フェラーリ カリフォルニアTに与えられた「ハンドリング・スペチアーレ」の驚異的なコーナリング性能を試す 【Playback GENROQ 2017】

公開日 : 2021/03/08 17:55 最終更新日 : 2021/03/08 17:55

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フェラーリ カリフォルニアT ハンドリング・スペチアーレの走行シーン

Ferrari California T HS

フェラーリ カリフォルニアT ハンドリング・スペチアーレ

 

 

ハンドリング、命!

 

フェラーリのラインナップ中、もっともカジュアルな存在として人気を博しているカリフォルニアTに硬派な仕様が設定された。“ハンドリング・スペチアーレ”と呼ばれるそれは従来型とは違い、完全リアルスポーツ仕立ての、いわば本質的なアプローチが特徴。その感動のフィーリングをレポートすることにしよう。

 

フェラーリ カリフォルニアT ハンドリング・スペチアーレの走行シーン

機能的にレイアウトされたコクピットは、他のフェラーリ同様に“美と機能”の融合が魅力だ。シートのホールド性も適度で良い。通常の使用からスポーツ走行までフレキシブルに対応するデザインが魅力だろう。+2シートのスペースも日常では使い勝手が良く重宝する。

 

「シャープかつダイレクトな動きに感動!! これこそフェラーリの真骨頂である」

 

ノーズの入り方が明らかに違う。コーナリング中の姿勢変化も極めて素直で、挙動をコントロールするにも楽、しかもコーナー脱出時の俊敏性にも磨きがかかっている。全体的にインフォメーション性が高くなっているどころか、ダイレクト感まで強調されている──。

 

フェラーリ カリフォルニアTに新たに加わった、オプションの“ハンドリング・パッケージ”の第一印象は、そんな驚きと興奮からはじまった。“これこそフェラーリ!”と思わず叫びそうになるくらい、攻め込んだ時の動きは従来のカリフォルニアTとは一線を画す。

 

その内容は、もちろんシャシー系のチューニングが主となるが、それ以外に手を加えている点も好印象の理由だ。フロントで16%、リヤは19%ハードな仕様に変更された強化スプリングを中心に、マグネティックライドのダンパーも改良されているうえ、トラクションコントロールの制御に関しても見直している。その結果、ロール量はマイナス7%、ロール速度も8.5%ほど低減しているというが、フェラーリはさらにステアリングを10%ほど高速化させ、そのフィーリング自体も改善させている。

 

フェラーリ カリフォルニアT ハンドリング・スペチアーレのエンジン

フロントに搭載されるV型8気筒ツインターボユニットに変更はないものの、新型のサイレンサーを採用したことにより、エキゾーストサウンドの印象はだいぶ異なる。以前よりも高揚感が増す演出が施されているだけにオープン時はより一層楽しめるだろう。

 

「フェラーリが本気で求めていたのは、優れたバランス感をもつ“リアルスポーツ”」

 

こうしたフェラーリのハンドリングに対する特別なアプローチは、古くは355や612スカリエッティ、比較的新しいところでは先代のカリフォルニア30にも展開され、いずれも好評だったが、今回はそれだけには留まらない点も特筆すべきだろう。驚くことに7速DCTにも改良を加えてきたのである。その内容も著しく、シフトアップで30%、ダウン時では40%ほど変速スピードを短縮してきたのだ。しかもエキゾーストサウンドを改善するためにサイレンサーまで変更している。

 

冒頭で触れたように、全体の印象が異なるのはこうした理由が背景にあるからだが、フェラーリが本気で求めていたのは、優れたバランス感をもつ“リアルスポーツ”に違いない。これまでのカリフォルニアTは、フェラーリらしさはあるものの、常にカジュアル、“グランドツアラー寄りのFRスポーツ”に終始していたが、ハンドリング・スペチアーレの場合は、車両との対話によってリアルに攻め込んでいけるようになった点が最大の違い。つまり、タイヤのグリップ感を確かめながら動きをアクセルでコントロールするというように、ドライバーを積極的にさせるのが主な狙いである。

