フェラーリ488スパイダー、V8ツインターボ&オープントップが見せたマリアージュ【Playback GENROQ 2016】

公開日 : 2020/08/31 17:55 最終更新日 : 2020/08/31 17:55

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フェラーリ 488スパイダーの走行シーン

Ferrari 488 Spider

フェラーリ488スパイダー

 

 

欲張りな快感。

 

待望のフェラーリ488スパイダーが遂に日本上陸! 今やシリーズの大半を占めるというこのオープンモデルを、真夏の伊豆〜箱根で思う存分、思うがままにテストを決行。そこで見えた、フェラーリの狙いをレポートしたい。

 

フェラーリ 488スパイダーの走行シーン

「その魅力的な走り自体はベルリネッタ、即ちクーペ版の488GTBとなんら変わることはないが、それでもオープンとなれば、先入観も含めて気分が違う」と第一印象を受ける。

 

「ネガな要素は帳消しにしてもいい! それほど新しい跳ね馬を体験できる」

 

爽快な気分に浸れるうえ、切れ味鋭いハンドリング、そしてトルク感漲るパワーユニット。これがフェラーリの最新オープントップモデル、488スパイダーの第一印象だ。無論、その魅力的な走り自体はベルリネッタ、即ちクーペ版の488GTBとなんら変わることはないが、それでもオープンとなれば、先入観も含めて気分が違う。真夏の炎天下でも適度な風を身体に浴びながら巻き込みも少ないから、オープンカーとしてのデザインも優れていることは明白だった。

 

前作の458スパイダーと同様、この488スパイダーは、リトラクタブル・ハードトップと呼ばれるメタルルーフをもつだけに、普段はクーペとしても使えるのが好評だ。それゆえに今や488シリーズの販売は、主にこのスパイダーが大半を占め、クーペの需要は以前と比べればだいぶ少なくなっている。ライフスタイル的にもスパイダーの方が洒落て見えるし、汗臭さを感じないから今の時代、当然かもしれない。

 

フェラーリ 488スパイダーの走行シーン

458スパイダーと比較してボディ剛性は23%向上し、25kgの軽量化を実現。リトラクタブル・ハードトップは45km/h以下であれば開閉が可能で、約14秒ですべての開閉動作を完了できる。

 

「これだけの改善や進化が見られると、気になるのがエンジンサウンド」

 

それに、かつての308から360時代とは大きく違い、ボディ剛性に大きなハンデを感じることは一切ないから購入するにもためらうことはないだろう。むしろその強靭なシャシー性能はモデル毎に確実な進化を見せるだけに感心するばかりだ。ちなみに前作の458スパイダーと比較すると、ボディ剛性は実に23%も向上しているうえ、25kgの軽量化も実現しているというから最新のフェラーリは違う。しかも488スパイダーは45km/h以下であれば、ルーフの開閉が可能となったのも特徴。約14秒ですべての動作は完了する。

 

これだけの改善や進化が見られるとなれば、自ずと気になるのが、やはりそのエンジンサウンドだろう。オープンモデルとなれば尚のことだ。デビュー以来、賛否あるこの新型V型8気筒ツインターボに関して、これまで個人的にも微妙に感じていた。今回この488スパイダーを試乗するにも避けては通れない話題だ。先に結論から言わせて頂くと、こうだ。

 

「ターボ以上、自然吸気未満・・・」

 

フェラーリ 488スパイダーのエンジン

670ps&760Nmというパワー&トルクを発揮するV8ツインターボユニット。この漲るトルク感に強烈なブレーキ性能は、もはや488シリーズの走行性を語るうえで欠かせない組み合わせだ。メリハリとパンチの効いた走りを思うがままに味わえる。

 

「エキゾーストノートはやや曇った印象だが、図太いトルクで魅了する」

 

