ポルシェ秘蔵のデザインコンセプト「Porsche Unseen」を一挙公開! 激レアなポルシェ製ミニバンの姿も!? 【前編】

公開日 : 2020/11/21 14:55 最終更新日 : 2020/11/23 12:02


2017年に開発された「ポルシェ919 ストリート」

Porsche 919 Street

ポルシェ 919 ストリート

 

 

2005〜2009年にかけての非公開プロジェクト15台

 

ポルシェは「Porsche Unseen」と題して、これまで秘蔵し保管されていた2005年から2019年までのデザインスタディを初めて公にした。今回、ポルシェは15にも及ぶ非公開のコンセプトモデルを公開。図面から量産に向けた完成モデルに至るまでの、貴重なデザインプロセスを紹介している。

 

ポルシェAGのオリバー・ブルーメCEOは、今回の試みについて次のようにコメントした。

 

「ポルシェのスポーツカーは、時代を超越した革新的なデザインを持っており、世界中の人々に愛されてきました。先見性のあるコンセプトスタディ“ビジョン”は、この成功の基盤となっています。それは、未来のポルシェ・デザインのためのアイデアの宝庫であり、ポルシェの伝統と未来を切り拓くテクノロジーを融合させたものです」

 

さらに、ポルシェ・ファンに向けた『Porsche Unseen』が、デリウス・クラシング社(Delius Klasing publishing house)から刊行された。この書籍はスタイル・ポルシェの舞台裏をじっくりと美しい写真で楽しむことができる。さらに、ポルシェミュージアムでは2021年に「Porsche Unseen」をテーマにした企画展も予定されている。

 

ポルシェ非公開のデザインコンセプト

多くの自動車メーカーが世界中の拠点にデザインスタジオを設けているが、ポルシェはポルシェであるために、あえてヴァイザッハのみに集中させている。

 

デザイン拠点をヴァイザッハに集中

 

デザインコンセプトの制作は、スケッチからスタートする。次に3Dモデル、アイデアが発展すると1/3スケール小型モデル、さらに原寸大のハードモデルへと進む。スタイル・ポルシェのチーフデザイナーを務めるミヒャエル・マウアーは、ポルシェにおけるデザインの具現化について以下のように説明する。

 

「バーチャルリアリティは最初のステップです。でも、クルマが小さいのか、大きいのか、それとも驚くべきプロポーションを持っているのかを理解するためには、現実化して体験しなければなりません」

 

異なるスタイリング形式で複数のモデルが開発される市販モデルの開発とは対照的に、デザインコンセプト・プロジェクトでは、アイデアの主役となる1台のビジョンモデルに集中するという。

 

「ポルシェはあえて、デザインスタジオをヴァイザッハのみに限定しています。ヴァイザッハはポルシェの震源地と言える場所です。北米やアジアなど遠方の大都市に先進的なデザインスタジオを開設するのではなく、ポルシェのデザイナーが世界中からヴァイザッハに集まっています。ここでブランドの中心となる最新の市販スポーツカーや将来のビジョンを創造しているのです」

 

現在、ポルシェ・デザインのスタジオには120名以上のデザイナーに加えて、インテリア、エクステリア、カラー、素材のスペシャリストたち、そして多くのモデルビルダー、モデラー、スタディエンジニアが働いている。

 

デリウス・クラシング社から刊行された書籍「Porsche Unseen」

“ビジョン”と呼ばれるデザインコンセプトは、未来のブランドアイデンティティを構築すべく、ポルシェの歴史を踏まえながらも、自由な創造性をもって開発されている。そんなデザインコンセプトが網羅された書籍「Porsche Unseen」も発刊された。

 

ポルシェが持つ歴史と自由な創造の両立

 

マウアーは、様々なデザインコンセプトが公開されなかった理由を次のように説明してくれた。

 

「私たちが開発する“ビジョン”に関して言えば、すべてのクルマを実際に走らせることはありません。むしろ、創造的な空間と未来との関係性を確立することの方が重要なのです」

