ジュリアから始まるアルファロメオの逆襲! ドイツ勢を一蹴するパフォーマンスを清水和夫が体感 【Playback GENROQ 2017】

公開日 : 2020/12/11 17:55 最終更新日 : 2020/12/11 17:55

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アルファロメオ ジュリア クアドリフォリオとヴェローチェのフロントスタイル

ALFA ROMEO Giulia Quadrifoglio & Veloce

アルファロメオ ジュリア クアドリフォリオ & ヴェローチェ

 

 

帰ってきた伝統墨守

 

新生アルファロメオの象徴といえるジュリアが日本に上陸した。もちろんスポーティを念頭に置いたスタイリッシュなサルーンだ。まずは2.9リッターターボのハイパワーFRモデルと2.0リッターターボのAWDモデルというキャラクターの異なる2グレードを清水和夫が評価する。

 

アルファロメオ ジュリア クアドリフォリオの走行シーン

アルフィスタ待望のネーミング、ジュリアが復活。クアドリフォリオとヴェローチェ、2グレードを試乗に連れ出し、その名に相応しいスポーツセダンに仕上がっているかを清水和夫が確認した。

 

「甲乙つけがたい2台のジュリア。だがアルファの味は濃厚」

 

数年前、トリノ郊外のバロッコというテストコースを訪れた。そこはまさに戦後アルファロメオ開発の聖地であった。実際1960年代以降のアルファはこの聖地で鍛えられた。F1に参戦していた形跡はテストコースに残っており、スパ・フランコルシャンの名物コーナーであった(今は改修されたが)バスストップシケインをシミュレートしたコーナーが存在していた。

 

アメリカの自動車王であるヘンリー・フォードはアルファロメオが通るたびに脱帽していたという。なぜか? アルファロメオ・ブランドを理解するためにはモーターレーシングの歴史を振り返る必要がある。1930年代アルファロメオはドイツ勢とのグランプリレースに挑み、その果敢な挑戦を経て、世界で知られるきっかけとなった。その時の栄光を再現するかのように、最近のアルファはスポーツカーの8Cや4Cを世に送り出すことで、そのイメージを一新した。フィアットのFFプラットフォームで開発してきた156の時代に終わりを告げたのだ。

 

そうして誕生したのがFRのスポーツセダンのジュリアだ。ラインナップは3グレード。スーパーとヴェローチェはともに2.0リッターターボを搭載する。最高出力200ps、最大トルク330Nmと控えめな前者に対して、後者は280ps、400Nmを絞り出し、FRベースのAWDとなる。トップグレードには2.9リッターV6ツインターボのクアドリフォリオが用意される。510psというパワーだが駆動方式はFRとなる。

 

アルファロメオ ジュリア ヴェローチェの走行シーン

ジュリア ヴェローチェのボディディメンションは全長4655×全幅1865×全高1435mm、ホイールベース2820mm。4WDモデルでありながら車重はクアドリフォリオより40kg軽量な1670kgを計上している。

 

「2.0リッターターボでは世界でもっとも楽しいエンジンではないか」

 

今回はヴェローチェとクアドリフォリオの2台を試乗できた。まずはヴェローチェからテスト。走り始めた第一印象はエンジンの気持ちよさが際だった。2.0リッターターボでは世界でもっとも楽しいエンジンではないかと思った。いや、ジャガーが開発したインジニウムの2.0リッターターボもいいが甲乙つけがたい。エンジンの官能評価は日独が負けで、英伊が世界をリードしている。数値に出ない世界を知っているのだ。

 

280ps程度のエンジンは慣れているが、スロットルペダルを踏み込むと一気筒ずつの鼓動が伝わるほどレスポンスがいい。その秘密はツインエアと呼ばれる可変バルブシステムにある。マルチエアと呼ばれる革新的技術は2010年にミトに搭載されてデビューした。フィアット・パワートレイン・テクノロジー社によって開発されたマルチエアは、一度のエンジンサイクルで二度バルブを開閉するので、負荷に応じた緻密な制御が可能となった。BMWが開発したバルブトロニックを超えるシステムとして注目された。当然、空気の吸入量を吸気バルブの連続可変リフトで制御できるので、燃費悪化をもたらすポンピングロスも低減できる。

