ベントレーの新旗艦モデル「フライングスパー」再検証。ドイツ勢も追従できない「クラス感」を味わう

公開日 : 2020/12/29 17:55 最終更新日 : 2020/12/29 17:55

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ベントレー フライングスパーのフロントスタイル

Bentley Flying Spur

ベントレー フライングスパー

 

 

柔と剛の旋律を奏でるベントレーのフラッグシップ

 

ショファードリブンが相応しい真のサルーンといえば、やはり英国車にとどめを刺す。中でもベントレーは、スポーツドライブにも十分に応える動的資質の高さも魅力だ。同社のフラッグシップとなった新生フライングスパーの魅力を再検証してみよう。

 

ベントレー フライングスパーの走行シーン

ミュルザンヌの生産終了を受け、ベントレーのフラッグシップを担うことになった新型フライングスパー。ボディディメンションは全長5325×全幅1990×全高1490mm、ホイールベース3195mmと、威風堂々たる体躯を誇る。

 

「少女漫画バリのキラッキラ眼がボディの存在感とともに威厳を放っている」

 

ベントレー フライングスパーは「世界最先端のラグジュアリーグランドツアラー」と謳っている。先に登場しているコンチネンタルGTと多くのコンポーネンツを共有するが、単にその「サルーン版」というわけではない。というのも、ベントレーには「ミュルザンヌ」という歴史あるサルーンモデルが存在したが、ついにその歴史に幕を閉じた。つまり、フライングスパーは、ベントレーのフラッグシップモデルという立ち位置をも担うことになったのだ。

 

そして、すべてが一新されたフライングスパーをひとめ見た時、明らかに今までとは異なるオーラを感じた。ホイールベースが130mm長くなり、サイズ的にも存在感が増している。骨太な逞しさが感じられる一方で、優雅さも併せ持ち、先代よりもフォーマル感が増している。そのプロポーションもさることながら、クリスタルカットガラスのような輝きを放つマトリクスヘッドライトのインパクトも大きい。日中の点灯していない時でさえ、少女漫画バリのキラッキラ眼がボディの存在感とともに威厳を放っている。

 

ベントレー フライングスパーのシート

最高品質の素材を用い、手間と時間をかけて作り込まれたインテリアはフライングスパーの最大の美点。シートのダイヤモンドステッチ、ドア内張りの立体的な3Dテクスチャーなどが乗る者に深い安らぎと満足感を与える。

 

「乗り込む前からインテリアのゴージャスさに圧倒される」

 

ドアを開けると乗り込む前からインテリアのゴージャスさに圧倒される。シートからドアに至るまでダイヤ形のステッチが目を惹く。350片の形の異なるレザーパーツがあり141名の職人によって仕上げられるという。そんなクラフツマンシップの伝統を重んじながらも、自動車用としては初採用のダイヤが立体的に施された3Dテクスチャーなど新しい技術も取り入れている。

 

ドライバーシートに座り、インストルメントパネルに目を移すと、メーター類はコンチネンタルGTと同じだが、デザインは差別化されていて、やはりエクステリア同様、フライングスパーの方がよりフォーマルで落ち着いた雰囲気となっている。

 

ベントレー フライングスパーのエンジン

全長をコンパクトに収めたW型12気筒はツインターボで過給され、最高出力635ps/最大トルク900Nmを発揮。8速DCTを介して4輪を駆動する。V8モデルも遅れて登場した。

 

「急き立てられることなく、ゆったり優雅に走りたい気分にさせられる」

 

搭載されるパワートレインは、6.0リッターツインターボW型12気筒エンジンに8速デュアルクラッチトランスミッションが組み合わされる。635ps/900Nmというハイスペックだが、アクセルペダルを踏み込むと、一呼吸置いてからジワジワ、それでいて力強く加速していく。有り余るトルクをけっしてひけらかすことなく、「ゆとり」として蓄えている感じのドライブフィールにチューニングの妙を覚える。そして、街中はもちろん高速道路でさえ、急き立てられることなく、ゆったり優雅に走りたい気分にさせられるから不思議だ。

 

一方、スポーティに走らせようと思えば十分に応えてくれる。“パドルシフト”の存在がそれを物語っているかのようで、実際、パドルによるギアシフトはすこぶるレスポンスが良く、なおかつショックも皆無だ。このクラスなら当たり前、かもしれないが、そもそもデュアルクラッチトランスミッションを搭載していること自体ちょっと意外に思った。しかしその洗練された操作感に納得させられた。

