フォルクスワーゲン ID.4初披露! 注目の電動SUV発表の現場を小川フミオがレポート

公開日 : 2020/09/24 00:00 最終更新日 : 2020/09/24 00:00


フォルクスワーゲン ID.4のフロントイメージ

Volkswagen ID.4

フォルクスワーゲン ID.4

 

 

ティグアン並みのキャビンをもつ電動SUV

 

フォルクスワーゲンが、バッテリー駆動のSUV「ID.4(アイディーフォー)」を、2020年9月24日に発表した。520kmに及ぶ航続距離と、フォルクスワーゲン ティグアンなみの室内空間がセリングポイントだ。

 

新型コロナウイルスによる感染症拡大を受けて、今回も招待したジャーナリストのみを対象とした「スカイプ」によるオンライン発表会という形式でのID.4のお披露目だった。

 

フォルクスワーゲン ID.4の俯瞰目フロント走行イメージ

フォルクスワーゲンは、フルEV専用のプラットフォーム「MEB」ベースの第2弾、ID.4を世界に向けて初公開した。

 

ID.3に続く電気自動車シリーズ第2弾

 

2766mmのホイールベースに、全長4584mm、全高1612mmの4ドアハッチバックの車体を載せている。2019年9月に発表された(デリバリースタートは2020年9月から)「ID.3」はハッチバックである一方、ID.4はSUV。

 

なぜSUV(的)なボディデザインを採用したのか、というオンライン上での質問に対して、フォルクスワーゲン本社で、このモデルのプロダクトマネージャーを務めたアナ・カタリナ・ミュラー氏は、「視界がよく、取り回し性にすぐれるSUVは、いま主市場でもっとも人気のある車型ですから」と答えていた。

 

フォルクスワーゲン ID.4のサイドビュー

SUVスタイルを採るID.4。コンパクトSUV「ティグアン」よりやや長く、やや低いボディディメンションを与えられた。

 

独米中で“産地直送”を実現

 

MEBというフォルクスワーゲンのBEV(バッテリー駆動の電気自動車)用プラットフォームを使うID.4は、ID.3と同一のホイールベースを持つ。ドイツに加えて、北米と中国で製造・販売される予定で、いわば産地直送のように市場へ届けられる。

 

もちろん、世界的にSUVの人気が上がっており、欧州はもちろん、日本をはじめとするアジア・パシフィックリム(豪州などを含む)、アメリカ大陸、インド、さらにアフリカ諸国など、市場のニーズは高そうだ。

 

フォルクスワーゲンの開発担当者によると「たとえば南欧でもここにきてSUVの人気が高まっています」とのこと。そうなると、ではなぜ先行発売されたID.3はハッチバックだったのかよくわからなくなるものの、なにはともあれ、SUVスタイルのID.4をフォルクスワーゲンが「新世代のグローバルカー」と呼ぶのも納得がいく。

 

フォルクスワーゲン ID.4のリヤ走行イメージ

ID.4の最高出力は150kW(204ps)、最大トルクは310Nm。最高速度は160km/hで、0-100km/h加速は8.5秒と発表されている。

 

トレーラーの牽引もお手の物

 

今回の発表会では、ドイツで販売される「1st」及び「1st Max」(違いは20インチホイールに対して21インチといった装備)というモデルの諸元が公開された。それによると、出力77kWhのバッテリーを組み合わせたパワートレインがリヤに搭載され後輪を駆動する。最大トルクは310Nmに達するという。

 

公開された画像でも、トレーラーを牽引したり荷物を積んでいたり、いかにもドイツ的な使用方法が紹介され、「まったく問題なくデイリーライフでの使用に耐える」と強調されていた。このあたりは、日本と違うなあと興味深かったのも事実だ。

 

フォルクスワーゲン ID.4のフロントシートイメージ

バッテリーをフロア下に敷き詰め、主要コンポーネントを前後に集約することで広大なキャビンを確保している。

 

先進性を演出するディティールと使い勝手を両立

 

ディテールも凝っている。ひとつは、「IQ.ライト」。LEDを使ったヘッドランプとテールランプに電子制御を組み込んだものだ。それによって、キーの代わりとして働くスマートフォンを持ったオーナーが近づくと、車両がヘッドランプを使って“表情”を作るなど、いわば人間的なコミュニケーションが演出される。

 

