ポルシェ718ボクスター × ロータス エリーゼ、宿命の対決! 雨の筑波で田中哲也がジャッジ 【Playback GENROQ 2016】

公開日 : 2020/12/04 17:55 最終更新日 : 2020/12/04 17:55

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ポルシェ718ボクスターとロータス エリーゼ スポーツ220の走行シーン

Porsche 718 Boxster × LOTUS ELISE SPORT 220

ポルシェ718ボクスター × ロータス エリーゼ スポーツ220

 

 

4気筒ミッド対決!

 

2シーターミッドシップのレイアウトを採用する、ポルシェとロータスの最新オープンスポーツモデル。共に4気筒エンジンを搭載するミドルクラスだが、その走りの楽しさ、面白さを筑波サーキットで試す。

 

ポルシェ718ボクスターの走行シーン

最大の重量物であるエンジンをリヤミッドに搭載し、スポーツカーとして理想的な挙動をもたらすミッドシップカー。ポルシェ718ボクスターもミッドシップレイアウトを採用し、機敏なハンドリングを披露する。

 

「路面はウェットコンディションだが全開で試す」

 

4気筒ミッドシップであるこの2台──ポルシェ718ボクスターとロータス エリーゼ スポーツ220──を筑波サーキットで試す。しかし生憎の雨により路面はウェットコンディションだ。確かに残念ではあるが、当然サーキットではこのようなコンディションはよくある話。もちろん、全開で試すことにした。

 

まずこの2台のエンジンの違いであるが、718ボクスターは低速トルクも太くとても扱いやすくてパワフル。アクセルワークにもシビアさは感じない。それに対してエリーゼ スポーツ220は、パワーこそ718ボクスターに劣るものの、スムーズでありながら高回転に差し掛かると少し急激なパワーとレスポンスを感じさせる部分があり、時にはスムーズなアクセルワークを必要とした。ストレートスピードにおいてはパワー差の分(718ボクスター=300ps/380Nm、エリーゼ スポーツ220=220ps/250Nm)718ボクスターのほうが速かった。

 

ポルシェ718ボクスターのインテリア

“ライトサイジング”コンセプトを反映した2.0リッター水平対向4気筒ターボは、最高出力300ps/最大トルク380Nmを発生。トランスミッションは7速PDKと6速MTからチョイスできるが、今回の試乗では敢えて操る楽しさを優先して6速MTを選択した。

 

「グリップレベルが高くて走りやすい718ケイマン」

 

しかしこのクラスでサーキットを走るときにドライバーが一番気にするところは、いかに軽快にきびきびと走れるか? である。

 

今回のウェットでの走りにおいてはコンディションが与えた影響の差が大きく出てしまった。

 

まずは718ボクスターの印象から。ウェットでのメカニカルグリップレベルが非常に高く、マシンバランスも良くてとても走りやすい。サスペンションのセットはしなやか、かつしっとりした感じで、とにかくタイヤと路面のコンタクトが安定し安心感がある。タイヤがこのようなコンディションに合っていることも大きな要素だとは思うが、とにかくグリップレベルが高くて走りやすい。ブレーキングでの制動感も安定していてよく止まる。

 

ポルシェ718ケイマンのシート

ポルシェのスポーツモデルに伝統のハイバックスタイルのシートは無論スポーツドライブに大きく貢献。

 

「リヤの挙動をアクセルワークで楽しむことができる」

 

そして弱アンダーで旋回を始めて、パワーをかけていくことにより、リヤが少し旋回してくれる。低速コーナー出口でのトラクションはとても良くて、すこしリヤが落ち着きすぎて立ち上がりでプッシュアンダーが発生することもあるが、中高速コーナーではパワーをかけていくと少しテールスライドが発生してもコントロールが非常にしやすく、リヤの挙動をアクセルワークで楽しむことができる。とにかくこれらはタイヤがグリップして初めて可能になるので、ウェットコンディションでのトータルレベルは非常に高い。

 

それに対してエリーゼ スポーツ220はウェットにおいてはサスペンションが硬く感じる。そしてタイヤのグリップレベルも低い。そのためブレーキングではABSの介入が大きくなってしまう。

 

ロータス エリーゼ スポーツ220の走行シーン

最高出力では718ボクスターの後塵を拝するが、僅か950kgの車重でパワー・ウェイト・レシオは同等レベルを誇るロータス エリーゼ スポーツ220。

 

「エリーゼのアクセルワークのシビアさはグリップの低さが影響」

 

コーナリングの進入ではアンダーステアが発生して向きがなかなか変わらず、クリップから先でアクセルを踏むとパワーがしっかりかかってきた瞬間にリヤが急激に滑り出し、トラクションが中々かからない。エンジンの部分で話したエリーゼ スポーツ220のアクセルワークのシビアさにはこのグリップの低さが大きく影響していて、余計にエンジンのシビアさを感じるのだと思う。

 

つまりパワーというより、エリーゼ スポーツ220のウェットにおけるグリップが低かったことから出たイメージだったのである。

 

