スーパーフォーミュラ・パイロットを勝利に導く「チーム力」とは? 【2020年 第4戦】

公開日 : 2020/11/29 11:55 最終更新日 : 2020/11/29 11:55

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DOCOMO TEAM DANDELION RACINGのピット

2020 SUPER FOMULA Rd.4

2020年 全日本スーパーフォーミュラ選手権 第4戦

 

 

レースの最先端を競い合う“チーム力”に注目

 

新型コロナウイルスの影響により約4ヶ月遅れで開幕した全日本スーパーフォーミュラ選手権も残り2大会、後半戦に差し掛かりました。この連載も第3回の折り返し地点、スーパーフォーミュラの魅力をお伝えできていれば嬉しいです。

 

さて、今回は国内トップフォーミュラの最先端で技術を競い合う「レーシングチームの“チーム力”」に注目していきます。

 

スーパーフォーミュラ第4戦レースシーン

2020年シーズンの全日本スーパーフォーミュラ選手権・第4戦はオートポリスで開催された。

 

第4戦の舞台は大分県のオートポリス

 

レースの世界ではドライバーが花形。勝っても負けてもドライバーの名前が真っ先に出てくることが多いですが、もちろんドライバー1人で走ることはできません。レースはまさにチームプレー。多くのスタッフや「技術屋」の力が集結したレーシングチームについて、全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦(オートポリス)のダイジェストと共にご紹介させていただきます。

 

まず、第4戦の舞台となったオートポリスは、全長4.674km、大分県日田市にある国内屈指のテクニカルコース。タイヤの消耗が激しく、高負荷のコーナーが連続する後半セクションはドライバーの体力をどんどん奪っていきます。2016年の熊本地震では、地盤沈下などの被害があったものの半年後にはレース再開。九州のモータースポーツファンにとっては大きな存在と言えるでしょう。

 

スーパーフォーミュラ第4戦で優勝した野尻選手

ほぼ完璧なレース運びでスーパーフォーミュラ第4戦を勝ち切った#16 TEAM MUGENの野尻智紀選手。

 

表彰台をホンダエンジンが席巻

 

そんなオートポリスで見事ポールトゥウィンを果たしたのが、スーパーフォーミュラに参戦するドライバーの中で最も小柄な#16 TEAM MUGEN 野尻智紀選手でした。レース直後の優勝インタビューで「疲れました」という第一声がとても印象的でしたが、41周のタフなレースをほぼ完璧に走り切った野尻選手の集中力、身体能力、タイヤマネジメント能力は圧巻でした。

 

そして、野尻選手を最後の最後まで追い詰め僅差で2位チェッカーを受けたのが#5 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 山本尚貴選手。レースにタラレバはありませんが「あと1周あれば・・・」展開は大きく変わっていたかもしれません。そして3位には、嬉しい初表彰台を獲得した#64 TCS NAKAJIMA RACING 牧野任祐選手。なんとホンダエンジンが表彰台を独占の「ホンダ祭り」となりました。

 

スーパーフォーミュラのピットワーク

今シーズンのスーパーフォーミュラは無給油で走り切れるがタイヤ交換は義務化されている。ピットワークに費やされる時間は6秒ほど。

 

ピットワークの差がリザルトに直結

 

今大会は、レース序盤のアクシデントにより立て続けに二度もセーフティカーが導入されたことでピットは一気に慌ただしくなりました。私たちが外から見てすぐにわかるチーム力のひとつが「ピットワーク」ですよね。今回のレースでもピットワークの差がリザルトに直結していたように思います。

 

今年の全日本スーパーフォーミュラ選手権は、タイヤ交換のみ義務化されているものの給油無しでレース距離を走り切れるため、ピットストップ時間(メカニックが作業している時間)は6秒ほど。ドライバーがコース上で1000分の1秒を削る傍ら、ピットではエンジニアの的確な戦略と迅速な判断、メカニックたちの俊敏なピットワークが求められているのです。

 

DOCOMO TEAM DANDELION RACINGのピット

筆者が今回注目したチームは京都に本拠を構える「DOCOMO TEAM DANDELION RACING」。

 

