アストンマーティンがF1に帰ってくる! 2021年シーズンからワークスチームとして本格参戦

公開日 : 2020/12/09 18:15 最終更新日 : 2020/12/09 18:15


アストンマーティンのF1マシン「DBR5」

アストンマーティンが60年ぶりにF1復帰

 

1920年代よりモータースポーツシーンできらびやかな功績をいくつも刻んできた英国の名門、アストンマーティン。初期のグランプリからマン島TT、ル・マン、世界スポーツカー選手権、WECなど名だたる競技で「アストンマーティンここにあり」の旗を掲げてきた。

 

1959年と1960年にはキャロル・シェルビーとロイ・サルヴァトーリ、モーリス・トランティニアンといったスタードライバーを擁してF1世界選手権へ参戦。傑作マシンDB3Sをベースに開発した1座のオープンホイールマシン「DBR4/250」は、しかしデビューのタイミングが遅れてしまった関係で、当時最新鋭のミッドシップ勢に打ち勝つことができなかった。後継のDBR5/250も爪痕を残すことができず、アストンマーティンは1960年にシングルシーターの最高峰レースから撤退している。

 

ブーローニュGPを走る1923年製のシャシー「1913(TT1)」

アストンマーティンは1920年代からモータースポーツシーンに情熱を注ぎ続けてきた。写真はブーローニュGPを走る1923年製のシャシー「1913(TT1)」。

 

レッドブルとの技術協力で鬼才ニューウェイとタッグ

 

2009年に当時のデイビッド・リチャーズ会長が翌年からのF1参戦を発表し「すわ半世紀ぶりの復帰か」と思われたが、実現には至らなかった。しかし2016年にはレッドブル レーシングのスポンサーに就任し、2018年からは提携関係をさらに強化しタイトルスポンサーへと名乗りを上げている。かくしてアストンマーティンは、F1への布石を着実に打ってきた。

 

レッドブル レーシングの技術部門のボスは、言わずとしれた鬼才エンジニアのエイドリアン・ニューウェイ。アストンマーティンとレッドブルはニューウェイの知見とこだわりを凝縮した究極のロードカー「ヴァルキリー」の開発にも着手している。WEC参戦も見据えて生み出されたヴァルキリーは、2021年に生産をスタートする予定である。

 

1959年のル・マンを制したアストンマーティン DBR1

1959年のル・マンでアストンマーティンDBR1はワン ツーフィニッシュを達成。1位の5号車はキャロル・シェルビー/ロイ・サルヴァドーリ組。

 

再びF1のワークスとして名を挙げる

 

そして、60年の沈黙を経てアストンマーティンの名前がF1選手権に戻ってくる。同社会長のローレンス・ストロールがチームオーナーを務めるレーシングポイントからその襷を引き継ぐというカタチで。ローレンス・ストロール会長は語る。

 

「アストンマーティンの名前がF1に復活し、波瀾万丈で活き活きとしたスポーツの歴史に再びその銘を刻むことになりました。英国の偉大なスポーツカーブランドで働く我々にとって、本当に刺激的な瞬間がやってくるのです」

 

「F1世界選手権はアストンマーティンに相応しい場所。我々のブランドがあるべき所です。アストンマーティンのレース史における新しい1章は、世界中にいらっしゃるアストンマーティンのファン、そしてF1を愛する方々にとって非常にエキサイティングなものとなるでしょう」

 

アストンマーティンのF1マシン「DBR5」

1960年のイギリスGPに参戦するDBR4。運転しているのはロイ・サルヴァドーリ。

 

フェラーリからベッテルが移籍

 

1913年、ライオネル・マーティンとロバート・バンフォードはロンドンに小さな工房を開設した。2人の夢は、グランプリレースに参戦して多くの歓声と煌びやかな名声を獲得すること。ヒルクライムレースを皮切りに、ライオネル自身もステアリングを握りながら2人は共に見た夢を現実にしていった。

 

ルイ・ズボロウスキー伯爵、クライブ・ギャロップ、“ジョック”ホースフォール、ジョン・ワイヤー、ロイ・サルヴァドーリ、キャロル・シェルビー。才能と野心溢れる偉人たちとともに、狂騒の20年代からアストンマーティンは長くモータースポーツの世界を走り続けてきた。

 

TT1およびTT2とズボロウスキー伯爵。ストラスブールで行われたフランスGPにて。

TT1(右)に乗るズボロウスキー伯爵と、TT2(左)に乗るレジナルド・クライブ・ギャロップ大佐。1922年7月にストラスブールで行われたフランスGPにて。この瞬間から現在まで、アストンマーティンのレースにかける熱量は変わっていない。

 

そして2021年シーズン、いよいよ「アストンマーティン F1チーム」が最高峰のF1世界選手権を戦う。すでにBWT レーシングポイントは2020年9月9日にセルジオ・ペレスが2020年いっぱいでチームを去ることを発表。翌日にはセバスチャン・ベッテルが移籍に合意したと明言している。現レーシングポイントチームのドライバー、ランス・ストロールとともに、ベッテルはアストンマーティンの立志伝へ名を連ねるか。来シーズンに期待したい。