次期SLロードスターは原点回帰か。アファルターバッハに開発を委ねるその理由とは?

公開日 : 2020/09/01 06:30 最終更新日 : 2020/09/01 06:36


次期型SLのプロトタイプ 公道走行イメージ

ハードトップから幌屋根に転向か

 

ダイムラーは次期型SLロードスターを現在開発中だ。その開発は着々と進んでいるようで、さきごろにはプロトタイプによる公道テスト走行の様子も公開している。

 

テストを行っているのは、ドイツ・インメンディンゲンにあるテスト&テクノロジーセンターと、その周辺の公道。ルーフまわりの擬装から察するに、次期SLには伝統的なソフトトップを採用する可能性が高い。

 

次期型SLのプロトタイプ テスト走行 フロントイメージ

次期型SLのプロトタイプは、現在テストコースや公道での走行試験を行っている。開発を主導するのはAMGチームである。

 

画像の発信元はアファルターバッハ

 

擬装をまとったSLの写真の発信元は、「アファルターバッハ」。すなわち、次期SLはメルセデスAMGが主体となって開発を進めているということになる。カモフラージュ姿で細かなことは分からないものの、テール部分にはAMG GTに共通する雰囲気を見て取ることができる。

 

AMG主導でSLが作られるのは初めてのことだが、その出自を考えれば原点回帰ともいえる。“ガルウィング”の愛称で知られる初代、300 SL(W198)のルーツは1952年生まれのレーサー、W194に他ならない。

 

300 SL(W194)と6代目SL(R231)の2台イメージ

シャシーナンバー「2」の300 SL(W194)と、2012年に登場した6代目の現行SL(R231)。

 

ウーレンハウト設計の傑作マシン

 

W194は、メルセデス・ベンツにとって第二次大戦後初のレーシングカーだ。国際レースへの復帰を目し、名設計者ルドルフ・ウーレンハウトによって生み出された。アルミニウム製のチューブラースペースフレームシャシーにむき出しのボディパネルを採用した超軽量(Super Light)マシンであった。

 

300 SLによる1952年シーズンの活躍は、モータースポーツ史に燦然と輝いている。ル・マンでは見事1・2フィニッシュ、ミッレ・ミリアでも2位と4位につけ、ニュルブルクリンクのノンタイトル戦で1〜4位を独占、スイス・ベルンのノンタイトル戦でも1〜3位を奪取した。

 

300 SL(W194)のカレラ・パナメリカーナ・メヒコイメージ

1952年のカレラ・パナメリカーナ・メヒコに300 SL(W194)は参戦。当時「世界で最も過酷なレース」と言われていた戦いを制した。

 

伝説のマシンから現代に繋がるDNA

 

そして、当時世界で最も過酷なレースと言われたカレラ・パナメリカーナ・メヒコへも参戦。5日かけて未舗装路も含めておおいに変化に富んだメキシコの道を3100km走破するという、人にもクルマにも厳しいレースへ、メルセデス・ベンツは300 SLのクーペとロードスターを各2台投入。結果、カール・クリング/ハンス・クレンク組が1位、ヘルマン・ラング/アーウィン・グルップ組が2位という伝説的勝利を記録した。

 

次期型SLのプロトタイプ テスト走行 2台リヤイメージ

アファルターバッハのエンジニアにより鍛え上げられていく次期SL。リヤまわりにはAMG GTに通じる雰囲気を見て取ることができる。

 

かつて戦うために生まれた300 SLのDNAは、戦うエンジニア集団、アファルターバッハの手により最新のロードスターとして転生する。量産化や正式発表のタイミングはまだ不明だが、AMG流の厳しい鍛錬が積み重ねられていることは間違いない。