 

フェラーリ カリフォルニアT ハンドリング・スペチアーレの走行シーン

前後ブレンボ製セラミックディスクブレーキの性能も相変わらず高いことが今回の試乗で改めて思い知らされた。この制動力をもつからこそ、ハンドリング・スペチアーレも活きるというものだ。信頼できるというだけでなく、もはやなくてはならないとさえ思えた。

 

「ワインディングでは、本領発揮と言わんばかりの醍醐味を披露」

 

そう促すためにもサイレンサーの変更は必要だったのだろう。エキゾーストサウンド自体からして“やる気”にさせるからエンジンスタート早々から実にフェラーリらしくなったと思わせる。560ps&755Nmというパワー&トルク値に変更はないものの、パワーが漲っているようでアイドリング時から高揚感が増す。もちろん、走り出せばそれ以上、変速スピードが格段に上がっているとあって加速も減速も楽しめるほどだ。エンジンスピードに比例してエキゾーストサウンドもそれに拍車をかけるようで実に好ましい。

 

そしてステージをワインディングに移せば、本領発揮と言わんばかりの醍醐味を披露する。特にコーナリング中に大きな違いを思わせるのは、初期の応答だ。“スパッ”とノーズが入るようになっただけにシャープさが増している。だからコーナーの手前ギリギリでフルブレーキングし、ステアリングを切って一気にアプローチするのも楽になった。旋回中に関してもロール量の改善が功を奏し、グリップ感がより明確になったこともコーナリングを楽しめるようになった理由だろう。

 

フェラーリ カリフォルニアT ハンドリング・スペチアーレの走行シーン

筆者は試乗を通じ「コーナー間の移動も素早くなっているとあって、コーナーが連続するようなシーンではダンスするかのように、リズムよく小刻みな走りに対応するようになった」と、従来型を凌駕する「ハンドリング・スペチアーレ」の威力を評価する。

 

「コーナーが連続するようなシーンではダンスするかのように走る」

 

ましてやコーナー出口から一気に加速する際に思い知らされるトラクション性能の著しい向上も見事というほかない。足まわりの強化もそうだが、トランスミッションの改善はここでも効果が表れるだけに、実に攻め甲斐がある。だからコーナリング中もさることながら、コーナー間の移動も素早くなっているとあって、コーナーが連続するようなシーンではダンスするかのように、リズムよく小刻みな走りに対応するようになった。従来型なら、こうはいかない。全体的にここまでスピードを乗せられるほどではなかったから、ハンドリング・スペチアーレは、まさにその名に準じた仕様だと痛感した。

 

これは一連のフェラーリが見せる動きと同様と言っても大げさではない気がする。即ち、ミッドシップの488GTBやフラッグシップのF12ベルリネッタにも似たアプローチに近い。外観上の違いこそわずかだが(新型フロントグリル、マットブラック仕上げのリヤディフューザー&テールパイプ)、選択する価値は十分にあり。そのオプション価格も87万7000円(税込)と内容から考えればリーズナブルだと思う。

 

 

REPORT/野口 優(Masaru NOGUCHI)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)

 

 

【SPECIFICATIONS】

フェラーリ カリフォルニアT ハンドリング・スペチアーレ

ボディサイズ:全長4570 全幅1910 全高1322mm
ホイールベース:2670mm
乾燥重量:1625kg
エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ
総排気量:3855cc
最高出力:412kW(560ps)/7500rpm
最大トルク:755Nm(77kgm)/4750rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:RWD
サスペンション:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前245/40ZR19 後285/40ZR19
最高速度:316km/h
0-100km/h:3.6秒
環境性能(EU)
CO2排出量:250g/km
燃料消費率:10.5L/100km
車両本体価格:2450万円(ベース車)/HSオプションパッケージ価格:87万7000円

 

 

※GENROQ 2017年 3月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

 

 

【関連リンク】

・GENROQ  2017年 3月号 電子版

※雑誌版は販売終了