最新のラグジュアリーEV、キャデラック リリック登場! 「大いなる快適」のエッセンスを詳報する

公開日 : 2020/08/16 06:30 最終更新日 : 2020/08/17 14:32

キャデラック リリックのフロントイメージ

Cadillac LYRIQ

キャデラック リリック

 

 

次世代の高級車を提案する電動SUV

 

GMはキャデラックの新モデル「リリック」を発表。リリックはブランド初のフルEVで、航続距離は最長300マイル(約483km)を実現するという。発売時期は明言しておらず、現時点では「2022年に量産に入る」と述べるに留めている。

 

リリックが搭載するのは、GMが独自開発した新型バッテリー「Ultium(アルティウム)」。パッテリーパックの中に、大容量のパウチ型セルを垂直方向にも水平方向にも積むことができるフレキシブル性を特徴とし、様々な車両設計に対応する。蓄電容量も50〜200kWhと幅広く設定できる。リリックには容量100kWh仕様を積む模様。駆動方式はRWDが標準、高性能仕様としてAWDを設定するという。

 

キャデラック リリックのサイドビュー

リリックは、LG化学との合弁会社により生産を行う次世代バッテリー「アルティウム」を搭載するEVだ。アルティウムは次期ハマーやホンダの次世代EVにも搭載していく。今後の伝家の宝刀となるか。

 

新型ハマーやホンダ車にも積む最新バッテリー

 

NCMA(ニッケル・コバルト・マグネシウム・アルミニウム)化合物を使い、カソード(正極)にアルミニウムを用いることでレアアースの使用量を削減。従来GMが用いてきたバッテリーに比較して、コバルトの扱いを70%抑えることができるという。

 

バッテリーシステムは専用のモジュール内に直接格納できるため、電池内配線もこれまでの90%まで減らすことができた。充電方法は急速DC及び普通ACの両方に対応し、前者は150kW超、後者は最大19kWの充電器に適応する。

 

アルティウムバッテリーの導入にあたってはLG化学との合弁会社を設立し、現在オハイオ州に生産工場を建設中。今後はリリックやハマーEV(2021年生産開始予定)、さらにはホンダの次世代EVにも搭載していく。

 

キャデラック リリックの正面イメージ

内燃機関の選択肢がないリリックは、口のふさがったフロントマスクを採用している。漆黒のクリスタルを思わせる表面処理や、LEDライトの描くグラフィックが「新しいキャデラック」を演出する。

 

10億色超を表現する33インチディスプレイ

 

次世代の高級車の姿を提案するリリックのハイライトは、なんといってもキャビンの空間づくりにある。

 

コクピットには、エスカレードが“自動車業界初”として採用に踏み切った「湾曲したOLEDパネル」を搭載。33インチ超の巨大な高精細ディスプレイは、4Kテレビの2倍のピクセル密度をもつ。10億色以上の色相を表現可能(通常の液晶ディスプレイの64倍)で、黒の再現度も極めて高い。

 

ヘッドアップディスプレイにはAR(拡張現実)を応用。表示は2階層に分かれており、手前側に車速や進行方向、奥側にナビゲーション情報を表示するなど、種々データを3次元で投影することが可能となる。

 

キャデラック リリックのディスプレイイメージ

ぬるりとした有機的な線を描く33インチディスプレイを搭載。10億色以上の色相を表現するという。視認性はもとより、図形やフォントの輪郭もクリアで可読性に優れる。

 

「車外からの駐車」も可能に

 

ハンズフリー高速道路運転支援システム「スーパークルーズ」も採用。ライダーマップデータと高精度GPS、ドライバー監視システム、カメラ、レーダーセンサーの数々を活用して、アメリカ合衆国とカナダの高速道路であれば、条件さえ整えば20万マイル以上(約32万km)の範囲で“手放し”運転をアシストする。

 

また、超音波センサーを使った自動パーキング機能も搭載し、ドライバーが乗車していなくとも並列・縦列駐車が可能となる。

 

キャデラック リリックの充電ポートイメージ

リリックの充電方法は、急速DC(150kW以上)及び普通AC(最大19kW)の両方に対応する。フル充電からの航続距離は最長300マイル(約483km)を標榜。

 

マイクの世界的権威が手掛ける音響空間

 

静かなEVにとりもなおさず求められるのが「良質な音響空間」だが、リリックにはまったく新しいロードノイズキャンセレーション技術を投入するという。複数のマイクロフォンや加速度計などを用い、タイヤの空洞共鳴音など耳障りなノイズを徹底的に排除する。

 

また、オーディオはマイクロフォンやヘッドフォンの世界的ブランドとして知られる「AKG」が、キャデラックのために専用のシステムを開発。19スピーカーのサウンドシステムが、アーティストのレコーディングスタジオ並みの音響空間を演出する。

 

キャデラック リリックのリヤビュー

キーを携えたオーナーが近づくと、前後のLEDライトによる“ウェルカムダンス”が始まるという。ライトを使った演出は、これから車内外における重要な要素になっていく模様。

 

ミニマル表現に宿る高級車の新たなデザイン言語

 

エクステリアのデザイン言語も一段跳びで進化している。EVゆえの“口を閉じた”フロントグリルは、漆黒のクリスタルを思わせる表情。繊細なLEDが描きだすライトは“振り付け”演出つきで、キーを持ったオーナーが近づくと配光を制御してお出迎えをするそうだ。

 

電動パワートレインのメリットを最大限活用した広大な室内は、収納などの実用的な要素はなるべく人の目に触れないように設計。スイッチ類をなるべく排除したミニマルな見映えを徹底し、近未来的な空間を作り出している。

 

キャデラック リリックのキャビンイメージ

EVパワートレインのアドバンテージを最大限活用した広大なキャビン。シートのバックレスト裏の意匠など、新たなデザインへの挑戦が随所に宿されている。

 

近代家具的ムードが漂うキャビンの意匠

 

ディスプレイや照明などの先進テクノロジーだけでなく、バックレスト裏の加飾などにはコルビュジエやミース・ファン・デル・ローエによるデザイン家具のような意匠を見つけることができる。

 

キャデラック リリックのリヤビュー

リリックの生産開始は2022年にスタートする計画。2021年にはEVパワートレインを積んだハマーの量産もスタートすると見られ、これからGMの新しい攻勢が自動車界を賑わせそうだ。

 

これからの高級車は「移動を耐える空間」から「移動を楽しむ空間」へと変化していく。メルセデス・ベンツが間もなく導入する次世代Sクラスも、キャビン空間ではとくに「快適さ」に重きを置いているようだ。

 

そういう意味で、リリックのキャビンが「大いなる快適」を追求したモダンデザインの権威を思い出させるのは自明の理と言えるのかもしれない。