 

「ブランドとして発展し続けるためには、ふたつの方法を組み合わせる必要があります。ひとつはステップ・バイ・ステップで一歩ずつ進み続けること。しかしこのプロセスでは、本当に革新的な存在になることは難しいと言えるでしょう。ここに加えるのが、創造性に自由を与えて思考を未来へとジャンプさせることです」

 

こうしたコンセプトに基づき、ポルシェは、長期的に全モデルラインナップの外観を特徴づけるブランドアイデンティティを開発している。このプロセスでは、ポルシェが紡いできたデザインDNAと最先端の自動車工学を融合させることがより高いレベルでの目標となる。これにより、将来のポルシェは革新性を持ちながらも、同時にポルシェが持つ豊かな歴史を感じさせる1台となる。

 

今回は、まず3台のヴィジョン・コンセプトを紹介しよう。

 

2017年に開発された「ポルシェ919 ストリート」

2017年に開発されたポルシェ919 ストリートは、その名のとおりWECで活躍したLMP1レーシングカー「919 ハイブリッド」の公道仕様だ。

 

Porsche 919 Street

ポルシェ919 ストリート

 

「ポルシェ919 ストリート(2017年、原寸大クレイモデル)」は、ル・マン24時間レースで活躍した「919 ハイブリッド」に採用された技術をベースに開発。LMP1レーシングカーの爽快なドライビング体験を、アマチュアドライバーにも提供することを目的としている。

 

クールなアウターシェルの下には、ポルシェ919の勝利に貢献してきたカーボンモノコックと最高出力900psのパワフルなハイブリッド・ドライブトレインを採用。ディメンションやホイールベースも実際のレーシングカーと同一となっている。

 

2019年に開発された「ポルシェ ビジョン スパイダー」

2019年に開発されたポルシェ ビジョン スパイダーは、「550/1500 RS スパイダー」をイメージ。同時に様々な箇所で未来に向けたアイデアが試されている。

 

Porsche Vision Spyder

ポルシェ ビジョン スパイダー

 

スパルタンでピュアなコクピット、ミッドエンジンの特徴的なラジエーターグリル、効果的なレッドのグラフィック要素、そしてリヤにフィンを備えたコンパクトなスポーツカーが「ポルシェ ビジョン スパイダー(2019年、原寸大ハードモデル)」だ。このモデルは1954年に製造された「ポルシェ 550/1500 RS スパイダー」をイメージしている。

 

ポルシェ ビジョン スパイダーはまた、ポルシェのデザインアイデンティティを発展させ、将来のディテールのためのアイデアを試すことも目的としていた。例えば、リヤセクションに設置された超近代的なロールバーなどがそれに当たる。

 

2018年に開発された「ポルシェ ビジョン “レンディエンスト”」

ポルシェがミニバンを作ったとしたら?への回答となるのが「ポルシェ ビジョン “レンディエンスト”」。エクステリアは、フォルクスワーゲン タイプ2へのオマージュも込められている。

 

Porsche Vision “Renndienst”

ポルシェ ビジョン “レンディエンスト”

 

「ポルシェ ビジョン “レンディエンスト”(2018年、原寸大ハードモデル)」は、6人乗りの家族向けスペースムーバーコンセプトを自由に解釈した1台だ。

 

デザインチームは、刺激的なプロポーションを持つ近未来的な「スペースシャトル」をデザイン。このデザインコンセプトは、特徴的なポルシェのデザインDNAが、これまでにポルシェが市販モデルを投入してこなかったセグメント(ミニバン、ピープルムーバー)において、どのように移植されるかを示している。

 

インテリアは快適なモジュール式トラベルキャビンを採用。ドライバーシートは中央に設置され、フルEVパワートレインはアンダーボディに搭載されている。このような革新的なレイアウトを採用したことで、パッセンジャーはボディサイズからは考えられない広々とした空間と、ポルシェらしいスポーティーな旅行体験を味わうことができるという。

 

 

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