新型ポルシェ911ターボS カブリオレ初試乗! 650psのハイパワーは手に負えるのか?

公開日 : 2020/10/24 11:55 最終更新日 : 2020/10/24 11:55

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ポルシェ911ターボS カブリオレの走行シーン

Porsche 911 Turbo S Cabriolet

ポルシェ911ターボS カブリオレ

 

 

911シリーズのトップモデルは全方位、視界よし

 

911の最高峰といえるターボSが、タイプ992となって生まれ変わった。3.8リッターの水平対向6気筒ツインターボは最高出力650ps/最大トルク800Nmを発揮。AWDとAWS、そして数々の先進装備を纏い、恐ろしく速く、そして恐ろしく快適で安全なマシンの誕生だ。

 

ポルシェ911ターボS カブリオレの走行シーン

搭載する3.8リッター水平対向6気筒ツインターボユニットは、最高出力650ps/最大トルク800Nmを発揮。最高速度は330km/h、0-100km/h加速は2.8秒を計上する。

 

「911ターボほどポルシェのブランドバリューを体現したモデルはほかにない」

 

「スポーツ性と快適性」「伝統と革新」「パフォーマンスと実用性」といった相反する要素の両立こそポルシェの本質だとすれば、911ターボほどポルシェのブランドバリューを明確に体現したモデルはほかにないといえる。

 

なにしろ新型ターボSは、カブリオレにもかかわらず最高速度は330km/hに達し、0-100km/h加速を2.8秒でクリアしてしまうのだ。これだけのパフォーマンスを持ちながら、2+2とはいえ後席を備え、フロントをリフトアップせずに歩道の段差を乗り越えられるスーパースポーツカーが他にあるなら、是非、教えて欲しいものだ。

 

ポルシェ911ターボS カブリオレのリヤセクション

専用のディフューザー形状バンパーや昇降式のスポイラー、大口径マフラーなどでリヤのスタイルは迫力十分。ボディは先代より20mmワイドとなった。

 

「カレラSより20mm拡大された“ターボ・ボディ”が迫力を生む」

 

こうした動力性能はタイプ992用水平対向6気筒エンジンをベースに開発された新しいパワーユニットから生み出されるもの。吸気系レイアウトが大幅に見直された排気量3745ccの新エンジンは、直径55mm(+5mm)のタービンホイールと直径61mm(+3mm)のコンプレッサーホイールを組み合わせた2基の可変タービンジオメトリー・ターボチャージャーを装備して650ps(+70ps)と800Nm(+50‌Nm)を生み出す(カッコ内は従来比)。

 

これを受け止めるシャシーもパフォーマンスの向上が図られており、タイヤはカレラSよりもワンサイズ上の255/35R20と315/30R21の組み合わせを採用。リヤトレッドを1557mmから1600mmに拡大し、これを覆う全幅1900mm(+20mm)の迫力ある“ターボ・ボディ”が与えられた。さらにリヤには大型ウイングを、フロントには“空気圧展開式スポイラー”を装備してダウンフォースを15%増強し、高速スタビリティを確保した。

 

そんな911ターボSカブリオレに乗って日本の路上を走ってみた。

 

ポルシェ911ターボS カブリオレのインテリア

カレラ系と同様のインテリアデザインだが、ツートーンレザーインテリアが最高峰のスポーティさとラグジュアリーさを演出。スポーツクロノパッケージも標準装備。

 

「ドライブモードはノーマルのままでも乗り心地はやや硬めになった」

 

まず印象に残ったのは、神経質さを微塵も感じさせない柔軟なドライバビリティだった。短くなったセレクターレバーでDレンジを選択し、スロットルペダルを軽く踏み込むだけで650psのモンスターは滑らかに走り始める。この種のスーパースポーツカーとしては比較的コンパクトなボディと優れた視界のおかげで、ビルの狭い駐車スペースから苦もなく抜け出ることができた。こういうシーンで緊張感を覚えるかどうかで、スーパースポーツカーの“登板回数”は大きく変わるはずだ。

 

続いて高速道路に足を踏み入れる。ドライブモードはノーマルのままだが、乗り心地はやや硬めになったように感じる。試乗車が下ろし立ての新車だったせいかもしれないが、“魔法のじゅうたん”と形容したくなる先代のターボSとはいささか趣が異なる。サスペンションの方向性が見直されたのかもしれない。

