次世代ルノー サンクと元祖の共通点は? フレンチコンパクトの傑作はEVになっても愛嬌たっぷり!

公開日 : 2021/03/07 11:55 最終更新日 : 2021/03/07 11:55


ルノー サンク プロトタイプとR5

Renault 5 prototype

ルノー サンク プロトタイプ

 

 

傑作フレンチコンパクトの再来

 

ルノーは2021年1月に発表した5ヵ年計画で、次期型コンパクトハッチバック「5(サンク) プロトタイプ」の姿を初公開した。その名のとおり、1970年代に誕生したかつてのロングセラーコンパクト、サンク(R5)の現代版と呼べるモデルである。

 

ルノー サンク プロトタイプは100%電気で走るピュアEVであり、「cute, pin-sized, city car(愛らしく、こぢんまりしたシティカー)」を目指す。カテゴリー的には、フォルクスワーゲン ゴルフやメルセデス・ベンツ Aクラス、プジョー 308など強豪ひしめくCセグメントに属することになる。

 

ルノー 5 プロトタイプとR5

ルノーが次世代Cセグメントモデルとして開発を明言している「5(サンク) プロトタイプ」と、オリジナルのR5。往年のサンクのイメージを、現代最新のプロダクトへ織り込むことを目的としてデザインされた。

 

R5のヘッドライトを現代的に再解釈

 

ボディサイズこそ祖先よりずっと大きく立派になる次期型サンクだが、デザインの隅々に多くの共通点を潜ませている点が非常にユニークだ。サンク プロトのエクステリアデザインを手掛けるニコラ・ジャルダン曰く、「このプロトタイプには自由な主題が与えられているのではなく、R5を再解釈し、未来へ投影し、モダンなプロダクトに落とし込むことこそが我々の仕事でした」

 

1975年のルノー サンク(R5)

1975年のルノー サンク(R5)。オリジナルではフロントバンパーにフォグランプを装着するオーナーが多かった。次期型サンクでは、このフォグランプをデイタイムランニングライトで表現している。

 

たとえばデイタイムランニングライトと共に構成するフロントの灯火類周りは、いかにも愛らしく、R5のかつての表情を彷彿させる。

 

しかし見た目はレトロでも、その実、サンク プロトタイプのヘッドライトは最先端テクノロジーの結晶である。立方体のヘッドライトユニットは空力性能を徹底的に考慮した形状となっており、次世代車らしく先進のマトリクスLEDテクノロジーを搭載。乗員を出迎える際にはウインクするように瞬かせたり、ロゴを投射したりと、様々なグラフィックやアニメーション演出を用意する模様だ。

 

ルノー サンク プロトタイプのヘッドランプ

ルノー サンク プロトタイプのヘッドランプまわりは、旧サンクの愛らしい“笑顔”を蘇らせるべく、分析や研究を重ねに重ねたうえでデザインされている。

 

R5の“笑顔”を現代車に蘇らせる

 

サンク プロトタイプのデザインにあたっては、まずはオリジナルの“素材”集めからスタートしたという。オリジナルのデザイナーであるミシェル・ブエによるスケッチをはじめ、当時の写真や雑誌、資料の束を集めに集め、あらゆる角度からR5の本質を分析。ルノー クラシックから借りだした実車も大いに研究の助けとなったそうだ。

 

1967年のルノー サンク(R5)のデザインスタディ

1967年のルノー サンク(R5)のデザインスタディ。1972年に登場した量産モデルは、のちに超ロングセラーとして愛される傑作フレンチコンパクトとなった。

 

いざ最初のスケッチに取り掛かる際の気持ちを、コンセプトカーやショーカーのデザインディレクターを務めるフランソワ・ルボワンは次のように語っている。

 

「(サンク プロトタイプの)スケッチは、オリジナルのR5が持ついたずらっぽい佇まいを再生させるために、その基本的な要素を捉えています」。 デザイナーはまるでキャラクターの表情の個性を描きだそうとする漫画家のように、まっ白なペーパーに向かったという。そこからプロポーションや輪郭、ヘッドライト間の距離を詰めながら、1970年代のR5のような“笑顔”の表情を作り上げていったのである。

 

ルノー サンク プロトタイプのデザインプロセス

ルノー サンク プロトタイプのデザインにあたっては、オリジナルの実車をはじめ、当時のカタログやデザイナーによるスケッチなど、ありとあらゆる材料を集めて分析を行ったという。

 

懐かしいのに、すごく新しい

 

グラフィックの方向性を分析し、輪郭やプロポーションを仕上げたのち、デザイナーは“シフト”と呼ばれる作業に入る。作り出したオブジェクトを別の世界へ嵌め込んでいくこの作業をルボワンは次のように語る。

 

「デザイナーは分析時に得たすべてのグラフィックとムードボード(アイデアやコンセプトをコラージュして一面にまとめたもので、イメージを互いに共有するためのツール)、最新のオブジェクトなどを融合し、未来のプロダクトに相応しいデザインディテールへ反映させていきます」

 

サンク プロトタイプのデザイナー達は、航空学や建築、プロダクトデザイン、エレクトロニクスといった多彩な分野にも幅広くアイデアを求めたそうだ。

 

このようなプロセスを経て、サンク プロトタイプの「懐かしいのに、すごく新しい」ヘッドライトは誕生した。当時は多くのオーナーがフロントバンパー内に装着していたフォグライトは、デイタイムランニングライトとして生まれ変わっている。

 

ルノー 5 プロトタイプ

「サンク プロトタイプ」はルノーの新時代の幕開けを担う重要なマイルストーンとなるモデル。サンクは再び、フレンチコンパクトの傑作となることができるだろうか。

 

新しいビジネス戦略「RENAULUTION(ルノーリューション)」を掲げ、これから新たに生まれ変わろうとしているルノーにとって、新生サンクは重要な第一歩となる。だからこそ、ヘッドライトひとつにかける執念からも、チーム全体で21世紀の傑作フレンチコンパクトを開発していこうという意気込みが強く感じられる。