レクサスのオールラインナップをサーキットでテスト! 最良のレクサスとは?【Playback GENROQ 2017】

公開日 : 2021/03/07 17:55 最終更新日 : 2021/03/07 17:55

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レクサス、オールラインナップ試乗。RC Fの走行シーン

LEXUS RC F × GS F × GS200t × IS350

レクサス RC-F × GS F × GS200t × IS350

 

 

最良のレクサスを探せ!

 

ハッチバックからセダン、クーペ、SUVまで幅広い9モデルのラインナップを揃えるレクサス。まもなくブランドの象徴となりえるハイエンドクーペLCの導入を控えるなど、話題が尽きない。そんなレクサス車をサーキットと一般道を中心に大谷達也が乗り倒した。The Best of Lexusはどれだ?

 

レクサスのオールラインナップ試乗会の様子

国産プレミアムブランドを代表するレクサスのオールラインナップを、袖ヶ浦フォレストレースウェイを舞台にテスト。欧州プレミアムブランドに対抗するレクサスを評価する。

 

「トヨタが目標とする『すっきりと奥深い走り』がおぼろげながら見えてきた」

 

静粛性は高いし、内装の質感も上がってきた。エクステリアには好き嫌いがあるだろうが、全般的なデザインの実力は確実に向上している。走りの性能もこれといって不自由することはない。ただし、ドライビング・フィールに明確な個性が認められないから、このブランドを選ぶ積極的な理由が見当たらないというのが、私のこれまでのレクサス評だ。

 

ところが今回、IS担当の小林直樹主査は「すっきりと奥深い走り」がレクサスの目指すところだと説明してくれた。なるほど“すっきり”というのはレクサスを表現するのに相応しい言葉だが、それは個性のないことの裏返しではないか。しかし、今回最新のレクサスに試乗してみて、彼らが目標とする「すっきりと奥深い走り」がおぼろげながら見えてきたのでここで報告しよう。

 

レクサス RC Fの走行シーン

車名に掲げた“F”は、富士スピードウェイでパフォーマンスを鍛え上げた証。筆者は「RC FとGS Fの2台は入念なボディ強化が施されているため、剛性不足を感じることはなかった」と評価した。

 

「レクサスの乗り味は、重い軽いでいえばメルセデスとアウディの中間」

 

それはメルセデスのようにドスッとした重厚感を感じさせる乗り味とも、アウディ特有の浮遊感を伴った軽快さとも微妙に異なる。レクサスの乗り味は、重い軽いでいえばメルセデスとアウディの中間だが、まるで澄み切った清流のような爽やかでクセがない味わい。といってもただ無味無臭なだけではない。フリクション感が軽いのに動き出しからしっとりとした減衰力を生み出すダンパーが料理でいうところの旨み成分として乗り味全体を下支えしているため、薄味ながらもしっかりとダシが効いた一品に仕上がっているのだ。

 

ただし、その味わいはまだほのかなもので、明確な個性というには物足りない。それでも、今後目指すべき目標が具体化したことは、レクサスが本当のプレミアム・ブランドとして自立するうえで重要な一歩を踏み出したと評価できるだろう。

 

一方で、ここまで乗り味がしっかり定まってくると、今度はボディ剛性が物足りなく感じられるようになったのは興味深い現象だった。というのも、良質なダンパーを得た足まわりが高級感を演出しているのに、ボディがそれをがっしりと受け止めきれず、部分的に上質さが損なわれているように思われたのだ。

 

レクサス RC Fのエンジン

D-4Sや吸排気バルブを制御するVVT-iEを搭載した2UR-GSE型5.0リッターエンジン。回転数に応じてエンジンサウンドを演出するアクティブサウンドコントロールも装備。トランスミッションは最短0.1秒の変速を可能とした8速ATを採用。

 

「RC FとGS Fは優れた快適性とともに圧倒的なプレミアム感を見せつけた」

 