 

ベントレー フライングスパーの走行シーン

ラグジュアリーサルーンでありながらスポーティな味付けによってドライバーズカーとしての資質も高い。もちろん後席は「前席以上にインテリア全体が視界に入り、シートの座り心地や手に触れた時の触感とともに、ハンドクラフトの贅沢な世界観をより味わえる」と筆者は評価する。

 

「まるでホイールベースがギュッと縮んだかのようなドライビングフィール」

 

そしてワインディングでは、街中や高速でのラグジュアリーな雰囲気とは異なり「スポーツセダン」の側面を強く印象づけた。路面にカーペットを敷いたかのような乗り心地とは違う。むしろ、サスペンションは締まった感じで路面のアンジュレーションはすべて伝わりながらも優雅な足取りは損なわれない。そして、全長5325mm、ホイールベース3195mmという巨体なのに、コーナーをクイクイと曲がっていく。まるでホイールベースがギュッと縮んだかのような感覚だ。アクティブAWD、ダイナミックライド、そしてAWSの組み合わせによるドライビングダイナミクスへの恩恵が、ワインディングのようなシーンではより顕著に体感できた。

 

さて、ドライバーシートに収まった時のラグジュアリーな空間、そしてステアリングを握ればスポーツセダンとしてのパフォーマンスを十分に堪能できたところで、今度はリヤシートにフォーカスしてみる。座ると、前席以上にインテリア全体が視界に入り、シートの座り心地や手に触れた時の触感とともに、ハンドクラフトの贅沢な世界観をより味わえる。この快適性をさらに高めてくれるのがタッチスクリーンリモートだ。

 

センターコンソールにセットされた5インチスクリーンはボタンにタッチするだけで取り外せる。例えばシートだけでも14段階に調節可能な背もたれ、6段階の設定可能なシートヒーター及びベンチレーション、5種類のマッサージ機能にアームレストヒーターと、実に多くの機能が装備され、これらがひとつの画面で操作できる。他にも、エアコンの調整やパノラマサンシェードとリヤウインドウブラインド、オーディオシステムの操作が可能。そして、ナビゲーション用インターフェイスも備えるため、車速やルートなどのドライバー情報にもアクセスできる。

 

ベントレー フライングスパーのリヤスタイル

ドライバーズカーとリムジンの役割を双方ともに高いレベルでこなすフライングスパー。筆者は「そのパッケージングには『人』優先という考えがあり、乗り心地や静粛性など高い快適性を提供してくれる贅沢なモデルだ」と高評価をくだす。

 

「前席も後席も高い魅力に溢れる、最高に贅沢な移動時間と空間だ」

 

短い距離の試乗であったのがもったいない。目的地への到着が残念なほど、もっと乗っていたいのに・・・と思わせる快適な時間と空間だった。そして、新しいフライングスパーは、「ドライバーズカー」としてだけでなく、「リムジン」としても魅力溢れるクルマであることが確認できた。

 

前後のバルクヘッドで隔離され、完全に独立したキャビンスペースを有するサルーン。そのパッケージングには「人」優先という考えがあり、乗り心地や静粛性など高い快適性を提供してくれる贅沢なモデルだ。そして、フライングスパーは、クラフツマンシップ溢れるインリテアにより最高に贅沢な移動時間と空間を提供してくれる。この「クラス感」、そして「ブリティッシュ・デザイン」の美学はけっしてドイツブランドには追随できない領域だろう。

 

 

REPORT/佐藤久実(Kumi SATO)
PHOTO/篠原晃一(Koichi SHINOHARA)

 

 

【SPECIFICATIONS】

ベントレー フライングスパー

ボディサイズ:全長5325 全幅1990 全高1490mm
ホイールベース:3195mm
車両重量:2540kg
エンジン:W型12気筒DOHCツインターボ
総排気量:5950cc
最高出力:467kW(635ps)/6000rpm
最大トルク:900Nm(91.8kgm)/1350-4500rpm
トランスミッション:8速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前ダブルウイッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前265/40ZR21 後305/35ZR21
0-100km/h加速:3.8秒
最高速度:333km/h
車両本体価格:2720万3000円

 

 

【問い合わせ】
ベントレーコール
TEL 0120-97-7797

 

 

【関連リンク】

・ベントレー 公式サイト
http://www.bentleymotors.jp/

 

 

【掲載雑誌】

・GENROQ  2021年2月号