ビッグマイナーチェンジで深みを増したベントレー ベンテイガ。数値では測れない熟成度を確かめる

公開日 : 2021/01/28 17:55 最終更新日 : 2021/01/28 17:55

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ベントレー ベンテイガのリヤスタイル

Bentley Bentayga

ベントレー ベンテイガ

 

 

さりげない熟成はまさに王者の余裕

 

ベントレーのプレミアムSUV、ベンテイガが5年振りに刷新された。エクステリアやインテリアを最近のベントレーの意匠に変更したほか、インフォテインメントシステムも最新のシステムに変更されている。まず導入されたV8モデルを港町・横浜で味わってきた。

 

ベントレー ベンテイガのフロントセクション

基本デザインを踏襲し一見しただけでは気づきにくいが、エクステリア全体に手が加えられている。全体的に角が取れてより洗練された印象だ。

 

「約5年目のマイチェンは自らの時間軸を持つベントレーらしくて好感が持てる」

 

新年の華やかなイルミネーションが灯りはじめた夕刻あたりの繁華街。けれど光の賑やかさに比して人通りは妙に少なく、夕焼けが朝焼けのようにも思える。いつもの待ち合わせ場所に特徴的なヘッドランプの1台がやってきた。新型ベンテイガの登場である。

 

新型と言ってもマイナーチェンジである。マイチェンはモデルライフの半ばで行われるのが通例なので、一般的なクルマの場合は3年半ほどで行われることが多い。ベンテイガは2015年にデビューしているので、約5年目のマイチェンということになる。自らの時間軸を持つベントレーらしくて好感が持てる。

 

とはいえ夜の街で落ち合った新型は、前方から見る限りどこがおニューになったのか見当がつかなかった。後ろに回ってみると、こちらはすぐにわかった。これまでは縦横のボクシーなラインで区切られていたリヤゲートやテールランプが、笹の葉モチーフ(?)のような滑らかなものに変更されている。すぐに現行のコンチネンタルGTに寄せた意匠なのだとわかった。パーソナル感が高くて独創的で、これはいい。

 

ベントレー ベンテイガのインテリア

センターフェイスやステアリングのデザインが変更されたほか、新たに10.9インチのタッチスクリーンを採用したインフォテインメントシステムが導入された。

 

「シャープな造形を散りばめつつ、しかし全体的な雰囲気が継承されている」

 

コンチネンタルGT風ということで言えば、フロントも確かに変わっていた。4灯ランプ+グリルという基本形は踏襲されているが、全体的には、角っこが削られ、より鋭い顔つきになっている。以前はグリルの周囲のフレームに別パーツが使用されていたが、今回はボンネットの先端やフェンダーの端にそのまま大型のグリルが接しており、迫力が増している。

 

ボディパネルの継ぎ目が減り、見た目すっきりというのは、職人がパネルの継ぎ目にロウを流し込んで平滑に仕上げていた往年のベントレーのようで好感が持てる。コスト的にはもちろん「高!」ということになる。一般的なマイチェンで前後バンパーのような樹脂パーツだけ換えてお茶を濁すのは、金属パネルまで変更するとお金が掛かるからだ。

 

新型ベンテイガは前後バンパーやホイールといったマイチェンの定番パーツのみならず、ボンネット、前後フェンダー、リヤゲートまで(おそらくドアはキャリーオーバーだと思う)完全に刷新されている。それでもベントレーらしいのは、シャープな造形を散りばめつつ、しかし全体的な雰囲気が継承されている点だろう。実にベントレーらしい歩み方。外観に関しては、ビッグマイナーチェンジといっていいだろう。

 

ベントレー ベンテイガのセンターディスプレイ

より大型化されたセンターディスプレイは、インフォテインメントシステムの進化には欠かせない。機能面ばかりでなく、ベントレーのラグジュアリー性を演出するブライトリングの時計は以前より主張を高めるように配慮されている。

 

「ダッシュパネル上段のブライトリングは格段に存在感を増している」

 

