ロールス・ロイスの「ブラック・バッジ」が魅せる世界観:後編【Playback GENROQ 2017】

公開日 : 2020/09/06 17:56 最終更新日 : 2020/09/06 17:56

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ロールス・ロイス レイス ブラック・バッジとゴースト ブラック・バッジの走行シーン

ROLLS-ROYCE GHOST BLACK BADGE × WRAITH BLACK BADGE

ロールス・ロイス ゴースト ブラック・バッジ × レイス ブラック・バッジ

 

 

ドライバーズカーに対するロールス・ロイスの解答。

 

ヤング・カスタマーへ向けたロールス・ロイスの新たな回答。それが内外装を特別に仕立て上げたブラック・バッジ・シリーズだ。手作業で塗布される漆黒のボディカラーを纏った、クーペのレイスとサルーンのゴーストの世界観に清水和夫と佐藤久実が触れた。(前編/後編)

 

ロールス・ロイス レイス ブラック・バッジの走行シーン

ブラック・バッジの佇まいを「けっしてノーブルな雰囲気は失っていないのだが、スタンダードモデルとは一線を画すダークな美しさに包まれている」と表現した佐藤久実氏。

 

佐藤久実「素直な操縦性に驚くべきパワーを秘める。“本物”を知る人のための真のプレミアムだ」

 

ロールス・ロイスのブラック・バッジ・シリーズのクーペモデル「レイス」とサルーン「ゴースト」を伴い、伊豆方面をドライブした。ブラック・バッジ・シリーズは、若い年齢層を狙ったロールス・ロイス渾身のドライバーズカーである。

 

漆黒のボディカラーを纏い、押し出し感の強いダーククロームのフロントグリルを備えたレイスとゴーストが2台並ぶとかなり壮観、というか威圧感がある。けっしてノーブルな雰囲気は失っていないのだが、スタンダードモデルとは一線を画すダークな美しさに包まれている。さらに、LEDヘッドライトが灯ると、フロントフェイスのダイナミックさが際立つ。足元には21インチホイールを装着するが、リムにはカーボンファイバーコンポジットが使われる。そして、お馴染みのセンターホイールのロールス・ロイス・モノグラムは走行時でも常に回転することなく正位置を保っている。

 

ロールス・ロイス レイス ブラック・バッジのエンジン

レイスのブラック・バッジはロールス・ロイス史上最もパワフルな632ps/870NmのV型12気筒ツインターボエンジンを搭載する。ゴーストのブラック・バッジもアウトプットはノーマルより42ps/20Nm高められており、ハイパワーを満喫できる。

 

「エレガントだが少し妖艶な雰囲気はまさに独特のものだ」

 

ステルス機の機体に採用されるアルミニウム製合金製糸とカーボンファイバーを使ったインパネは、ブラック・バッジの魅力のひとつ。そのエレガントだが少し妖艶な雰囲気はまさに独特のものだ。ゴーストのブラック/レッドのレザーコンビネーションもサルーンらしからぬ大胆さがあるが、レイスのアクセントカラーであるオレンジの使い方や、ピカピカのクローム使いもブラック・バッジならではの魅力にひと役買っている。

 

短い距離を乗る分には、正直、ゴーストとレイスの乗り味の違いは極めて少ない。どちらも十分過ぎるほど快適なのは間違いない。両車の違いが最も明確なのは、レイスのステアリングギヤ比がややクイックな点だ。とはいえゴーストもスローではあるが、大舵角に至るまでステアリングを切れば、切った分だけ素直に曲がってくれる。よって、ワインディングでは、ハンドル操作は多少忙しくなるが、ゴーストから曲がらないというストレスは感じない。

 

ロールス・ロイス ゴースト ブラック・バッジのホイール

ブラック・バッジ・シリーズで最も所有欲をくすぐられるのは、意外にも1960年代のイタリア製スーパーカーから着想を得た21インチホイールかもしれない。なんとリムにカーボンファイバーを使用しており、高剛性と軽量化を両立させている。最新技術の賜物だ。

