新型メルセデス・ベンツ Gクラス、変わったことと変わらないもの【Playback GENROQ 2018】

公開日 : 2020/08/19 17:55 最終更新日 : 2020/08/19 17:55

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メルセデス・ベンツ G550の走行シーン

Mercedes-Benz G-Class

メルセデス・ベンツ Gクラス

 

 

継承と革新

 

初代の登場が1979年。以来39年間、細部のアップデートを行いながらも基本設計を変えずにきたGクラス。一見すると先代との見分けがつかないほどデザインイメージを引き継いで行われた初のフルモデルチェンジ。もはやメルセデスのアイコンと呼べる存在となったこのクルマの進化を、モータージャーナリストの山崎元裕が味わった。

 

メルセデス・ベンツ G550のインテリア

デザイン上、最も大きな進化を遂げたのがインテリアだ。SクラスやEクラスなどのサルーンと共通する横長のモニター画面を採用して一気に最新スタイルとなった。その一方で奥行きが短く直立したインパネなど、先代のGクラスらしさも残している。

 

「変えるべきものと変えてはならないもの。彼らの見極めは極めて正確だった」

 

一時はその生産中止さえ噂されていた、メルセデス・ベンツ伝統のオフローダー、Gクラス。そのGクラスがフルモデルチェンジされたというニュースは、世界のGクラス・カスタマー、そしてファンを大いに喜ばせたに違いない。

 

新型Gクラスのワールド・プレミアが行われた今年の北米国際自動車ショー(デトロイト・ショー)で、メルセデス・ベンツ自身は、Gクラスの進化にあたっては、変えなければならないものと、逆に変えてはならないものを定めることが開発プロジェクトの出発点であったことを強調。後者の最も象徴的な例は、やはり機能性重視を貫き、まったくコンセプトを変えることがなかったスクエアなボディデザインだろう。

 

新型Gクラスのボディは、先代モデルと同時にそれを比較しなければ、瞬時に変化を感じることは難しいだろう。実際にはヘッドランプウォッシャーとドアハンドル、そしてリヤのスペアタイヤカバーのみが先代モデルからそのまま継承された部分で、ほかはすべて新たにデザインされたもの。フロントグリルやLEDを採用したヘッドライト/リヤコンビネーションランプなど、じっくりとそのディテールを見ていくと、確かな進化がエクステリアデザインにあることが理解できてくる。

 

メルセデス・ベンツ G550のフロントシート

ボディサイズが大きくなった分、居住性も向上している。リヤシートのレッグスペースは150mm拡大した。また、いかなる走行状況時でも乗員の安全性を確保するためシートのラテラルサポートを強化している。

 

「インテリアには劇的ともいえる変化が待ち構えている」

 

ドアをオープンし、サイドステップに足を乗せてから、キャビンへと身体を移動させる、ドライブ前の一連の動作も、もちろんこれまでと変わらないが、ドライバーズシートに着席してその周囲に視線を移動させると、そこには劇的ともいえる変化が待ち構えている。インストゥルメントパネルは、2枚の12.3インチサイズ高精細ワイドディスプレイによるもので、センターコンソール上にはタッチパッドの機能も持つコントローラーを採用。それによってドライブ中にも視線移動を必要とすることなく、ディスプレイ操作などを行うことができる。

 

助手席前方のグラブハンドルや、搭載される3つのデフを各々にロック/アンロックするための3連スイッチなどは、これもまたGクラスのインテリアでは見慣れたパートだが、ヘッドライトにモチーフを得た左右のエアアウトレットや、こちらはウインカーをイメージさせるスピーカーなどのデザインは実に斬新だ。居住スペースは前後席ともに拡大され、さらにシートもよりサポート性の高い、機能的なデザインに変化した。

 

メルセデス・ベンツ G550のエンジン

グレードは現在のところG550とAMGの手によるG63の二種類で、いずれも4.0リッターのV8エンジンだ。撮影車両はG550で422ps、610Nmを発揮する。

 

「アクセルペダルを踏み込むと瞬時に感じるのは加速のスムーズさ」

 

422ps&610Nmの最高出力&最大トルクを誇る、4.0リッター V型8気筒ツインターボエンジンを搭載する左ハンドルの「G550」と、こちらは右/左の両ハンドルを選択することができる、メルセデスAMG製の、同じく4.0リッター V型8気筒ツインターボエンジンで585ps&850Nmというスペックを誇る「G63」というラインナップでセールスがスタートした新型Gクラスだが、試乗車はスタンダードなG550だった。

