幻に終わった4ドアサルーン「エストーケ」(2008)【ランボルギーニ ヒストリー】
公開日 : 2020/08/16 14:55 最終更新日 : 2020/08/17 14:31
Lamborghini Estoque
ランボルギーニ エストーケ
パリ・サロンで発表されたコンセプトモデル
ランボルギーニのプロダクションモデル・ラインナップには現在、12気筒ミッドシップのアヴェンタドール、10気筒ミッドシップのウラカンという両スーパースポーツと、8気筒エンジンをフロントに搭載したSSUV(スーパースポーツ・ユーティリティ・ヴィークル)のウルスが存在するが、ランボルギーニはウルスの開発をスタートさせる以前に、4ドアサルーンの可能性を探っていた時代があった。
そしてその評価を問うために、2008年のパリ・サロンで発表したのがコンセプトカーのエストーケだ。エストーケとはスペイン語で闘牛士が用いる刀剣を意味する言葉で、それはかつてランボルギーニが生産した2ドア4シーター、エスパーダと同義の言葉であった。
マルツァルにインスパイアされたデザインを採用
エストーケのボディサイズは、全長×全幅×全高で5150×1990×1350mm。ホイールベースも3010mmと堂々とした設定だった。それによって得られたキャビンの前後長が、低いルーフラインに影響されたパッセンジャーの閉塞感を低減することに大きく貢献していることが分かる。
エクステリアとインテリアで、その要所にモチーフとして採り込まれているのはヘキサゴン、すなわち六角形で、これも後にエスパーダへとつながるコンセプトカー、マルツァルのディテールにインスパイアされたものだ。つまりマルツァル、エスパーダ、エストーケという一連の流れを、ランボルギーニはエストーケという車名やデザインで強調したかったのだろう。

搭載エンジンはガヤルドに採用されていた自然吸気の5.2リッターV型10気筒。ボディは同じグループのアウディ A8とベースを共にするアルミスペースフレーム。完成度の高さから市販化を熱望されたが実現には至らなかった。
アウディ A8と共通のアルミボディに5.2リッターV10を搭載
エストーケに搭載されていたエンジンは、後期型ガヤルドから流用された5204ccのV型10気筒自然吸気。最高出力は560psで、基本骨格となるアルミニウム製のスペースフレームは当時のアウディ A8に共通だった。生産はすぐに立ち上がることが可能と思われたが、当時CEOを務めていたステファン・ヴィンケルマンは、今後4年以内にそれを決定するとパリ・サロンではコメントしたのみ。結局はSSUVのウルスが第3のモデルとして2018年に誕生する。
【SPECIFICATIONS】
ランボルギーニ エストーケ
発表:2008年
エンジン:90度V型10気筒DOHC(4バルブ)
総排気量:5204cc
圧縮比:11.0
最高出力:412kW(560ps)/8000rpm
最大トルク:540Nm/6500rpm
トランスミッション:ー
駆動方式:ー
車両重量:ー
最高速度:ー
解説/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)
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