この点、5.0リッター V8エンジンを搭載するRC FとGS Fの2台は入念なボディ強化が施されているため、剛性不足を感じることはなかった。しかも歴代“F”の佳き伝統で、一般道でも滑らかな動き出しのサスペンションが快適な乗り心地をもたらしてくれる。今回“F”以外のレクサスにもとっかえひっかえ試乗してみたが、“ノーマル”レクサスが高速道路の路面のつなぎ目でボディ剛性不足から振動を素早く収束できない弱点を露呈したのに対し、RC FとGS Fは何事もなかったかのようにこれをやり過ごし、優れた快適性とともに圧倒的なプレミアム感を見せつけたのであった。

 

サーキットステージの袖ヶ浦フォレストレースウェイに舞台を移せば、当然のことながら“F”の優位性はさらに際立つ。自然吸気らしい素直なレスポンスのエンジンがいつでも十分なパワーを生み出してくれる一方、スポーツプラスモードではダンピングが高まってボディの無駄な動きを排除。ドライバーがステアリング操作だけに没頭できる環境を生み出してくれたのである。

 

レクサス GS200tの走行シーン

ダウンサイジング・コンセプトで燃費を大幅に改善したGS200t。ただし、最大トルク(350Nm)は自然吸気3.0リッターに迫る数値なのに、過給遅れのためスペックに見合った力強さを感じられなかった点は残念。足まわりは全般的に“ユルメ”ながらサーキット走行では十分なダンピング性能を発揮していた点を報告しておきたい。

 

「IS200tとGS200tの安定感は2台の“F”に次ぐものだった」

 

足まわりの完成度だけでいえば直噴2.0リッターターボを積んだIS200tとGS200tの感触もよかった。ソフトな足まわりが一般道での快適性を確保する一方で、強いブレーキを残したまま進入する袖ヶ浦の3コーナーから4コーナーにかけても、ボディをフラットに保つダンピング性能を発揮。その安定感は2台の“F”に次ぐものだったが、肝心のエンジンがサーキットではパワー不足、そして一般道ではレスポンス不足で、総合点では“F”に及ばなかった。

 

ISとGSの比較では、今回マイナーチェンジを受けてダンパーを一新したISのほうに“レクサス風味”をより強く感じた。とりわけIS350であればパワー感も十分だが、前述したボディの剛性感がプレミアム性をスポイルしている。ハイブリッドのIS300hはバッテリー保護のためにボディ強化がされているはずなのに、走行中に様々なパーツが振動している印象が拭えず、好感を抱けなかった。

 

というわけで今回はRC FとGS Fの2台に強く惹かれたが、ホイールベースが長いGS Fはタイトコーナーが続く袖ヶ浦ではやや持てあまし気味に感じられた。その点、RC Fであればレスポンスのいいハンドリングで袖ヶ浦を縦横無尽に駆け抜けることができる。実は、富士のような高速サーキットではGS Fのスタビリティの高さが光るのだが、袖ヶ浦とその周辺の一般道に試乗コースを限定するならば、ザ・ベスト・オブ・レクサスの称号はRC Fにこそ相応しい。

 

 

REPORT/大谷達也(Tatsuya OTANI)
PHOTO/田村 弥(Wataru TAMURA)

 

 

【SPECIFICATIONS】

レクサス RC F

ボディサイズ:全長4705 全幅1850 全高1390mm
ホイールベース:2730mm
車両重量:1790kg
エンジン:V型気8筒DOHC
総排気量:4968cc
最高出力:351kW(477ps)/7100rpm
最大トルク:530Nm(54.0kgm)/4800-5600rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:RWD
ステアリング形式:パワーアシスト付きラック&ピニオン
サスペンション:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(リム幅):前255/35ZR19(9J) 後275/35ZR19(10J)
環境性能(JC08モード)
燃料消費率:8.2km/L
車両本体価格:967万円

 

 

※GENROQ 2017年 3月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

 

 

【関連リンク】

・GENROQ  2017年 3月号 電子版

※雑誌版は販売終了