 

今回は残念ながらオフロード走行を試すチャンスはなかったが、いかにミリタリー車両を始祖とする伝統のオフローダーとはいえ、現在のカスタマーは、それを逆に都会的な雰囲気の中に溶け込ませることを魅力的に感じているはず。もちろんメルセデス・ベンツもそれは十分に把握しているだろう。オフロード性能をさらに向上させることはもちろんだが、オンロード性能にはそれ以上に大きな幅での進化が必要になる。彼らがそう考えたことは、走りの中にも明確に表れていた。

 

新型Gクラスでは、パワートレインやサスペンション、ステアリング、そしてさまざまな運転支援システムの特性を、「コンフォート」、「スポーツ」、「エコ」、「インディビジュアル」、そしてオフロード用となる「G」の各ドライブモードの選択が可能だが、まずはコンフォートでドライブを始めることにした。

 

アクセルペダルを踏み込むと瞬時に感じるのは加速のスムーズさで、これはボディが先代比で約170kg軽量化されていること、そして新たに9速AT=9Gトロニックとなったトランスミッションの魅力的な制御など、さまざまな進化の相乗効果によるものだ。基本骨格となる新設計のラダーフレームの剛性感も素晴らしく、加えてフロントに4リンクを採用したことで、オンロードでの快適性は驚くほどに高まった。

 

メルセデス・ベンツ G550の走行シーン

「これまでのGクラスで感じた、独特なステアリングやサスペンションのフィールはなくなってしまったが、この進化に異論を唱えるカスタマーは少数派だろう」とし、現代的なドライブサポート機能を新採用できたことが大きいと評価する。

 

「伝統のGクラスは最新世代のSUVに匹敵する快適性と洗練された走りを得る」

 

ラック&ピニオン方式へと変更されたステアリングの動きも実に自然だ。ドライブモードをスポーツへと移行すると、このステアリングはさらにリニアな印象になり、こちらもよりスポーティなセッティングとなるサスペンションとともに、大柄なボディをハンデと感じさせないほどにナチュラルで機敏なコーナリングを楽しませてくれるのだ。

 

これまでのGクラスで感じた、独特なステアリングやサスペンションのフィールはなくなってしまったが、この進化に異論を唱えるカスタマーは少数派だろう。そしてステアリング形式の変更によって、Gクラスもパーキングアシストやアクティブレーンキーピングなど、最新の運転支援システムの搭載も可能になった。

 

今回のモデルチェンジによって、伝統のGクラスは最新世代のSUVに匹敵する快適性と洗練された走りを得ることになった。変えなければならないものと、変えてはならないもの。メルセデス・ベンツ、そしてプロジェクトの初期からシャシー開発などで連携したというメルセデスAMG。彼らによるその見極めは、きわめて正確なものだったようだ。新型Gクラスのあるライフスタイルは、これまで以上に魅力的なものとなることは間違いないだろう。

 

 

REPORT/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)

 

 

【SPECIFICATIONS】

メルセデス・ベンツ G550

ボディスペック:全長4817 全幅1931 全高1969mm
ホイールベース:2890mm
車両重量:-kg
エンジンタイプ:V型8気筒DOHCツインターボ
総排気量:3982cc
最高出力:310kW(422ps)/5250-5500rpm
最大トルク:610Nm(62.2kgm)/2000-4750rpm
トランスミッション:9速AT
駆動方式:AWD
サスペンション:前4リンク 後リジッド
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール:前275/55R19 後275/55R19
燃料消費率(JC08モード):-km/L
車両本体価格:1562万円

 

メルセデスAMG G63

ボディスペック:全長4873 全幅1984 全高1966mm
ホイールベース:2890mm
車両重量:-kg
エンジンタイプ:V型8気筒DOHCツインターボ
総排気量:3982cc
最高出力:430kW(585ps)/6000rpm
最大トルク:850Nm(86.7kgm)/2500-3500rpm
トランスミッション:9速AT
駆動方式:AWD
サスペンション:前4リンク 後5リンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール:前275/50ZR20 後275/50ZR20
燃料消費率(JC08モード):-km/L
車両本体価格:2035万円

 

 

※GENROQ 2018年 8月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

 

 

【関連リンク】

GENROQ  2018年 8月号 電子版

※雑誌版は販売終了