京都に本拠を構える「DANDELION RACING」

 

今回、私が注目したチームはDOCOMO TEAM DANDELION RACING。

 

チームのメインスポンサーは、言わずと知れた大企業 株式会社NTTドコモ。そのDOCOMOのロゴマークが大きく貼られた赤と白のシンプルなマシンは、京都の静かな土地にポツンと佇むDANDELION RACINGの工場でメンテナンスが施され、全国のサーキットで私たちレースファンを魅了してくれています。

 

取材を兼ね、工場へお邪魔させていただきまず驚いたのは、まさか日本のトップフォーミュラが整備されているとは思えないほどコンパクトで長閑な雰囲気の中、従業員の皆さんが働いていたということです。ガレージの規模やスタイルは各チーム様々ですが、DANDELION RACINGの印象は何と言っても「無駄の無さ」。

 

DOCOMO TEAM DANDELION RACINGの山本選手

最後の最後まで優勝争いに加わり2位表彰台を獲得したDOCOMO TEAM DANDELION RACINGの山本尚貴選手。

 

レーシングチームにとって重要なのは「無駄の無さ」

 

工場内は整理整頓され、必要な物が必要な分だけ必要な所にある。それは物だけでなく、人にも言えることかもしれません。毎戦サーキットに合わせたマシンのセットアップを施し、幾つものレース戦略を考え、ピットワーク(タイヤ交換など)の練習を重ね、多忙な日々を送りレースに向かうレーシングチームにとって「無駄の無さ」はとても重要なポイントだと私は感じています。

 

ただでさえ次々と業務に追われる中、ほんの少しの無駄を省くことができれば、それは「勝つための方法」を考える、そして実行する時間に充てることができるからです。

 

DOCOMO TEAM DANDELION RACINGの福住選手

今シーズンは苦戦が続くDOCOMO TEAM DANDELION RACINGの福住仁嶺選手も、第4戦では安定した速さを取り戻した。

 

「小さな事の積み重ねがマシンの差、チーム力の差に繋がる」

 

「決して大きな事はしていない。小さな事の積み重ねがマシンの差、チーム力の差に繋がる」と仰っていたのは、#5 福住仁嶺選手のエンジニアである吉田則光氏です。

 

今シーズン苦戦を強いられていた福住選手がオートポリス大会で安定した速さを見せ決勝フロントローを獲得した裏には、どんな小さな事も見過ごさず突き詰めてきたチームの努力があってこそではないでしょうか。DOCOMO TEAM DANDELION RACINGの後半戦巻き返しが楽しみです。

 

スーパーフォーミュラ第4戦を取材する三浦 愛選手

スーパーフォーミュラ第4戦を取材する筆者(三浦 愛選手)。ドライバーと同じ目線でピットサイドからレポート。

 

ドライバーがチームに求めるのは「資金力」ではなく「技術力」

 

道具を使うモータースポーツは、ドライバーの技量だけではどうにもならない時があります。そんな時ドライバーが求めるのは、チームの「資金力」ではなく「技術力」です。全てのドライバーがそうとは限りませんが、少なくとも私自身はそう思っています。

 

国内最高峰レースと言える全日本スーパーフォーミュラ選手権に集結するトップチームの技術力と緻密に計算されたエンジニアやメカニックたちの仕事に注目してみるのも面白いかもしれませんね。

 

 

REPORT/三浦 愛(Ai MIURA)

PHOTO/田村 弥(Wataru TAMURA)

 

 

【プロフィール】

三浦 愛

12歳よりレーシングカートで数多の勝利を重ね、FIAソーラーカーレースでの優勝も経験。2001年のSL名阪 最終戦 FP3-Fクラスでの優勝を皮切りに、Rotax Maxなどでの参戦を経て2011年にはスーパーFJのシートを獲得し、フォーミュラチャレンジ・ジャパン、全日本F3選手権などでも優勝を果たしている。

 

 

【関連リンク】

・全日本スーパーフォーミュラ選手権

https://superformula.net/sf2/