CESの53年を振り返る。世界最大の家電見本市に登場した革新的プロダクト

公開日 : 2021/01/18 11:55 最終更新日 : 2021/01/18 11:55


2016年のCESに登場したフォルクスワーゲンのコンセプトカー「BUDD-e」

史上初のオンライン開催へ

 

本来「CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショウ)」は、家電や電子機器の見本市としてスタートした。しかし、次第にEVやコネクテッド技術、自動運転機能への注目度が高まり、いまや自動車メーカーも相次ぎ出展する一大イベントとなった。

 

2021年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)予防措置のもと、53年の歴史で初めてオンラインでの開催に。2021年1月11日から14日までの4日間、各メーカーが最新のガジェットやコンセプトモデルをデジタル空間で発表した。

 

ところで、CESの歩んだ53年の歴史の中では、世界をあっと驚かせる革新的技術がいくつも発表されてきた。今回はその中でもとりわけ記憶に残るプロダクトに注目してみたい。

 

1970年のCESで披露された最初のビデオレコーダー

1970年のCESで披露された最初のビデオレコーダー。

 

主役は家庭用娯楽機器からコンピュータへ

 

CESの記念すべき第1回は、1967年6月に米NYで開催された。オープニングに登壇したのはモトローラ社のロバート・ガルビン。総勢117社が、当時最新鋭の電子機器を携えて結集した。時はまさしく第一次ホームエンタテインメントシステム隆盛期。手頃な白黒TVやトランジスタラジオ、レコードプレーヤーやステレオなど多彩な家電製品が登場している。

 

1970年代に入ると、家庭用のビデオテープレコーダーが台頭。お気に入りのTV番組を好きなタイミングで視聴することができる録画装置は、人々の生活を一新したといっても過言ではないだろう。70年代中盤には、ビル・ゲイツ率いるマイクロソフトをはじめ、コンピューターメーカーの進出が顕著に。75年には、アタリが開発した据え置き型家庭用ビデオゲーム機「Pong(ポン)」が出品された。

 

ソニーが1981年にCESでお披露目したカムコーダー「トリニコン」

ソニーが1981年にCESでお披露目したカムコーダー「トリニコン」。

 

ファミコンやテトリスの登場

 

1981年にはビデオカメラとビデオデッキを一体化したカムコーダー、そしてCDプレーヤーが登場。とくにCDの出現は、レコードに代わるまったく新しい音楽ソフトとして、その後のオーディオ世界を塗り替えるものとなった。

 

1984年にはコモドールが開発したパーソナルコンピュータ「Amiga(アミーガ)」が、翌年には任天堂のファミコン(海外での正式名称はNintendo Entertainment System=NES)が姿を現している。ゲーム業界が勢いを加速していくなか、1988年のCESではテトリスのプレゼンテーションも行われた。

 

2001年のCESでマイクロソフトが発表した最初の「Xbox」。

2001年のCESでマイクロソフトが発表した最初の「Xbox」。

 

モバイルで繋がる時代に

 

1989年のCESでは、後の世界を左右する象徴的なガジェットがスポットライトを浴びた。コードレス電話である。ネットワークとデジタル、モバイルが席巻する世界への入り口ともいえるプロダクトであった。

 

1990年代半ばの主役は、なんといってもインターネット。1997年にはプロバイダのAOL社が初期のインターネットサービスをローンチしている。TV関連のテクノロジーも引き続き意欲的な研究開発を重ね、96年のCESにはDVD(Digital Versatile Disc=デジタル多目的ディスク)が、97年にはHDTV(High-Definition Television=高解像度テレビ)がCESに現れた。

 

2015年のCESに登場したフォルクスワーゲンのコンセプトカー「ゴルフ R タッチ」

2015年のCESに登場したフォルクスワーゲンのコンセプトカー「ゴルフ R タッチ」。

 

自動車のデジタル化が進んだ2010年代

 

マイクロソフトは2001年にゲーム機「Xbox」を発表。同年のCESではプラズマTVの登場も話題を呼んだ。翌年にはブルーレイDVD、08年にはQLED TV、09年には3DのHDTVが披露されており、10年の間にTVテクノロジーは飛躍的な進化を遂げたことが分かる。

 

2010年代に入ると、自動車世界におけるデジタルの存在感は加速度的に高まる。13年、フォルクスワーゲン グループに属するアウディがいち早く自律走行車両の開発に向けた取り組みを発表。15年には、フォルクスワーゲンがジェスチャーコントロール技術を搭載した「ゴルフ R タッチ」をプレゼンテーションしている。また、同時にスマートフォンやタブレット、スマートウォッチを通じてクルマと繋がることのできる車載インフォテインメントシステム「MIB(モジュラー・インフォテインメント・マトリクス)2」を公開。同年のCESエディターズチョイスアワードを受賞した。

 

2018年のCESでVWはNVIDIAの技術提供について発表

2018年のCESでは、自動運転プラットフォームを提供するNVIDIAがフォルクスワーゲンに技術提供することを発表。“未来のワーゲンバス”、ID.BUZZに搭載する計画を明らかにした。

 

EVや自動運転車の提案が続々と

 

そして、2016年には電気自動車用プラットフォームMEBをベースにしたコンセプトモデル「BUDD-e」をワールドプレミア。すでに商品化を公言しているワーゲンバスの現代的再解釈、ID.BUZZのルーツはこの時点で誕生していた。

 

2020年のCESでアウディが発表した完全自動運転モビリティコンセプト「AI:ME」

2020年のCESでアウディが発表した完全自動運転モビリティコンセプト「AI:ME」。

 

2020年にはアウディが3Dの複合現実ヘッドアップディスプレイや、完全自動運転機能を備えたコンセプトカー「AI:ME」をワールドプレミア。ランドローバーやメルセデス・ベンツ、BMW、ランボルギーニも電動技術やコネクテッド技術のショウケースともいえるコンセプトモデルを発表した。

 

2021年のCESに登場したseguro製空気清浄機能付きフェイスシールド

2021年のCESに登場したseguro製空気清浄機能付きフェイスシールド。

 

その時々の社会情勢やトレンドを映しだしてきたCES。オンライン開催となった2021年は、空気清浄機能つきフェイスシールドや非接触式の血圧測定アプリ、消毒用のUV-C LEDライトなど、新しい生活様式に向けた様々な技術が公開された。