 

「ワープしたかと思うほど、瞬時に景色が変わる」

 

両車ともにV12ツインターボが搭載され、レイスは632ps/870Nm、ゴーストは612ps/840Nmという、とてつもないパワー&トルクを発揮する。ベースは同じながらそれぞれにチューニングを施すという、ロールス・ロイスらしいキメ細かさがここにも見られる。だが、これほどまでのハイパワーを、日本の常用域で乗り比べても残念ながらその差はわからない。

 

いずれにしても加速は凄いが、身体がシートにめり込むような感覚もなければ、タイヤが露骨に地面を蹴飛ばすような感覚もない。ただ、ワープしたかと思うほど、瞬時に景色が変わる。タキシードを着て革靴を履いた紳士が、100mを10秒で走ってしまったような不思議な違和感を覚えるほどだ。

 

コラム式のシフトレバーにLOWスイッチが備わり、ドライブモードが変わる。シフトスケジュールの違いはすぐにわかるが、サスペンションの違いは、路面が変わったかな? 程度の差しか感じない。もっとも、クーペとサルーン、あるいはドライバーズカーという違いはあれど、意図的に、他ブランドほど乗り味に大きな差をつけていないと感じた。フットワークは世間一般の感覚から言えば、取り立ててスポーティというわけではない。

 

ロールス・ロイス レイス ブラック・バッジの走行シーン

「タキシードを着て革靴を履いた紳士が、100mを10秒で走ってしまったような不思議な違和感を覚えるほどだ」と2台のブラック・バッジを試乗して佐藤久実氏は述懐する。

 

「最先端技術と斬新性、伝統的なクラフツマンシップの融合が実に見事」

 

様々なシチュエーションを走って、ロールス・ロイスが謳う「ドライバーズカー」の意味が漸く理解できた気がする。ブラック・バッジ・シリーズは何の不満もなく、過不足なく、ドライバーの操作に応じてくれる。そもそもロールス・ロイスのサルーンは、ショーファーとして、後席優先だった。それが、ドライバー最優先として、運転席も後席に負けないくらい快適な環境でドライブができるクルマに進化したのだ。

 

もちろんゴーストの観音開きドアや後席のゴージャスさなど、ドライバーズカーであってもショーファーのこだわりは受け継がれている。最先端技術と斬新性、伝統的なクラフツマンシップの融合が実に見事だった。

 

 

REPORT/佐藤久実(Kumi SATO)

PHOTO/篠原晃一(Koichi SHINOHARA)

 

 

【SPECIFICATIONS】

ロールス・ロイス レイス ブラック・バッジ

ボディサイズ:全長5280 全幅1945 全高1505mm
ホイールベース:3110mm
車両重量:2430kg
エンジンタイプ:V型12気筒DOHCツインターボ
総排気量:6591cc
最高出力:465kW(632ps)/5600rpm
最大トルク:870Nm(88.7kgm)/1700-4500rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:RWD
ステアリング形式:パワーアシスト付きラック&ピニオン
サスペンション:前ダブルウイッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール:前255/40R21 後285/35R21
最高速度:250km/h(リミッター介入)
車両本体価格:3990万円

 

ロールス・ロイス ゴースト ブラック・バッジ

ボディサイズ:全長5400 全幅1950 全高1550mm
ホイールベース:3295mm
車両重量:2490kg
エンジンタイプ:V型12気筒DOHCツインターボ
総排気量:6591cc
最高出力:450kW(612ps)/5250rpm
最大トルク:840Nm(85.7kgm)/1650-5000rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:RWD
ステアリング形式:パワーアシスト付きラック&ピニオン
サスペンション:前ダブルウイッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール:前255/40R21 後285/35R21
最高速度:250km/h(リミッター介入)
車両本体価格:3795万円

 

 

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※GENROQ 2017年 9月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

 

 

【関連リンク】

・GENROQ  2017年 9月号 電子版

※雑誌版は販売終了