最速の女性ドライバー、シモーナ・デ・シルベストロが「ポルシェ カイエン ターボ クーペ」で楽しんだオートキャンプ

公開日 : 2021/02/22 14:55 最終更新日 : 2021/02/22 14:55


故郷スイスを舞台に、ポルシェ カイエン ターボ クーペでオートキャンプを楽しむシモーナ・デ・シルベストロ

Porsche Cayenne Turbo Coupe

ポルシェ カイエン ターボ クーペ

 

 

スイス屈指の景勝地ベルナー・オーバーラントへ

 

最速の女性レーシングドライバーのシモーナ・デ・シルベストロ(Simona De Silvestro)が、シーズン開幕前のリラックスを求めて「ポルシェ カイエン ターボ クーペ」で、オートキャンプを楽しんだ。

 

曲がりくねった狭いワインディングロードを走っていると、視界の先に黄色い郵便運搬車が迫ってきた。道路は狭く、そのままではすれ違うことができないが、向こうはスピードを落としたり道を譲る様子はないようだ。シモーナは慣れた様子でカイエンをバックさせ、断崖絶壁のちょっとしたスペースにカイエンを収めた。すれ違った運搬車のドライバーは、感謝の気持ちを込めて彼女に手を振る。

 

シモーナはそのまま山頂までクルマを進め、パノラマが楽しめるスイスの景勝地「ベルナー・オーバーラント(Bernese Oberland)」へと向かう。眼下には緑豊かなアルプスの牧草地で牛たちが食事を楽しみ、頭上にはヴェルホルンとヴェッターホルンの巨大な岩と氷の塊が青空に突き出ている。

 

「私の故郷は、夢のような世界が広がっています」と、シモーナは微笑む。

 

故郷スイスを舞台に、ポルシェ カイエン ターボ クーペで、オートキャンプを楽しむシモーナ・デ・シルベストロ

スイス出身のシモーナにとって、スイス・アルプスの山岳地帯は勝手知ったる場所。キャンプ場近郊ではハイキングやマウンテンバイクなどのフィジカルトレーニングも行うことができる。

 

リラックスとレースに向けたトレーニング

 

うっとりと景色を楽しみ、深く息を吸い込むと、彼女は再びドライブへと戻った。今回の目的地は、1988年に彼女が生まれた場所の近く、絵のように美しいトゥーン湖のほとりにある「マナーファーム 1(Manor Farm 1)」キャンプ場だ。

 

シモーナは、新型コロナウイルス(COVID-19)感染が拡大していた2020年夏に、何度もこのキャンプ場を訪れている。「私は山で育ちましたから、とてもアクティブな人間なんです」と、彼女は肩をすくめる。この場所で行う8時間のハイキング、過酷なマウンテンバイクでの走行、湖でのパドリングなどは、レースのに向けた肉体的・精神的なトレーニングの一環だ。

 

スイス出身のシモーナは、世界でもトップクラスのレーシングドライバーとして知られている。インディ500に5回も出場し、ザウバー・チームでF1テストの経験もある。さらにアンドレッティ・オートスポーツから2シーズン、フォーミュラEのレギュラードライバーを務めている。

 

故郷スイスを舞台に、ポルシェ カイエン ターボ クーペで、オートキャンプを楽しむシモーナ・デ・シルベストロ

フォーミュラEの開発を行いながらも、同時に彼女は自然を愛する人物でもある。キャンプをしているときは、カントリーライフを心から満喫している。

 

シモーナが持つ豊富なレース経験

 

20199月から、シモーナはポルシェのファクトリードライバーとして「タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム(TAG Heuer Porsche Formula E team)」の開発・テストドライバーとして活躍している。この重責を担う初の女性ドライバーとして、彼女は現在が自身のキャリアハイにあると感じているようだ。

 

2016年、彼女はフォーミュラEにおいて、ポイントを獲得した初の女性となった。2019-2020年シーズンからフォーミュラEへの参戦をスタートしたポルシェにとって、彼女の経験は非常に貴重なものとなっている。ヴァイザッハの開発センターに設置されたレーシングシミュレーターに乗り込み、彼女は若いチームに貴重なフィードバックをもたらしている。

 

しかし、キャンプ場ではシミュレーターのようにデータを入力すればすぐに準備完了とはいかない。安らかな眠りを手に入れるためには、カイエン ターボ クーペを水平な場所に駐車しなければならないのである。

 

故郷スイスを舞台に、ポルシェ カイエン ターボ クーペでオートキャンプを楽しむシモーナ・デ・シルベストロ

現在32歳のシモーナ・デ・シルベストロは、テストだけでなくドイツGTマスターズシリーズにティモ・ベルンハルトのチームメイトとして参戦している。

 

ポルシェ・ファクトリードライバーとしての活動

 

10年前、シモーナは自分が電気自動車でレースをすることを想像できなかったという。しかし、時代は変わった。

 

「フォーミュラEマシンは、どんどん速く、効率が良くなっています。レースは素晴らしくクールですし、レーシングカーはパワフル。そしてホイール・トゥ・ホイールのバトルはいつだって最高です」

 

シモーナがこのシリーズを気に入っている理由として、特に彼女たちの世代が環境への関心が高いことを挙げた。

 

