ランボルギーニが国際宇宙ステーションで複合素材の研究実験を続ける狙いとは?

公開日 : 2020/07/24 11:55 最終更新日 : 2020/07/24 11:55

宇宙に降り立ったランボルギーニ シアンのイメージ

Lamborghini Sian Roadster

ランボルギーニ シアン ロードスター

 

 

2019年に複合素材をアンタレスロケットで宇宙へ

 

1969年7月20日、人類は月に降り立った。それから51年後、アウトモビリ・ランボルギーニは、この歴史的偉業を称え、改めて宇宙への関与をアピールした。

 

サンタアガタ・ボロネーゼのランボルギーニで製造されたカーボンファイバー複合材は、2019年11月にアンタレス・ロケットに搭載され宇宙へと飛び立った。ランボルギーニは自社で開発・生産した素材パーツを、実験目的で国際宇宙ステーション(ISS)に送り込んだ世界初の自動車メーカーとなっている。 

 

ランボルギーニは、2018年からヒューストンメソジスト研究所と提携。高度複合素材のスーパースポーツへの応用や、医療分野における将来的な転用を視野に入れ、同研究所との研究・開発を続けている。今回、サンタアガタ・ボロネーゼで製造された5種類の複合素材が宇宙空間に送られ、極限の環境下でどのような反応をするかを分析。この実験はISSを展開する米国エネルギー省所管国立研究所がスポンサーとなり、ヒューストンメソジスト研究所が監修している。

 

カーボンリサイクルを推進するランボルギーニ

ランボルギーニはスーパースポーツの製造過程で発生する様々な複合素材のスクラップを再利用する「カーボンリサイクル・プロセス」の研究を続けている。

 

スーパースポーツ製造で発生する繊維素材のリサイクル

 

ランボルギーニは、コンセプト立案から開発、そして生産から修理まで、複合素材の製造工程全体のノウハウを持っている。最先端の設計技術管理、シミュレーション、新たなマテリアルの使用、様々な生産プロセスの採用により、「技術の適材適所」を理解している自動車メーカーだと言えるだろう。

 

この生産プロセスにおいては、様々な種類の複合材料を大量に使用。その性質上、主にアヴェンタドールのモノコック製造工程は、大量の複合素材スクラップが発生することになる。その総量は現在年間24トンにも及ぶという。

 

3年間に渡り、ランボルギーニはリサイクル可能な素材を回収し、新製品への再利用を目的とした「カーボンリサイクル・プロセス」を研究してきた。このリサイクル・プロセスは、サステナブル(持続可能)な自動車ビジネスの確立にとって必要不可欠だとランボルギーニはしている。

 

ISSで続くランボルギーニの複合素材実験

製造工程によって発生する繊維素材を、ランボルギーニ内でリサイクルする「クローズド・サイクル」を目指すランボルギーニ 。ISSでの実験は、そのプロセスをさらに推進させる目的で行われている。

 

ISSでの実験により推進される「カーボンリサイクル」

 

2019年11月以降、回収された複合素材スクラップは、繊維の種類ごとに分別されて特定の袋に入れられる。その後、熱分解プロセスにより樹脂を溶かし、繊維リサイクル・パートナーへと搬送。繊維を加工して「不織布」に再生産することで、新たな用途のベースとなる製品が生まれる。

 

ランボルギーニは様々な熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を再含浸させることで、より多くのカーボンリサイクル可能な製品を実現しようと研究中だ。

 

想定されている用途としては、フロア、ブラケット類、サポート類、プロトモールドなど。このカーボンリサイクル・プロセスは、繊維素材が回収されるだけでなく、ランボルギーニ製品へと再利用される「クローズド・サイクル」を保証している。クローズド・サイクルとは、回収した自社製パーツを新たな自社製品の素材として再使用・再利用することだ。

 

現在、ISSにおいて行われている実験は、様々な環境下でどのような素材活用ができるのか、より多くのフィードバックをランボルギーニへともたらすことになる。