそれを彷彿とさせる。シートポジションを低めにセットし、微かに濡れたワインディングに勢いよく走り出してみる。

 

箱根の直線的な上り坂で感じる限り、300psという最高出力は決して刺激的なものではない。ターボキックははっきりと感じられるが、それよりもファットなリヤタイヤのポテンシャルの方が数段上をいっている。結果的にコーナーの途中のかなり早くから自信を持ってスロットルをベタ踏みすることになる。

 

コーナーへの進入から脱出に至る姿勢の制御は見事で、以前よりストローク感が短く感じられるのだが、ロールスピードは明らかにゆっくりしている。少々手荒くドライビングしても、4輪の間で荷重がねっとりと移動していく様子が感じられ、安定感が高いのである。とはいえこれがマイチェンによる効能かと言われるとなんとも自信がない。何しろ今回の試乗車の走行距離は1000kmに満たない。経験上、この程度の走行距離で足まわりの感触を断定することは出来ないと思っている。

 

ジャガーFタイプ Rダイナミック コンバーチブルの走行シーン

吉田拓生氏は「オープンボディとは思えないほどボディが硬質だし、幌を開けた時に適度な包まれ感が残されている」と、Fタイプ コンバーチブルを評価する。

 

「質の高いオープン2シーターとして捉えるとライバルは見当たらない」

 

スーパースポーツの末っ子だと思ってドライビングするとパンチが足りないのだが、質の高いオープン2シーターとして捉えるとおおよそライバルが見当たらなくて魅力的に思えてくる。オープンボディとは思えないほどボディが硬質だし、幌を開けた時に適度な包まれ感が残されている点もプライバシーと爽快感をうまい具合に両立させている。

 

唯一気になったのは、パワーやボディサイズに対してオプションの20インチタイヤが主張しすぎる点だった。直線では振動を拾い気味で、コーナーではグリップが勝ちすぎている感が強かった。Rダイナミックの標準の19インチなら前輪が1サイズ、後輪が2サイズ細くなるので、ジャガー特有のしなやかさと4気筒モデル特有の軽快なハンドリングを享受できるようになると思う。

 

Fタイプの車格はポルシェ911やアストンマーティン ヴァンテージあたりと軽くぶつかっている。だがベーシックな4気筒モデルがライバルとして見据えているのは、重厚な雰囲気を湛えてワカゾーを寄せ付けない伝統的なジャガー像なのかもしれない。

 

 

REPORT/吉田拓生(Takuo YOSHIDA)
PHOTO/田村 弥(Wataru TAMURA)

 

 

【SPECIFICATIONS】

ジャガーFタイプ Rダイナミック・コンバーチブルP300

ボディサイズ:全長4470 全幅1925 全高1310mm
ホイールベース:2620mm
車両重量:1670kg
エンジン:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1995cc
最高出力:221kW(300ps)/5500rpm
最大トルク:400Nm(40.8kgm)/1500-2000rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前後ダブルウイッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(リム幅):前245/45ZR18(8.5J) 後275/40ZR18(9.5J)
燃料消費率(WLTCモード):10.7km/L
車両本体価格:1101万円

 

 

【問い合わせ】
ジャガーコール
TEL 0120-050-689

 

 

【関連リンク】

・ジャガー 公式サイト

http://www.jaguar.co.jp/

 

 

【掲載雑誌】

GENROQ 2020年 9月号