ロータス エリーゼ スポーツ220のインテリア

1.8リッター直列4気筒スーパーチャージャーを積み、最高出力は車名にあるように“220”psを発揮。トランスミッションは操る愉しさを存分に味わえる6速MTで、エリーゼシリーズ随一の戦闘力を誇る。

 

「フルドライセッティングのレーシングカーでウェットを走っているときと同じ感触」

 

しかしこれでエリーゼ スポーツ220を悪いとはまったく感じなかった。それは明らかにエリーゼ スポーツ220のほうがドライ寄りのセッティングになっているということ。おそらくドライで走れば凄くシャキシャキした走りが可能になってパワーを十分使い切れると断言できるし、イメージもかなり変化するといえるだろう。ボクの感触では、フルドライセッティングのレーシングカーでウェットを走っているときと挙動がまさしく同じなのだ。これはもしかしたらタイヤとのマッチングかもしれないし、正確なところは定かではないが、それくらいドライよりのセッティングに感じた。

 

しかし最初に書いたように走行条件が常にドライとは限らないし、最近のサーキットは結構雨も多いと個人的には感じている。エリーゼ スポーツ220で雨のサーキットを走るには少しウェットセットを施したほうが絶対に楽しめると思う。

 

ロータス エリーゼ スポーツ220のシート

エリーゼSをベースにスポーツシート、スポーツサスペンション(アイバッハ製スプリング、ビルシュタイン製ハイパフォーマンスガスダンパーを採用)、スポーツESPを標準装備。ブレーキディスク径は前後とも288mm。

 

「2台とも雨の中で刺激的な走り。“楽しさ”は甲乙つけがたい!」

 

今回この2台を走らせて、ある意味どこに焦点を当ててマシンを造っているかも何となくわかったような気がした。もっと正確にこの2台を知るには勿論ドライでの比較もする必要はあるだろう。

 

しかしボクが出した結論は「この2台はどちらも非常に楽しめる」ということで、4気筒ミッドシップというくくりでは比較できないくらいタイプが違い、同じレイアウトとは思えないほどだった。どちらも6速MTでリヤが駆動する、少し前の時代に戻った感じのイメージでサーキットを走っていた。つまりドライバーがやらないといけない仕事が多い2台であり、2台とも「自分がコントロールしている」ということを実感させてくれる。エリーゼ スポーツ220のほうが少しその部分は大きいが、718ボクスターも十分楽しめる。

 

この2台はとにかく雨の中では刺激のある走りをボクに与えてくれたし、とても運転が面白かった。両モデルの個別評価は下記(5点満点)を参照してほしい。

 

【ポルシェ718ボクスター】

全体の速度:4
ストレート:4
コーナリング:4
コントロール性:4
制動力:4
アドレナリン度:3.5
総合評価:4

 

【ロータス エリーゼ スポーツ220】

全体の速度:3
ストレート:3
コーナリング:3
コントロール性:3
制動力:3.5
アドレナリン度:3.5
総合評価:3

 

 

REPORT/田中哲也(Tetsuya TANAKA)
PHOTO/服部真哉(Shinya HATTORI)/市 健治(Kenji ICHI)

 

 

【SPECIFICATIONS】

ポルシェ718ボクスター

ボディサイズ:全長4379 全幅1801 全高1281mm
ホイールベース:2475mm
車両重量:1335kg
エンジンタイプ:水平対向4気筒DOHC+ターボ
総排気量:1988cc
圧縮比:9.5
最高出力:220kW(300ps)/6500rpm
最大トルク:380Nm(38.7kgm)/1950-4500rpm
トランスミッション:6速MT
駆動方式:RWD
ステアリング形式:パワーアシスト付きラック&ピニオン
サスペンション:前後マクファーソンストラット
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール:前235/35ZR18 後265/45ZR18
最高速度:275km/h
0-100km/h加速:5.1秒
燃料消費率(EU複合):7.4リットル/100km
CO2排出量(EU複合):168g/km
車両本体価格:658万円

 

ロータス エリーゼ スポーツ220

ボディサイズ:全長3800 全幅1720 全高1130mm
ホイールベース:2300mm
車両重量:950kg
エンジンタイプ:直列4気筒DOHC+スーパーチャージャー
総排気量:1798cc
圧縮比:10.0
最高出力:162kW(220ps)/6800rpm
最大トルク:250Nm(25.4kgm)/4600rpm
トランスミッション:6速MT
駆動方式:RWD
ステアリング形式:ラック&ピニオン
サスペンション:前後ダブルウイッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール:前175/55ZR16 後225/45ZR17
最高速度:234km/h
0-100km/h加速:-
燃料消費率(EU複合):-
CO2排出量(EU複合):-
車両本体価格:680.4万円

 

 

※GENROQ 2016年 12月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

 

 

【関連リンク】

・GENROQ  2016年 12月号 電子版

※雑誌版は販売終了