テールランプも「3D(立体)」とされる。説明がむずかしいのだが、四角いライトが重なるように配置され、作動時はいわば“奥”のほうから順番に点灯する。それで奥行き感を出すという、従来のクルマにはなかった、新しい表現だ。機能とは関係ないものの、個性に寄与している。

 

フォルクスワーゲン ID.4のコクピットイメージ

操作系はタッチパネルに集約したシンプルなコクピット。配色やデザインで遊び心を演出している。

 

ハイテク好きを狙ったコクピット環境

 

インテリアは大きなインフォテインメントシステムが眼をひく。前出のミュラー氏によると、テーマは「遊び心 Playfulness」だそう。たしかに造型と色使いには、興味をひかれる。

 

多くの操作をタッチスクリーンでで行なうそうで、それだと使い勝手がいまひとつ悪いのでは(ブラインドタッチがしにくいなど?)、と懸念する意見がジャーナリストから表明された。前出のミュラー氏は、「このクルマにまず興味を示すのは、ハイテク好きのひとたちだろうから、これを受け入れてくれると判断しました」と言うのだった。

 

フォルクスワーゲン ID.4のフロントイメージ

サスペンションは前がマクファーソンストラット、後ろがマルチリンク。まずは後輪駆動から導入し、2021年に高出力のAWD仕様を追加する。

 

まずはRWD、追って4WDも追加予定

 

ID.4は「A-SUV」というセグメントに属するコンパクトなSUVだ。想定している競合は、と訊ねると、「ここにBEVはほぼ存在していない。ID.4は価格競争力も高いので、注目を集めるのではないでしょうか」(もうひとりのプロダクトマネージャー、エルフィ・カウアー氏)との答えだった。

 

フォルクスワーゲンでは、2029年までに75ものBEVを発表する予定だという。台数にすると2600万台のID.シリーズを販売する計画を発表している。うちID.4がかなりの割合を占めるとか。4WDを含めたバリエーションもこのあと計画されていることがほのめかされていた。

 

フォルクスワーゲンのMEBファミリーイメージ

フォルクスワーゲンはBEV用プラットフォーム「MEB」をベースに、今後様々なファミリーを展開していく計画。

 

グループ内に拡大する電動SUVファミリー

 

フォルクスワーゲングループでは近い将来、「アウディQ4 e-tron」「シュコダ・エンヤク」そして、セアトのサブブランドから出る「クプラ・エルボルン」と、コンパクトSUVのセグメントに、さまざまなMEBプラットフォームの電気SUVを送り込む計画を発表している。

 

それだとマーケットを食い合うことにならないかという質問に対しては、「コンセプトが違うので、異なるユーザーを獲得できると思う」(カウアー氏)という答えが返ってきた。ID.4以外のモデルは正式発表されていないので、楽しみだ。

 

フォルクスワーゲン ID.4のリヤビュー

導入を記念した2種類の欧州向け特別仕様は、計2万7000台の限定生産。日本への導入時期は2020年9月24日時点では未定。

 

車両価格は邦貨で約454万円から

 

ID.3とID.4のドライブフィールは違うのか、という質問も出た。「結論的には自分で運転してもらうのがいちばんなのですが・・・」と前置きをしつつも、カウアー氏は「ID.3は速くて、ハンドリングもスポーティ。ID.4はよりマッシブな感じっていうか。ゴルフとティグアンが違うように、ID.シリーズもキャラクターの作りわけをしています」と言った。

 

当初の価格は、「ID.4 1st(ファースト)」が4万9950ユーロ(約613万円)、フル装備の「ID.4 1st MAX」が5万9950ユーロ(約736万円)となる。そもそも、フォルクスワーゲンでは3万ユーロ台のBEVとしてID.シリーズを喧伝してきた。ID.4のベースモデルの価格は3万7000ユーロ(約454万円)だと、発表会ではされていた。

 

 

REPORT/小川フミオ(Fumio OGAWA)

 

【SPECIFICATIONS】

フォルクスワーゲン ID.4(欧州仕様)

ボディサイズ:全長4584 全幅1852 全高1612mm

ホイールベース:2766mm

車両重量:未発表

モーター最高出力:150kW(204ps)

モーター最大トルク:310Nm

トランスミッション:1速ギヤボックス

サスペンション:前マクファーソンストラット 後5リンク

駆動方式:RWD

 

航続距離:520km(WLTPモード)

最高速度:160km/h

0-100km/h加速:8.5秒