レンジローバー イヴォークで味わうオープンエアドライブの愉悦。【Playback GENROQ 2016】

公開日 : 2020/12/02 17:55 最終更新日 : 2020/12/02 17:55

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レンジローバー イヴォーク コンバーチブルのフロントスタイル

RANGE ROVER EVOQUE CONVERTIBLE

レンジローバー イヴォーク コンバーチブル

 

 

異彩のオープン

 

コンパクトレンジを受け持つイヴォークにオープンモデルが新設定された。SUVとオープンの交差によって、強烈な見た目とアトラクション感覚の乗り味を実現。快適性と実用性を備えつつ、冒険心を掻き立てられる“異彩”を味わってみた。

 

レンジローバー イヴォーク コンバーチブルのフロントシート

乗り込むのに多少苦労はするが、後席のスペースもゆったりで、大人4名でオープンエアを快適に楽しめる。

 

「オンロードを優先したSUVなど自己矛盾も甚だしいと心にすり込んできたが・・・」

 

イヴォーク コンバーチブルを目の前にした長年のランドローバー・ファンが眉をひそめている情景が目に浮かぶ。圧倒的なオフロード性能こそランドローバーの本質と考える彼らにとって、「オープンエアでオンロード走行を楽しむ」イヴォーク コンバーチブルは堕落の象徴であり、許しがたき存在なのだろう。

 

その気持ちもわからなくはない。かくいう私も、スコットランドの原野でランドローバーの驚異的なオフロード性能を何度も体験し、そのたびに「オンロード性能を優先したSUVなど自己矛盾も甚だしい」と心にすり込んできたのだから・・・。

 

ただし、ここでは気持ちをリセットし、中立的な視点でイヴォークコンバーチブルに試乗してみたい。

 

レンジローバー イヴォーク コンバーチブルの走行シーン

2.0リッター直4ターボは最高出力240ps/最大トルク340Nmを発生。車重は他のイヴォークより随分とかさむが、必要充分な走行フィールを提供する。

 

「私にとってはランドローバーの原点と言いたくなる味付けだ」

 

写真ではわかりにくいが、イヴォーク コンバーチブルのショルダーラインは小柄な女性の肩ほどの高さがある。それに比べるとキャンバス製トップは低くうずくまっているように見え、往年のチョップドルーフを彷彿とする精悍さが漂う。

 

走り始めると、意外なほどボディ剛性が高いことに驚く。それも静的な剛性感だけでなく、振動の減衰にも優れているようで、いやなバイブレーションが残ったり、ウインドスクリーンがゆさゆさ揺れ続けたりすることがない。4シーターゆえに開口部は大きいはずなのに、これだけしっかりとした骨格を作り上げるとは大したものだ。

 

乗り心地は、サスペンション・ストロークの初期に減衰力の低い領域を残してあるのか、路面からのショックを巧みに受け流すタイプ。その、少しだけ“ユサッ”とするボディの動きに、まだアンチロールバーがなかった20年以上も前のレンジローバーが思い出された。このしなやかな足がオフロードでは路面を捉え続ける原動力となり、優れた踏破性を生み出す。私にとってはランドローバーの原点と言いたくなる味付けだ。

 

レンジローバー イヴォーク コンバーチブルのインテリア

大胆なエクステリアに相応しく、室内もデザイン性の高さを随所に感じるつくり。インパネの中央部には10.2インチのインフォテイメントシステムを備える。

 

ただし、ロードユースを前提としたイヴォークコンバーチブルにはロール剛性がしっかりと確保されており、それこそ首都高速を軽く攻めた程度では不安を覚えない。この点は最新のランドローバー各モデルと同じ水準にあると見ていい。

 

車両重量は他のイヴォークより200kg以上も重いにもかかわらず、イヴォーク コンバーチブルは活発によく走る。最高出力240psの2.0リッター直4ターボながら、ターボラグをほとんど感じさせずにボトムエンドから力強く加速していく様はなかなか頼もしい。

 

後席が3人掛けではなく2人乗りとなる点は他のイヴォークと異なるものの、シート幅は十分で、身長172cmの私であれば膝まわりに拳がひとつ入るほどの余裕がある。リヤパッセンジャーから「狭い」という苦情がくることはまずないだろう。

 

レンジローバー イヴォーク コンバーチブルのリヤスタイル

唯一無二のアピアランスと4名乗車を苦にしない快適性を持ち合わせるイヴォーク コンバーチブル。筆者は「私はランドローバーがオンロード志向の強いSUVを手がけることに不満を抱かない」と語るが、その条件として優れたオフロード性能を有したモデルを用意し続けることを挙げた。

 

「ここまで良心的に作り上げたランドローバーには賞賛の拍手を贈りたい」

 

「オフロードの神様」であるランドローバーも、私企業であるからには利益を追求しなければならない。そしてオンロード向けSUVがもてはやされる昨今、彼らがその市場に踏み込まないのはかえって不自然だし、場合によっては経営を圧迫する恐れもある。だから、私はランドローバーがオンロード志向の強いSUVを手がけることに不満を抱かない。それどころか、オープンエア・ドライビングの開放感を満喫できるコンバーチブル・モデルをここまで良心的に作り上げたランドローバーには賞賛の拍手を贈りたいくらいだ。

 

一方で、彼らに注文しておきたいことがある。ランドローバーのコアバリューがその優れたオフロード性能にあることは疑う余地がない。そして、そうした本質的な価値があるからこそ、これほど多くのファンから愛されている事実を忘れないで欲しい。その偉大な歴史を未来につなぐためにも、モデルラインナップのいくつかには必ず「さすがランドローバー!」と我々をうならせるようなオフロード性能の優れた製品を用意し続けることを切に望む。そうすれば、ブランドへの信頼は今後も揺るがないだろう。

 

 

REPORT/大谷達也(Tatsuya OTANI)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)

 

 

【SPECIFICATIONS】

ランドローバー レンジローバー イヴォーク コンバーチブル HSE Dynamic

ボディサイズ:全長4385 全幅1900 全高1650mm
ホイールベース:2660mm
車両重量:2020kg
エンジン:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1998cc

最高出力:177kW(240ps)/5500rpm
最大トルク:340Nm(34.7kgm)/1750rpm
トランスミッション:9速AT(コマンドシフト付き)
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後リンクストラット
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
最高速度:209km/h

0-100km/h加速:8.6秒
タイヤサイズ:前後245/45R20
燃料消費率(JC08モード):9.6km/L
車両本体価格:765万円

 

 

※GENROQ 2016年 12月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

 

 

【関連リンク】

・GENROQ  2016年 12月号 電子版

※雑誌版は販売終了