タイプ992ベースの新型カップカー「ポルシェ 911 GT3 Cup」最終開発仕様を公開

公開日 : 2020/12/08 11:23 最終更新日 : 2020/12/08 11:23

12月12日に正式発表が予定されている新型「ポルシェ 911 GT3 カップ」

Porsche 911 GT3 Cup

ポルシェ 911 GT3 カップ

 

 

20201212日に詳細なスペックを発表

 

2021年にポルシェ・スーパーカップや世界中で行われているカレラ・カップに投入される、新型ワンメイクレーシングカー「ポルシェ911 GT3 カップ」の開発が最終段階を迎えた。テクニカルスペックを含めた正式発表は12月12日に行われる予定だ。

 

今回投入される911 GT3 カップは、現行のタイプ992世代のポルシェ911をベースにした初のレーシングマシン。最新カップカーは、これまでの偉大な遺産を引き継いだ1台となる。

 

1990年の初代デビュー以来、ポルシェはワンメイクカップレーサーを4251台も製造してきた。先代のタイプ991だけでも1410台を製造。このうち991第1世代が673台、2017年から投入された第2世代は737台が、世界各国にデリバリーされている。

 

12月12日に正式発表が予定されている新型「ポルシェ 911 GT3 カップ」

911 GT3 カップは、ポルシェが展開するワンメイクレース用マシンだが、それ以外にも世界中のレースやクラブイベントでも使用されている。開発においては、実際に使用している現場からの声に耳を傾けて行われることになった。

 

世界中の声に耳を傾けて行われた開発

 

新型911 GT3 カップの開発は、2018年半ばにコンセプトの定義からスタートした。大成功を収めたタイプ991から何を改善すべきなのか、そしてカスタマーはカップカーに何を求めているかが議論されたのである。開発に携わったプロダクトマネージャーのクリストフ・ヴェルナーは次のようにコメントした。

 

「世界中のレーシングチームやワンメイクレースオーガナイザーと密接に協力しアイデアを交換することは、非常に有益な時間でした。これはポルシェ管轄のシリーズ以外も含んでいます。エンジニアやメカニックだけでなく、ドライバーやチームボスの声にも耳を傾け、現在のマシンの何が気に入っているのか、どの部分の改善が必要なのかを探ったのです」

 

「どのようなレーシングカーが求められているのか、そのムードを正確に把握し、多くの情報を収集することで、新仕様の開発における優先順位を設定することができました。このレーシングカーは、ワンメイクレースだけでなく耐久レースやクラブスポーツイベントでも使用されることもあるのです」

 

12月12日に正式発表が予定されている新型「ポルシェ 911 GT3 カップ」

コンセプト制定から1年の開発期間を経て、プロトタイプのTC01が完成。ヴァイザッハでのシェイクダウン後、ヨーロッパ各地のサーキットでテストが行われている。

 

2019年半ばにプロトタイプ「TC01」が完成

 

1年の開発機関を経て、数百個にも及ぶニューパーツが取り付けられたプロトタイプ「TC01」が2019年半ばに完成。911 GT3 カップのプロジェクトマネージャーを務めるヤン・フェルドマンは、この期間の開発状況を次のように説明した。

 

「ポルシェ・モータースポーツセンターで最初のボディシェルと、すべてのコンポーネントを完成させました。プロジェクトチームはわずか10日間という記録的な時間で、このモデルのアッセンブリーを完成させています。この期間は、我々にとってもとても興味深いプロセスでした。2018年に立ち上げられたプロジェクトチームが、完璧に機能していることを示したのです」

 

1号車はポルシェ社内の風洞施設に直行し、2台目はヴァイザッハR&Dセンターのテストコースに送り出されている。

 

「当初の予定ではシェイクダウンとして2~3km程度走らせる予定でしたが、結局、レーシングドライバーのクラウス・バクラーが全開で30周も走行しました(笑)。最初に彼が全速力で駆け抜けた時は、その場にいた全員に鳥肌が立ちました。このシェイクダウンは大成功でした。いくつかの素晴らしいフィードバックを受け取ることができました」

 

12月12日に正式発表が予定されている新型「ポルシェ 911 GT3 カップ」

様々なドライバーが使用するカップカーの開発においては、個性の異なる多くのドライバーがテストに参加したという。

 

ポルシェ・マイスターによる精力的なテスト

 

ヴァイザッハでの4日間のシェイクダウンテストを終えたTC01は、ヨーロッパツアーへと向かった。ドイツのユーロスピードウェイ・ラウジッツに続き、イタリアのモンツァや、その他の国際的なサーキットでテストが行われている。

 

「私たちにとって、様々な特性を持つサーキットを、可能な限り幅広く学ぶことが重要でした。これらの経験は、開発の最終段階に反映されました」と、テクニカルマネージャーのマルティン・メイジスは振り返る。

 

2020年半ばまでにサーキットで数千kmのテストが行われ、「TC01」のスペックを確定。ニュルブルクリンクをはじめとするグランプリサーキットを使って行われたロングランテストでは、マルコ・ホルツァー、ラース・カーン、ミハエル・アメルミューラー、そしてブランドアンバサダーのヨルグ・ベルグマイスターらが参加した。

 

「テストドライバーには幅広い個性が求められました。彼らはみな、具体的なフィードバックを与えてくれました。エンジニアとして、私たちは彼らの言葉を通してクルマを体験したのです。パフォーマンス面では、新型911 GT3 カップは大きな飛躍を遂げました。エンジン、サスペンション、エアロダイナミクス、ブレーキ、エレクトロニクス、人間工学に至るまで、すべての分野で改善が図られています」と、メイジスは説明する。

 

12月12日に正式発表が予定されている新型「ポルシェ 911 GT3 カップ」

最終的なテストの場として選ばれたのは、ドイツ第3のサーキット「オシャースレーベン」。ここでは実際のレースを想定したシミュレーションや、意図的なトラブルやアクシデントへの対応も行われている。

 

オシャースレーベンでの最終テストを完了

 

すべての開発、各コンポーネンツの長時間にわたるベンチテストを終えた開発チームは、最終テストの場としてモトールシュポルト・アレナ・オシャースレーベンを選んだ。911 GT3 カップはすべてのレース装備が取り付けられ、カモフラージュとして迷彩カラーリングが施された。この不思議なカラーリングは、有名なサーキットのコーナーを模したという。

 

数名のドライバーが参加した最終テストでは、チームが新型カップカーをどのように扱うかがチェックされた。

 

「カスタマーの視点でレースウィーク全体をシミュレートし、チームが使いやすい車両を考察しました。例えば、意図的にトラブルを発生させたりもしています。誤った操作やアクシデントもシミュレーションしました」と、ヴェルナーはテストを振り返った。

 

「この最終テストを通して、私たちはマイナートラブルを修正することができました。同時にカスタマーサービスを担当するエンジニアや、スーパーカップのルーキーコーチを務めるマルコ・ゼーフリートは、新型モデルの機能や操作性、ハンドリングへの理解を深めています。これはニューマシン発表前に、やるべき重要な作業です。新型911 GT3 カップの導入に向けて、可能な限りの準備をしてきたと自負しています」

 

GTレース部門のプロジェクトマネージャー、マティアス・ショルツが最後に付け加えた。

 

「我々は完全に満足してオシャースレーベンから帰ってきました。この広範なテストの結果、新型カップカーが、お客様の手でレースを走る準備ができていると確認できたのです」