ブガッティ ベイビーの生産スタート。大人も乗れるミニチュア・タイプ35の完成度に見る「本気」
公開日 : 2020/08/05 06:30 最終更新日 : 2020/08/05 06:30
Bugatti Baby II
ブガッティ ベイビー II
75%縮尺のタイプ35は500台限定
ブガッティは「ブガッティ ベイビー II」の量産がスタートしたと発表。75%のスケールで再現したタイプ35が、まもなく顧客の元へと旅立ち始める。
ブガッティ ベイビー IIは、1925年型のタイプ35をパーツ単位でデジタルスキャンし、75%スケールで再現したミニチュアモデル。同社が創業110周年を迎えた2019年のジュネーブ・ショーでプロジェクトを発表するや、生産分の500台はたった3週間で完売の札があがった。
ブガッティ ベイビーの祖先、タイプ52
ブガッティ ベイビーの歴史は1926年に遡る。エットーレ・ブガッティとその息子ジャン・ブガッティが、エットーレの末っ子ローランドの4歳の誕生日にプレゼントしたのが50%スケールのタイプ35だった。
ワンオフとして製作したブガッティ ベイビーだったが、モルスハイムを訪れたゲストを中心に反響が広がり、1927年には量産化。「タイプ52」と名付けられたミニチュアカーは、1936年まで約500台が作られ販売された。いまも世界中のブガッティ愛好家により大切にコレクションされている。
ブガッティ オートモビルズのステファン・ヴィンケルマン会長は語る。
「エットーレ・ブガッティは、ブガッティ愛好家だけでなく、彼らの子供たちを喜ばせるようなものも作りたいと考えていました。そして彼は、本物のブガッティとしてタイプ52を設計したのです。それは当時、じつにセンセーショナルなことでした」
リチウムイオンバッテリーと回生ブレーキを搭載
子供向けに半分のスケールで作られたオリジナルのブガッティ ベイビーに対し、今回は75%縮尺にすることで、大人でも楽しむことができる乗り物とした。
ベイビー IIの開発に協力したのが、ペダルカーなどの製作を手掛けるリトル・カー・カンパニー。リチウムイオンバッテリーと回生ブレーキを備えた最新の電動パワートレインを搭載したミニチュアEVとして完成させた。
エンジニアは、1924年型タイプ35の全コンポーネントをパーツ単位でデジタルスキャン。コクピットはアルミ製のダッシュボードと上質なレザーシートで構成している。
オリジナルの燃料圧力計やオイル計、回転計はパワーゲージ、バッテリー残量インジケーター、スピードメーターに置き換えられた。有名な4本スポークのステアリングホイールは、乗降時の利便性を考慮し着脱式としている。

有名な4本スポークのステアリングホイールをはじめ、燃料用の手動ハンドルや計器類もオリジナル同様の意匠で、同様の位置に設置している。むろん用途は異なり、セレクターレバーやバッテリー残量インジケーターなどとして利用している。
ペダルはアルミの削り出し、バッジは純銀製
位置を調整できるペダル類はアルミの削り出しで、「EB」のロゴが誇らしげに刻まれている。また、手動で燃料を送り込むハンドルも正確に復元しているが、燃料を使わずに走るEVゆえに、セレクターレバー(前進、ニュートラル、後退)としての役割が与えられた。
また、ノーズにはお馴染みブガッティの「マカロン」バッジを配置。このバッジはシロンに採用されているものと同じ50gの純銀製である。外板色や内装色は様々に組み合わせることができ、たとえばシロンとまったく同じカラースキームを選択することも可能。オンラインコンフィギュレーターで好みの組み合わせを見つけるのも楽しい。
ブガッティ ベイビー IIのオーナーになると、「ザ リトル カー クラブ」と「ブガッティ オーナーズ クラブ」への招待状が届く。子供や孫がベイビー IIに乗り、世界の有名なサーキットでレースデビューを飾る日が待っているというわけだ。
200時間以上費やすアルミニウムボディ
グレードは3種類をラインナップ。標準モデルは複合材で仕立てたボディに1.4kWhのバッテリーを搭載する。上位グレードの「ヴィテス」はカーボンファイバーボディを採用し、バッテリー容量は2.8kWhにアップ。シロンやヴェイロンが搭載するスピードキーも装備し“高速走行”にも対応する。
「ピュール サン」はコレクター向けの仕様。パワートレインは「ヴィテス」と同じものを搭載するが、ボディは美しい手仕上げのアルミニウム製となる。オリジナルのタイプ35と同様の、伝統的なコーチビルド技術を用いて形づくられる。各ボディは熟練職人が200時間以上費やして完成するという。
後輪駆動+LSD装備で0-60km/h加速は6秒
すべてのベイビー IIは後輪駆動で、リヤにはLSDを装備。ベースモデルは最高速度20km/h、最大出力1kWに制限する子供向けモードと、最大出力を4kWまで解放して45km/hの最高速度を実現する大人向けモードを用意する。
「ヴィテス」と「ピュール サン」はその2モードに加え、さらに「スピードキーモード」を設定。最大出力は10kWまで高まり、230kgの車体はミシュランタイヤをわずかにスピンさせながら一気に押し出される。最高速度は70km/hに達し、ドライバーの体重にもよるものの、0-60km/h加速は6秒ジャストの記録を刻んでいるそうだ。
一度の充電で走行できる距離は標準モデルが25km、上位仕様が50km。それでも足りないという顧客向けには、数秒で簡単に交換できるバッテリーパックも用意している。
「これは本当に本物のブガッティ」
サスペンションのジオメトリは、1924年にリヨンで開催されたフランスGPに出場したオリジナルのタイプ35をスキャンしたデータを元に再現。ダンパーは調整式にアップデートしている。走りの開発にあたっては、ブガッティのテストドライバーであるアンディ・ウォレスが参画。最終的なチューニングやセットアップを決定した。
テストドライバーのアンディ・ウォレスは言う。
「スピードキーを差し込んで一番パワフルなモードにすると、ベイビー IIは本当に素速く走ります。回生ブレーキのタッチもすごくいい。素直に思いましたよ、これは本当に本物のブガッティなんだって」
入手を諦めていた方に朗報
ところで、冒頭でブガッティ ベイビー IIは発表から3週間で完売したことに触れた。しかし昨今の世界状況を受けて数件のキャンセルが発生しているという。ごく限られた数ではあるものの、入手のチャンスはゼロではないようだ。
ちなみに“車両価格”は標準仕様が3万ユーロ(約374万円)、ヴィテスが4万3500ユーロ(約543万円)、ピュール サンが5万8500ユーロ(約730万円)。気になる方は、なるべく早めに公式ページをチェックしていただきたい。
【関連リンク】
・ブガッティ ベイビー II特設サイト(英語)
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