確かにフェラーリはこのツインターボユニットを製作するにあたり、自身の歴史を正当に受け継ぐことを相当意識したと主張するだけに他車で見られるような“ターボ感”を極力抑えた跡が伺える。一方、できるだけ自然吸気に近いレスポンスや特性に近づけるために吸排気系に独自の新技術を採用しているとあって、ひと口にターボという印象を与えないよう配慮されているのも明白。とはいえ、ターボチャージャーが備わる以上、ターボでしかないのは事実。皮肉にもポルシェならターボ化が歓迎されるのにフェラーリだと否定的に見えてしまうのだから逆に同情もしたくなるのだが、皆フェラーリに求めるものが、かつてのF1マシンにも近い、胸のすくような甲高いサウンドと高回転域でのパンチ力だから仕方がない。

 

それでもV8のターボユニットとしては、かなり優秀なエンジンであるのは間違いない。最高回転数も458シリーズのように9000rpmまで回らないとはいえ、8000rpmまで上昇するし、ギヤ比も根本から見直すことによって自然吸気並みの気持ち良さを実現している。だから乗っていても思いのほか、違和感がない。いや、むしろこのターボユニットが放つトルク感に新しいフェラーリの価値を発見できるから褒めずにはいられなくなるだろう。さすがにエキゾーストノートだけは、やや曇った印象だから、かつてのフェラーリのようにはいかないが、それでもこのトルク感が得られるなら、帳消しにしてやってもいいとさえ思えてくる。それほどこのエンジンは、ターボの特性を活かして、どこからでも図太いトルクで魅了する。

 

フェラーリ 488スパイダーの走行シーン

「ターンインからよりスムーズかつ素直にコーナリングするから、ドライビングの快感はこの上ない」と語り、「むしろフェラーリが昨今見せるその向上策があまりにも的確すぎて恐ろしくなる」と筆者は高評価を与える。

 

「優れたコーナリング性は、一度味わったら病みつきになるはずだ」

 

だから、例えばコーナーの立ち上がりでは、改良された電子制御のEデフとSSC2(サイドスリップ・アングル・コントロール2=これも劇的進化)と共に恐ろしいほどの脱出を実現し、これまでに見ないほどの加速を見せる。数値にすれば、458イタリア比でコーナー脱出時における加速度は実に12%の向上! さらにハンドリングでは舵角とレスポンスタイムを改善させていることも手伝い、ターンインからよりスムーズかつ素直にコーナリングするから、ドライビングの快感はこの上ない。もっとも458シリーズ、特に458スペチアーレでもそうした印象は強かったが、488の場合は、それがさらに進化しているため、むしろフェラーリが昨今見せるその向上策があまりにも的確すぎて恐ろしくなる。

 

やはりフェラーリは例えターボ化しても我々を納得させるだけの策を用意してきた。オープントップに大トルクによる優れたコーナリング性は、一度味わったら病みつきになるはずだ。実に欲張りな快感である。

 

 

REPORT/野口 優(Masaru NOGUCHI)
PHOTO/篠原晃一(Koichi SHINOHARA)

 

 

【SPECIFICATIONS】

フェラーリ488スパイダー

ボディサイズ:全長4568 全幅1952 全高1211mm
トレッド:前1679 後1647mm
車両重量:1525kg
乾燥重量:1420kg
前後重量配分:41.5/58.5%
エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ
総排気量:3902cc
ボア×ストローク:86.5×83mm
圧縮比:9.4
最高出力:492kW(670ps)/8000rpm
最大トルク:760Nm(77.5kgm)/3000rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前ダブルウイッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前&後ベンチレーテッドディスク
ディスク径:前398×223×36 後360×233×32mm
タイヤサイズ(リム径):前245/35ZR20(9J) 後305/30ZR20(11J)
最高速度:325km/h
0-100km/h:3.0秒
0-200km/h:8.7秒
0-400m:10.55秒
0-1000m:18.9秒
CO2排出量:260g/km
燃料消費率:11.4L/100km
車両本体価格:3557万8000円

 

 

※GENROQ 2016年 9月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

 

 

【関連リンク】

・GENROQ  2016年 9月号 電子版

※雑誌版は販売終了