 

アルファロメオ ジュリア ヴェローチェのエンジン

ヴェローチェは最高出力280ps/最大トルク400Nmを発生する2.0リッター直4ターボを搭載。最高速度240km/h、0-100km/h加速5.2秒を発揮する。

 

「ドライバーズカーとしても使い勝手が良かったジュリア」

 

8速トルコンATとのマッチングもよく、ご機嫌な走りだ。ボディとサスペンションも洗練されている。乗り心地は引き締まっており、日本の道にマッチしている。適度なストロークとダンピング、そのコンビネーションが巧みだ。

 

高速道路ではあまり期待していなかったACCだが、実際に使ってみると、一定の速度を維持できるのでドライブが楽で愉しい。アルファロメオのハイテクも悪くない。こうした高度運転支援は自動運転の数歩手前の技術であるが、ドライバーズカーとしても使い勝手が良かった。

 

アルファロメオ ジュリア クアドリフォリオのリヤスタイル

2.9リッターV6ターボが発生する最高出力510ps/最大トルク600Nmのハイパワーを、FRレイアウトで路面に伝達するジュリア クアドリフォリオ。最高速度は307km/h、0-100km/h加速は3.9秒に達する。

 

「これはまぎれもなくメルセデスやBMWに対する宣戦布告だ」

 

続いてホットモデルのクアドリフォリオに試乗した。かなりヤンチャなキャラクターが与えられており、メルセデス・ベンツC63やBMW M3がライバルとなるだろう。ニュルを7分32秒で駆け抜けたことが本当なら、もはやAMGやMは目じゃないかもしれない。

 

速さはポルシェ911GT3に及ばないが、パナメーラターボよりも速い。サスペンションも固められ、エンジン音も迫力を増している。だが、このウルトラホットモデルを手に入れるのは福沢諭吉先生を千枚以上用意しなければならない。その価値があるかどうかは、とても公道では試せなかった。これはまぎれもなくメルセデスやBMWに対する宣戦布告だ。アルファロメオでドイツ車を駆逐する日も遠くないだろう。

 

 

REPORT/清水和夫(Kazuo SHIMIZU)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)

 

 

【SPECIFICATIONS】

アルファロメオ ジュリア ヴェローチェ

ボディサイズ:全長4655 全幅1865 全高1435mm
ホイールベース:2820mm
トレッド:前1555 後1625mm
車両重量:1670kg
エンジンタイプ:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1995cc
ボア×ストローク:84.0×90.0mm
圧縮比:10.0
最高出力:206kW(280ps)/5250rpm
最大トルク:400Nm(40.8kgm)/2250rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション:前ダブルウイッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール:前後225/45R18
最高速度:240km/h
0-100km/h加速:5.2秒
燃料消費率:12.0km/L(JC08モード)
CO2排出量:194g/km(JC08モード)
車両本体価格:597万円

 

アルファロメオ ジュリア クアドリフォリオ

ボディサイズ:全長4635 全幅1865 全高1435mm
ホイールベース:2820mm
トレッド:前1555 後1605mm
車両重量:1710kg
エンジンタイプ:V型6気筒DOHCツインターボ
総排気量:2891cc
ボア×ストローク:86.5×82.0mm
圧縮比:9.3
最高出力:375kW(510ps)/6500rpm
最大トルク:600Nm(61.2kgm)/2550rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:RWD
サスペンション:前ダブルウイッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール:前245/35ZR19 後285/30ZR19
最高速度:307km/h
0-100km/h加速:3.9秒
燃料消費率:8.2L/100km(EU複合モード)
CO2排出量:189g/km(EU複合モード)
車両本体価格:1132万円

 

 

※GENROQ 2017年 12月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

 

 

【関連リンク】

・GENROQ  2017年 12月号 電子版

※雑誌版は販売終了