 

そうした印象はいつものワインディングロードを走り始めて確信に変わった。路面のギャップでタイヤが跳ねて安定したグリップ力を得られないのだ。そこでタイヤ空気圧をチェックしたところ、最高速度までカバーできる2.4/2.9barに設定されていたので、これを270km/hまで対応可能な2.1/2.4barに落とすと、見違えるほどしなやかさが増し、ロードホールディングが格段に向上した。個人的には、これがターボS本来の姿だと信じたい。

 

ポルシェ911ターボS カブリオレのセンターコンソール

センターの10.9インチTFTモニターでドライブモード選択やPDCCの設定などが行える。スマホと同期できるポルシェコネクトも搭載する。

 

「リニアリティに優れ、安心感の強い“ポルシェらしい”操縦性」

 

気を取り直し、再びコーナーを攻める。試乗当日は生憎のヘビーウエットだったが、それでもフルタイム4WDが生み出すスタビリティは圧倒的で、何の不安を覚えることもなくステアリングを切り込んでいける。ハンドリングの正確さはいわずもがな。かすかな操舵にもまったく遅れることなく的確に反応する一方で、予想を裏切るような過敏な反応を示すこともない。リニアリティに優れ、安心感の強い“ポルシェらしい”操縦性だ。

 

ただし、いま思い起こしてみると、タイプ991よりもアンダーステアの傾向が若干弱まっていた気がする。いや、タイプ991でもそれほど明確なアンダーステアだったわけではないが、タイプ992ではそれがさらにニュートラル傾向に近づいたように感じられたのだ。この辺はできれば新旧の比較テストを行ってみたいところだが、サスペンションのセッティング変更がアンダーステア対策のために行われたのだとすれば納得もいく。

 

ポルシェ911ターボS カブリオレのフロントスタイル

「タイプ991に比べると低回転域のトルク感が相対的に抑えられたようで、このおかげで回転数の上昇とともにパワー感が炸裂するドラマ性が強まった」と、タイプ991よりスポーツイメージが強調されたと筆者は評価する。

 

「ポルシェらしい操縦性は健在。今後の各モデルのバランスにも注目だ」

 

エンジンは相変わらず無慈悲なまでにパワフルだ。しかもラフなところが一切なく、緻密な回転フィールを完璧に守ったまま7000rpmのレブリミット目指してレブカウンターは登り詰めていく。ただし、タイプ991に比べると低回転域のトルク感が相対的に抑えられたようで、このおかげで回転数の上昇とともにパワー感が炸裂するドラマ性が強まった。マニュアルで高回転域まで引っ張ってからシフトアップしたとき、ノーマル・モードでもアフターファイアを思わせる「パパパパパッ」というノイズを響かせる点を含め、タイプ991よりスポーツイメージが強調されたともいえる。

 

911ターボは911のなかでもとりわけグランドツーリング性を重んじ、パフォーマンスだけでなく快適性にも長けたモデルと受け止めてきた私にとって、今回の微調整はやや意外なものだった。ただし、幅広いラインナップを取りそろえる911の場合、単にターボのポジショニングだけを論じてもあまり意味がなく、タイプ992という新たな世界を構成する各モデルのバランスがどう変わるのかのほうが興味深い。その意味でいえば、ターボの登場によって来るべきGT3への期待がより高まったともいえるだろう。

 

 

REPORT/大谷達也(Tatsuya OTANI)
PHOTO/田村 弥(Wataru TAMURA )

 

 

【SPECIFICATIONS】

ポルシェ911ターボS カブリオレ

ボディサイズ:全長4535 全幅1900 全高1301mm
ホイールベース:2450mm
車両重量:1785kg
エンジン:水平対向6気筒DOHCツインターボ
総排気量:3745cc
最高出力:478kW(650ps)/6750rpm
最大トルク:800Nm(71.4kgm)/2500-4000rpm
トランスミッション:8速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク(カーボンセラミック)
タイヤサイズ:前255/35ZR20 後315/30ZR21
0-100km/h加速:2.8秒
最高速度:330km/h
価格:3180万円

 

 

【問い合わせ】

ポルシェカスタマーケアセンター

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【関連リンク】

・ポルシェ 公式サイト

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【掲載雑誌】

・GENROQ  2020年12月号