純正アクセサリーが際立つ「フェラーリ F12 ベルリネッタ」の活かし方
公開日 : 2020/12/11 11:55 最終更新日 : 2020/12/21 19:21
F12 ベルリネッタを選んだ理由
今や走りに惹かれてフェラーリを購入するオーナーは少なくない。ひと昔前ならステイタス性や希少性、もしくはスタイリングに惚れてなど、主にその強い主張に導かれるように所有を望んでいた人がほとんどだったから時代は変わったと痛感する。
ここでご紹介する吉澤正浩さんは、まさにフェラーリ F12 ベルリネッタの走りに惹かれて6年以上も所有するオーナー。そもそも12気筒エンジンを積んだ美しいデザインの2シーターモデルを探していたというが、実は当初映画などでも活躍する英国製のGTを第一候補に挙げていたという。実際に試乗して購入直前まで進んでいたようだが、しかし、あるとき試しにフェラーリ F12 ベルリネッタを試乗してみたところ、その圧倒的な加速とサウンドに魅せられてしまい、結局は後者の購入を決意、今に至るまで所有し続けている。
納車まで2年近くかかると言われていたため、その間にガレージも作り替え、そのガレージまでの導線もアスファルト敷きに変えてF12を迎える準備を整えたというから吉澤さんの思い入れは相当だ。そして、納車されてすぐ乗り出してみると、いつもの道が圧倒的に短く感じ、まるでワープしているかのような加速に驚いたという。
軽量化を目的に装着した純正アクセサリー
一見するとノーマルのように見える吉澤さんのF12だが、新車オーダー時にカーボンファイバーダッシュボードアクセントや同ステアリングを選択。そして納車後にフェラーリの純正アクセサリー「GENUINE」に用意されている、シルプレートやパドルシフト、ホイール、ボルト、ホイールキャップなどを交換したという(新車オーダー時のオプション類は、購入後に純正アクセサリーとしてレトロフィットすることも可能)。
「走りを良くすること以外の目的でのカスタマイズにはあまり興味がないんです。カーボンパーツへの取り替えは軽量化のためですし、ボルトをアルミからチタンにしたのも(15万円くらい)1本につき120gから60gまで軽くなると聞いたから替えました」と、完全に走り重視のコメント。
「パドルシフトを付け替えたのも元々付いていたものより全長のあるところが気に入った理由です。スラロームなどステアリングを多めに操舵したときに指がきちんと届くようにしたかったんです(写真に写るイタリアンカラーのアクセントは正規ディーラーのコーンズが独自で用意したもの)。ホイールは、元々のマルチスポークデザインだと、まるでクルマが“止まって”見えたから変えたかったんです。いまのホイールは止まっているのに走っているように見えるんです」
機能性を重要視しながらも見た目にもこだわるのはフェラーリオーナーならでは。その他、リヤディフューザーやサイドスカート、フェンダーシールドもカーボンに出来るというので、軽量化できるなら興味があると加える。
6年経っても惚れ惚れするスタイリング
「F12は我が子のような存在ですね。コーンズ主催のサーキットイベントなどで会うオーナー仲間は1年3000kmくらいで次に乗り換えてしまう人が多いようですが、自分は手放すつもりはありません。次にときめくクルマに出会えるまでは。ピニンファリーナのデザインの流線的なフォルムがとても美しく気に入っているんです。360度どの角度から見ても綺麗だし、6年目に突入した今も惚れ惚れするスタイリングだと思います」
ひと口にフェラーリといっても今は豊富に純正オプションやアクセサリーが揃っている。吉澤さんのF12は、このコメントからも感じられるように、ピニンファリーナの美しさを一切崩さずに自分が求める“機能”をセンスよく加えた仕様と言えるだろう。
それだけに走ることに今でも夢中だ。
「サーキットデビューはこのF12を手に入れて2年目のこと。初めてのときは助手席に人を乗せて走るランデブー走行のようなものでしたが、2回目にはレーシングギア一式(スーツはスパルコ、グローブとシューズはアルパインスター、ヘルメットはフルオーダーでカスタムペイントしたアライ)を揃えました」
以来、サーキットの走行イベントは欠かさず出席。年に最低2回は通っているという。他社のドライビングアカデミーにも行ってみたものの、借り物のクルマでしか走れないから満足度は低かったらしく、やはり自分のクルマのポテンシャルを知りたいからこそサーキットイベントに参加すると言葉を重ねた。
「サーキットは走れば走るほど面白くなります。愛車で出した最高速度は富士のストレートで272km/h! サーキットで思う存分クルマを走らせると、マフラーの煤が綺麗になるんです。クルマが喜んでいるように思えますね。それに200km/hオーバーの走りを知ると、130km/hくらいでは恐怖感が少なくなりました。これもサーキットを本気で走るようになったからだと思います。その反面、普段はかえってスピードを出さなくなりました。日常の運転が丁寧になるんです」
フェラーリの12気筒をFRで操る悦び!
V12をフロントに搭載するF12ベルリネッタの魅力は、付き合いが長くなるほど抜けられないようだ。
「488ピスタもいいとは思いますが、やはりFRがいいですね。740psを後輪に伝えて走る感覚、暴れそうになる後輪をコンロトールするのが面白いんです」
愛車でサーキットを走り続けていく中、ご自身の成長をも実感するというから抜けられなくなるのだろう。これもF12への愛情があってこそだ。
「やっぱりサーキットを速く走りたいと思います。毎回GoProで自分の走りを撮影していますが、前の自分の映像と比べてみると上達して速くなっているし、エンジンの音も違います。クルマは走ってなんぼだと思っているからサーキットでつく飛び石などの小さな傷は気にしませんね」

フロントに積まれるV12エンジンには、新車時に選択したカーボンファイバーエンジンルームシールドと、同エンジンコンパートメントフィルターボックスが装着されていた。もちろん、購入後に純正アクセサリーとしてレトロフィットすることも可能だ。
そして、最後にこう付け加えた。
「フィオラーノは一生に一度、走ってみたいところです。もちろん、フェラーリ カヴァルケードも参加してみたいと思っています」
吉澤さんの夢はF12によってさらに開かれたようだ。信頼性が増した最新フェラーリの実情とも言えるだろうし、フェラーリの世界観が如何に広いかということだろう。無論、それだけ激しい走りにも耐えられる証しでもある。純正オプションパーツをさり気なく加えた吉澤さんのF12を見ていると、あらためて思い知らされた次第だ。

FRの12気筒らしい美しいスタイリングに惹かれるのは、やはりピニンファリーナならでは。オーナーの吉澤氏は、F12の走りに夢中になっているからこそ機能性にこだわる純正オプションやアクセサリーを装着したくなるようだ。
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)
取材協力/コーンズ モータース
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