BMWが超大規模シミュレーションセンターを新設! 1日最大100人のテスターが働く先進設備を公開

公開日 : 2020/11/16 16:55 最終更新日 : 2020/11/16 16:55


BMW ドライビング シミュレーション センターの動的シミュレーターイメージ

1万平米超の敷地に14のシミュレーターを設置

 

BMWは新型車の開発を行なう新たな「ドライビング シミュレーション センター」の内部を公開した。1万1400平方メートルの敷地をもつラボには、計14機の先進シミュレーターを設置している。

 

新施設は、屋内環境であらゆる地域やシチュエーションにおける車両開発プロセスを再現するために作られた。大規模な設備内では、1日で最大100人のテスターが研究のための“テストドライブ”を行なうことができるという。

 

BMW ドライビング シミュレーション センターのイメージ

BMWミュンヘン北部の研究開発センター(FIZ)に新設した「ドライビング シミュレーション センター」。車両の静的・動的性能をシミュレートできる先進設備を取り揃える。

 

タイヤやサスもボタンひとつで“交換”可能

 

シミュレーターによる開発作業は、いまや各自動車メーカーにとって欠かすことのできない工程となっている。BMWは新施設の運用により、バーチャル開発プロセスをより一層拡張する。

 

とくに、シミュレーションによる実験は安全運転支援システムの開発に欠かせない。現実世界で起こりうるあらゆる危険を再現するというのは、実際の道路上では非常に難しいからだ。機器内では世界中のあらゆるルートが再現でき、タイヤやサスペンションの設定も数秒で切り替えることが可能。もちろん酷暑から極寒まで、季節も自在に変更できる。ドライバーがより直感的に、瞬間的に的確な情報を得るためのディスプレイやインフォメーションシステムも、幅広いバーチャルテストを通して構築していく。

 

BMW ドライビング シミュレーション センターの静的シミュレーターイメージ

静的性能をシミュレートするエリアでは、VRヘッドセットを装着し、車両へ乗り込むまでのシチュエーションも再現することが可能になるという。

 

複雑な都市交通環境から高速走行まで

 

「ハイフィデリティシミュレーター」は、コーナーでのブレーキや加速、ランナバウトの通過など、日常の運転時に遭遇するあらゆるシチュエーションをテストできるシステム。都市部で起こりうる複雑な運転環境をラボ内に再現する。約400平方メートルの広大な空間に設置する機器の全高は10mを超え、最高消費電力6.5メガワット、移動質量およそ83トンに及ぶ大規模なシステムだ。最大重力加速度はM3 セダンと同等の0.65Gまで再現するという。

 

一方フォーミュラEマシン並みの1Gまで対応する高速走行向けシステムが、「ハイダイナミックシミュレーター」。全高9m超、最高消費電力3メガワット、移動質量は約23トン。緊急回避や急制動、急加速などのテストに活用する。

 

BMW ドライビング シミュレーション センターの動的シミュレーターイメージ

「ハイフィデリティシミュレーター」は、400平方メートルの広大なスペースに設置されている。ドーム状の筐体の中に車両の原寸大モックアップを設置してテストを行う。

 

360度映像でリアルなドライブ体験を

 

動的シミュレーターは、ヘキサポッド(6軸自由度)構造に支持されたドーム状の筐体に、原寸の車両モックアップを設置している。さらに、360度映像とリアルなサウンドトラックを用い、テスターに可能な限りリアルな体験をもたらすという。ハイフィディリティ、ハイダイナミックいずれのシミュレーターもステアリングレスポンスまで正確に作りだし、BMWらしいドライビングをニュアンス部分に至るまで再現するそうだ。

 

BMW ドライビング シミュレーション センターのフロアイメージ

BMWの新しい「ドライビング シミュレーション センター」のフロアイメージ。先進運転支援システムのさらなる進化には、あらゆる環境をリアルに再現できるシミュレーターが不可欠になる。

 

BWWは1990年代初頭より、静的シミュレーターを採用。2006年には動的シミュレーターの稼働をスタートし、2016年にも第2の動的シミュレーターをガーヒングの開発センターに導入している。

 

今回新しいシミュレーションセンターが置かれるのは、ミュンヘン北部の研究開発センター(Forschungs- und Innovationszentrum=FIZ)内。2018年8月中旬に着工し、建物自体は当初の予定通り2020年5月に完成している。現在はシミュレーターの設置作業を行っている最中で、まもなく本格稼働をスタートする模様。