「30年後に現在の状況を振り返った時、『フォーミュラEがスタートした時に、私はあの場所にいた』と言えるようになりたかったのです。オール電化レースシリーズは、大規模モビリティの未来を道を指し示していると思います」

 

また、フォーミュラEの開発に関する仕事の傍ら、ティモ・ベルンハルトのチームメイトとしてポルシェ911GT3 RでドイツGTマスターズシリーズにも参戦している。「どのカテゴリーであろうと、ポルシェは勝つためにレースをしています。それがこのブランドのポリシーですし、私も同じ考えでレースを戦っています」と、シモーナは付け加えた。

 

故郷スイスを舞台に、ポルシェ カイエン ターボ クーペで、オートキャンプを楽しむシモーナ・デ・シルベストロ

シモーナはザウバー・チームからF1のテストドライブにまで漕ぎ着けるが、スポンサーとの決別により実戦デビューを叶えることはできなかった。

 

資金不足に悩まされたレースキャリア

 

シモーナのレースキャリアは何度も危機に直面している。それは、才能、パフォーマンス、情熱、男性優位が続くモータースポーツで自己主張が欠けていたからではなかった。単純にスポンサーからの資金が不足していたのだ。悲願のF1参戦プロジェクトも、予算的な理由で失敗に終わっている。

 

「でも、私には決断力がありましたし、粘り強く、負けず嫌いなので、決して諦めませんでした」

 

星空の下で夜を過ごすためにルーフテントを張り、食事の準備をすべく焚き火の手入れをしながら、彼女はそう説明してくれた。

 

シモーナは幼い頃からF1ドライバーになることを夢見ていた。父親ピエールルイジの隣に座り、F1グランプリを見たり、父親の膝の上でゴーカートにも乗っている。7歳になり、ようやくペダルに足が届くようになった彼女は、何度もお願いを繰り返した末にようやく自分のカートを手に入れた。

 

フォーミュラへとステップアップするまでの10年間、彼女はカートレースに没頭した。イタリア出身の父親のおかげもあり、彼女はイタリアの国籍も有していた。それもあって2004年にはイタリアのフォーミュラ・ルノー・ジュニア・レーシング・シリーズに参戦している。

 

故郷スイスを舞台に、ポルシェ カイエン ターボ クーペで、オートキャンプを楽しむシモーナ・デ・シルベストロ

17歳で単身アメリカへと渡ったシモーナは、2010年にトップカテゴリーのインディカーへとステップアップ。2011年には火災を伴う大クラッシュから即復帰を果たし、「アイアン・メイデン」というニックネームを得ている。

 

アメリカで得た「アイアン・メイデン」の称号

 

17歳で高校を中退したシモーナは、自身でスポンサーを獲得し、2006年に単身アメリカのインディアナポリスに移住。「もし、あの時点でヨーロッパに残っていたら、レースキャリアを諦めることになっていたでしょう」と、彼女は振り返る。

 

2009年、インディカーシリーズの下部カテゴリー「アトランティック・チャンピオンシップ」においてシリーズランキング3位を獲得。この活躍により、彼女は2010年にインディカー・シリーズにステップアップを果たす。同年のインディ500で「ルーキー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれ、2013年にはヒューストンで2位表彰台にも上がった。

 

そのキャリアにおいて、レーシングドライバーとして厳しい危機にも直面した。2011年5月19日、インディ500の練習走行中、ドライブしていたダラーラのリヤサスペンションが破損し、シモーナは350km/h近くでコースアウトしてしまう。マシンはウォールに激突して跳ね返り、横転して停止。さらにその直前にマシンは炎上する。アクシデントの責任は彼女になかったが、右手に火傷を負うことになった。そして、このアクシデントは彼女の自信を粉々にしてしまう。

 

この時に彼女を支えたのが母親だった。シモーナにできるだけ早くコクピットへと戻るようにアドバイス。その助言に従い、クラッシュから48時間も経たない5月21日の予選に進出したシモーナは、モータースポーツファンからその勇気を称えて「アイアン・メイデン(鋼鉄の乙女)」と呼ばれるようになった。

 

故郷スイスを舞台に、ポルシェ カイエン ターボ クーペで、オートキャンプを楽しむシモーナ・デ・シルベストロ

10代から海外で活動を続けてきたシモーナは、2019年末に拠点を故郷スイスに戻した。現在の目標はポルシェのGTカーでの勝利。そして女性ドライバーとして、歴史に名を刻むことにある。

 

女性ドライバーとしてポルシェで歴史をつくる

 

2019年末、アメリカでの10年とオーストラリアでの3年を経て、シモーナはスイスへと帰国した。自身が生まれたトゥーンでも、1990年以降に住み今も父親が自動車ディーラーを経営しているレマン湖近郊でもなく、彼女が選んだのはチューリッヒ。美しいチューリッヒ湖から徒歩10分の場所に住んでいる。

 

ここでは、パドルボードを持ってすぐに水上に出られるし、山へ向かえばキャンプやハイキング、スキーも楽しむことができる。そして、ポルシェの本拠地やドイツのサーキットも近い。彼女がヨーロッパへと拠点を戻したのには理由がある。

 

「レースの勝利や選手権タイトルを目指して戦いたいのです。それもポルシェなら可能ですから・・・。そして、女性としてポルシェで歴史を作りたいのです」