純粋なV8エンジンモデルの最後になるか? フェラーリ F8 トリブートを国内レポート【Playback GENROQ 2019】

公開日 : 2020/09/21 17:55 最終更新日 : 2020/09/21 17:55

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フェラーリ F8トリブートのフロントスタイル

Ferrari F8 Tributo

フェラーリ F8 トリブート

 

 

V8ミッドシップモデル、44年の集大成

 

488の後継となるV8ミッドシップ、F8 トリブートが日本上陸を果たした。フェラーリの中でも最もピュアで最もスポーティな伝統のシリーズはどのような進化を果たしているのか。フェラーリ史上最強のV8モデルとも言われるF8 トリブートの細部に迫る。

 

フェラーリ F8トリブートのリヤスタイル

軽量化のために採用されたレキサン製リヤウインドウには、熱抜きのルーバーが3ヵ所設けられている。これは実用面の効果と同時にF40へのオマージュを込めたデザインだ。

 

「F40へのオマージュも込められたスリット入りのリヤウインドウを採用」

 

以前に比べれば、多くのラインナップを抱えるようになったフェラーリだが、V8ミッドシップモデルが最もスポーティな性格を与えられており、また最も人気のあるモデルであることは変わりない。その意味で、F8 トリブートは今最も注目を集めているフェラーリだといえるだろう。

 

ついに日本に上陸を果たしたフェラーリの最新V8ミッドシップ、F8 トリブートは、一見したところ488シリーズの正常進化版に見える。だが、よりダイナミックな造形となっているサイドパネル、新デザインのLEDヘッドライト、丸型4灯となったテールライト、3本のスリットが設けられたレキサン製リヤウインドウなど、そのディテールは完全に一新されている。

 

特にリヤ周りの印象は大きく変わっており、リヤウイングから連続するボディパネルの中に4灯のテールライトが埋め込まれているスタイルにより、視覚的に従来よりも低く、安定した印象を受ける。このデザインは308GTBに象徴される、初期のV8ミッドシップモデルをイメージしたものだという。スリットが開けられたリヤウインドウもエンジンルームの熱気を排出するという実用面の効果だけでなく、あのF40へのオマージュも込められている。ちなみにF8はフェラーリV8、トリブートはtribute(賛辞)のイタリア語。F8 トリブートはその名前の通り、歴代V8モデルへの賛辞が随所に見られるのだ。

 

フェラーリ F8トリブートのエンジン

エンジンは488ピスタに搭載されたユニットで、3902ccのV8にIHI製のターボチャージャーを2基装着。720ps/770Nmという数字は488GTBをそれぞれ50ps/10Nm上回るもの。488チャレンジから受け継いだインコネル製エキゾーストやチタン製コンロッドを採用し、クランクケースやフライホイールも軽量化したことで、回転部分の慣性重量を17%も削減しているという。インテークチャンバーはレッドが標準で、カーボンはオプションとなる。

 

「0-100km/hは2.9秒、最高速度は340km/hのパフォーマンスを発揮」

 

ボディサイズは488よりも43mm長く、27mm広く、5mm低くなっているが、実際に見た感じの印象はほとんど変わらない。基本となるシャシーは488から受け継いでいるので、全長の延長はSダクトの採用など新たな空力デバイスによるものだろう。そのSダクトは初めて採用された488ピスタのものよりは小型化されているが、再設計により効果は向上しており、総ダウンフォースにおけるSダクトの貢献度は15%まで向上している。また軽量化も進められており、乾燥重量は488GTBに比べて40kg軽くなっているという。

 

エンジンは488ピスタと同様の3902cc V8ツインターボで、720ps/7000rpm、770Nm/3250rpmを発揮。7速DCTを組み合わせて0-100km/hは2.9秒、0-200km/h加速は7.8秒、最高速度は340km/hというパフォーマンスを発揮する。走りの面での注目は最近フェラーリが特に注力するビークルダイナミクスだ。488ピスタで採用されたフェラーリ・ダイナミック・エンハンサー(FDE)はFDE+に進化し、RACEモードでも作用するようになった。これにより、限界域でのコントロールがより容易になり、そのパフォーマンスを多くのドライバーが楽しめる、としている。もちろんE-Diff、F1-Trackなども搭載され、そのすべてが統合制御されることになる。

 

フェラーリ F8トリブートのインテリア

アナログ式の大型タコメーターを中央に置き、その両脇にTFTモニターを配置するメーターまわりのデザインは基本的に488シリーズから踏襲されているが、ステアリング、ダッシュボードやドアパネル、センターコンソールまわりなどはすべて新設計だ。

 

「488のデザインを踏襲するが、ダッシュボードやドアパネルなどはすべて新設計」

 

インテリアもアナログ式のタコメーターをドライバー正面に設置し、その両側にTFTモニターを配置、メーターバイザー両脇に丸形のエアコン吹き出し口を置くなど、488からのデザインを踏襲しているが、ダッシュボードやドアパネル、センタートンネルなどはすべて新設計。ステアリングもやや小径の新デザインとなり、助手席前のパッセンジャー・タッチスクリーンディスプレイも新型7インチとなっている。

 

星形スポークの新デザインホイールに装着されるタイヤはフロント245/35ZR20、リヤ305/30ZR20で、これは488と同じサイズ。カーボンセラミック製のローターに前後6ポットのキャリパーを組み合わせるブレーキも、488シリーズから受け継がれている。ただしバンパー外側にブレーキ冷却用の新型インテークを設けてホイールアーチ内の気流も改善していることから、限界域でのブレーキ性能がさらに向上していることは確実だ。

 

フェラーリ F8トリブートのホイール

ブレーキはカーボンコンポジットのローターにフロント6ポット、リヤ6ポットのキャリパーを組み合わせる。ローター径はフロントが398mm、リヤが360mmとなる。

 

「これが最後の純V8エンジンか。マラネッロの動向から目が離せない」

 

458、488、そしてF8 トリブートと進化してきた最近のフェラーリV8ミッドシップだが、この3世代で基本シャシーは継承された。その一方で、フェラーリはV8エンジンに3モーターを組み合わせたSF90ストラダーレを発表したばかりだ。つまりF8 トリブートで基本ボディを刷新しなかったのは、次期V8ミッドシップがハイブリッドとなるからではないか、とも思える。SF90ストラダーレはV12スペチアーレに匹敵する特殊なモデルではあるが、その基本シャシーがハイブリッド化される次期V8ミッドシップに流用される可能性は高い。

 

そう考えると、F8 トリブートは44年間続いた純エンジンV8ミッドシップの最後を飾るモデルとなるのだろうか。マラネッロの動向に、ますます目が離せなくなりそうだ。

 

 

REPORT/永田元輔(Gensuke NAGATA)
PHOTO/篠原晃一(Koichi SHINOHARA)、藤井元輔(Motosuke FUJII)

 

 

【SPECIFICATIONS】

フェラーリ F8トリブート

ボディサイズ:全長4611 全幅1979 全高1206mm
ホイールベース:2650mm
乾燥重量:1330kg
エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ
総排気量:3902cc
最高出力:530kW(720ps)/7000rpm
最大トルク:770Nm(78.5kgm)/3250rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前後ダブルウイッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク(カーボンセラミック)
タイヤサイズ(リム幅):前245/35ZR20(9J) 後305/30ZR20(11J)
最高速度:340km/h
0-100km/h加速:2.9秒
車両価格:3245万円

 

 

※GENROQ 2019年 9月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

 

 

【関連リンク】

・GENROQ  2019年 9月号 電子版

※雑誌版は販売終了