インテリアも変わっていないようで、事細かに変えられている。すぐにわかるのはモニターが大型化されたセンターコンソール付近である。とはいえインテリアは以前から完成の域にあったので、インフォテインメントが最新ならば十分だと思う。ダッシュパネルの最上段に据えられたブライトリングは、照明のしかたも凝っており格段に存在感を増している。腕時計をそのままクルマに付けたような、とまではいかないが羽根のようなシルエットに変わったエアベントと調和しており、室内の雰囲気を華やかにしてくれている。

 

パワーユニットは伝統的なW12やV8だけでなくハイブリッドのデビューも予告されている。だが最初に導入されるのは今回試乗する550psを発揮するV8ツインターボのモデルが先となる。

 

乗り味はこれまでのベンテイガと同じ・・・と思っていたらまるで違って驚かされた。静けさと足まわりのしっとり感が20%くらい増している! 以前から当然エアサスだし、基本的なシステムは変わっていないのになぜ? と思ってオドメーターを見ると、まだ200kmを越えたばかりの新車だった。さすがにこの走行距離でドライブフィール云々を断定することはできないだろう。

 

ベントレー ベンテイガのフロントシート

新設計となった前後席シートはしっかりと身体をサポートしてくれる。後席のニースペースは最大100mm拡大され、快適性も向上した。

 

「大柄なボディサイズを感じさせない引き締まった走りに魅了されてしまう」

 

経験上、車重が軽いクルマほど最初の1000kmで雰囲気が大きく変わると思っている。ベントレーだって少しぐらいは馴染むとかこなれるとか、あるに違いない。

 

夜の首都高を新型ベンテイガでクルージングする。直線を走っている時に乗り心地がいいだけでなく、コーナーでも上屋の質感を感じないので、車体が引き締まって小さく感じられる。背の高いクルマが避けて通れない、ステアリングを切ったあとのグラッと倒れ込むようなロールがないので、そこからの揺れ戻しを待つ時間も当然なく、ボディ形状に対する思い込みが霧散していく。

 

SUVとかセダンとかではなく、一言で言えば「ベントレーのフィーリング」なのだと思う。スタイリングが若干コンチGT寄りのパーソナルなものになった新型ベンテイガだが、走りも“おそらく”より引き締まったものになったのだと思う。

 

ベントレー ベンテイガの走行シーン

搭載する4.0リッターV8ツインターボがスペックシートに刻む数値は、最高出力550ps/最大トルク770Nmと変更は無い。すでにハイブリッドモデルもアナウンスされており、今後のラインナップ拡充に期待は募る。

 

「こんなご時世じゃなければ、北海道あたりまでサクッと旅に出てみたい」

 

シフトレバー後方にあるダイヤルで替えるドライビングモードは、コンフォートモードとベントレー推奨(つまりノーマル)のベントレーモードとの差異が少ないように感じた。以前のコンフォートはダンピングが緩くなりすぎるように感じられたが、今回は全域でしっとりと抑えが効いていた。もちろんアダプティブに各部を変化させる機能なので、スイッチを切り替えただけでは何とも言えないのかもしれない。でも各モードのカバレッジが広いのは、ベントレーのような超がつくプレミアムモデルにとって重要な資質だ。

 

ベンテイガの顧客にはこれまでベントレーを所有したことがない人も多かったという。見た目は荘厳だが、普段使いできてしまうので当然かもしれない。こんなご時世じゃなければ、北海道あたりまでサクッと旅に出てみたい。ベンテイガはそう思わせてくれる1台だ。

 

 

REPORT/吉田拓生(Takuo YOSHIDA)
PHOTO/田村 翔(Sho TAMURA)

 

 

【SPECIFICATIONS】

ベントレー ベンテイガ

ボディサイズ:全長5125 全幅1995 全高1755mm
ホイールベース:2995mm
車両重量:2416kg
エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ
総排気量:3996cc
最高出力:404kW(550ps)/5750-6000rpm
最大トルク:770Nm(78.5kgm)/2000-4500rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前ダブルウイッシュボーン後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前後285/45ZR21
0-100km/h加速:4.5秒
最高速度:290km/h
車両本体価格:2185万7000円

 

 

【問い合わせ】
ベントレーコール
TEL 0120-97-7797

 

 

【関連リンク】

・ベントレー 公式サイト
https://www.bentleymotors.jp/

 

 

【掲載雑誌】

・GENROQ  2021年3月号