3モーターハイブリッドを搭載した野心作「アステリオン」(2014)【ランボルギーニ ヒストリー】
公開日 : 2020/10/17 17:55 最終更新日 : 2020/10/17 17:55
Lamborghini Asterion LPI 910-4
ランボルギーニ アステリオン LPI 910-4
ランボルギーニの電動化を示唆したコンセプトモデル
アステリオン LPI 910-4とネーミングされたコンセプトカーが、ランボルギーニから発表されたのは、2014年のパリ・サロンでのことだった。アステリオンとはギリシア神話に登場するミノタウロスに由来するもので、もうひとつ車名の中で見慣れない「I」の文字はイタリア語でIbrido、すなわちハイブリッドを意味している。つまりこのアステリオンはハイブリッド(PHEV)システムを搭載するコンセプトカーであり、ランボルギーニはパリ・サロンでそれを、「高性能でありながら、日常の優れた実用性や快適性を実現する、新しいランボルギーニのエクスペリエンスを提供するモデル」と解説していた。
システム最高出力910psを発揮
ミッドシップされるパワーユニットは、最高出力で610psを発生する、5.2リッターのV型10気筒自然吸気エンジンを核として、それにエレクトリックモーターを組み合わせたものだ。モーターは3基が搭載され、ひとつはエンジンと7速のデュアルクラッチ式トランスミッションの間に、残りの2つは左右前輪の各々に搭載される。モーターの合計出力は300psと発表されており、システム全体での最高出力は車名にも掲げられているとおりの910ps。
最高速度320km/h、0-100km/h加速は3秒ジャストを計上
運動性能のデータにはもちろん魅力的な数字が並び、最高速は320km/h、0-100km/h加速は3秒を実現している。これだけのパフォーマンスを得ながら、その一方で環境性能も素晴らしく、ヨーロッパの複合サイクルモードによる燃費性能は4.12L/100km(24.3km/L)。EV走行での最高速は125kmに制限されるが、満充電から最長で50kmの距離をゼロエミッション走行することが可能であるという。

デジタル式で表示切替が可能なメーターやセンターコンソールにはタブレットを備えるなどインフォテインメントに力が入れられたインテリア。アステリオンはあくまでもショーモデルだったが、その後ランボルギーニはアステリオンの実走プロダクトモデルとして「トスカ」を製造。その成果はシアンに繋がっている。
デジタルメーターとタブレットで多彩な情報を表示
2シーターのキャビンは、見た目にも快適さが伝わる空間。残念ながらアステリオンにはプロダクション化への道は開けてはいなかったようだが、ランボルギーニがPHEVを今後重要なプロダクトとして考えているのは周知の事実。まずはウルスからPHEVバージョンが誕生するのではというのが一般的な予測だったが、ランボルギーニ初のハイブリッドモデルの栄誉はシアンに捧げられた。
【SPECIFICATIONS】
ランボルギーニ アステリオン LPI 910-4
発表:2014年
エンジン:90度V型10気筒DOHC(4バルブ)
総排気量:5204cc
圧縮比:ー
エンジン最高出力:610ps
モーター最高出力:300ps(3基合計)
システム最高出力:910ps
最大トルク:560Nm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:4WD
車両重量:ー
最高速度:320km/h
解説/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)