GENROQ カー・オブ・ザ・イヤー 2018-2019、スーパースポーツ&GT部門を徹底評価!:前編 【Playback GENROQ 2019】

公開日 : 2021/03/22 17:55 最終更新日 : 2021/03/22 19:21


GENROQ CAR OF THE YEAR 2018-2019:Super Sports & GT

フェラーリ ポルトフィーノ × アストンマーティン ヴァンテージ × ベントレー コンチネンタルGT

 

 

アスリートの頂上決戦

 

年に一度、GENROQ誌面を彩ったクルマたちを一堂に集めて改めて評価をするGENROQ CAR OF THE YEAR(GOTY)。スーパースポーツ&GTの代表として集めたクルマは7台。そのうち4台を英国ブランドが占めたのは、最近のイギリス車の勢いを象徴しているかのようだ。

 

前編ではフェラーリの最新オープン4シーターであるポルトフィーノ、新型へと生まれ変わったばかりのアストンマーティン ヴァンテージ、ベントレー コンチネンタルGTのインプレッションをお届けする。果たしてGOTYメンバーの評価はどうか。(後編はこちら

 

フェラーリ ポルトフィーノの走行シーン

リトラクタブルハードトップを備え、全天候型のオープンモデルとしてフェラーリの新境地を拓いたポルトフィーノ。

 

Ferrari Portofino

フェラーリ ポルトフィーノ

 

島下泰久「美しいデザインだけではない。強い刺激も堪能させてくれる」

 

フロントエンジンの2+2、そしてリトラクタブルハードトップ・オープンという、フェラーリの新境地を切り拓いたパッケージをカリフォルニア/同Tから継承しながら、格段に美しさを増したデザインをまとって登場したポルトフィーノ。しかしながら注目すべきは見た目だけではない。何しろハードウエアは完全に新設計なのだ。

 

オールアルミ製のボディは車両重量を80kg削り取る一方で静的捻れ剛性は35%、サスペンション取付け部については50%も向上させている。3.9リッターV型8気筒ツインターボエンジンはピストンもコンロッドも新設計され、ツインスクロールターボ内蔵のワンピース構造鋳造ターボマニホールドを採用。優れたレスポンスを実現すると同時に最高出力を600psの大台へと乗せている。

 

走り出せば、軽さと剛性感の違いは明らかだ。トップを開け放った状態でも加減速もコーナリングも一体感が格段に増しているし、その質も高まっているのを実感できる。しかも、最新のE-Diff3がそこに効果的なスパイスを加えていて、マネッティーノを標準のCOMFORTにした状態では、これが旋回性を重視した設定となり、とにかく良く曲がるのだ。

 

エンジンは低中速域でもアクセル操作に対するツキが素晴らしく良く、まさに意のままになるドライバビリティを味わえる。ウインドディフレクターを立てておけば風の巻き込みも抑えられ、エアコンも良く効くから、冬のワインディングロードをオープンのまま、敢えてゆったりと流していたら、本当に満ち足りた気分になった。

 

さらにペースを上げて、600psを堪能しようというならば、ルーフは閉じた方がいい。そうすると走りが明らかに変化する。全体の剛性感が高まり、ステアリングも中立位置での据わりが格段に明確になるのだ。

 

こうしておいてさらにアクセルを踏み込むと、ポルトフィーノはますます走りが活気づいてくる。エンジンは弾けるように反応して嬉々として高回転域へと向かっていく。それに従ってパワーはますます高まり、冬の空気を容易に切り裂いていく。ミッドシップの488のようにエキゾーストマニホールドの長さを取れないこともあり、低音が強調され突き抜け感に乏しい排気音に悪態をつきつつも、さらに右足に力が入る。

 

そんな風に本気で踏む時にはマネッティーノをSPORTに切り替えると、E-Diff3はトラクション重視、要するにLSDがしっかり効いた状態になり、600psのパワーを逃さずトラクションに変換してくれる。立ち上がりでの腰だめの姿勢での猛然としたダッシュはまさにハイパワーFRの歓びである。

 

デイリーユースできるし、そこに快感もあるけれど、そこだけには留まらない。然るべき舞台では、これぞフェラーリという強い刺激も堪能させてくれるポルトフィーノには、繰り返しになるがその見映えのするルックスも含めて、売れない理由はなさそうに思える。実際、納車待ちの列は相当な長さになっているということだが、きっとそれは十分に報われることになるはずだ。

 

フェラーリ ポルトフィーノの走行シーン

ポルトフィーノは、フェラーリらしいドライビングプレジャーに快適なデイリーユースを与え、万民に向けたフレンドリーさをもつ。

 

清水和夫「初めてフェラーリを欲しいと思った」

 

デカ!というのが第一印象だった。というのはカリフォルニアの後継と聞いていたので、ボディサイズが大きくなったことに驚いたのだ。だが、2+2というパッケージを考えると、悪くないサイズかもしれない。その昔、911のカブリオレを所有していたことがあったが、再び2+2カブリオレが欲しくなった。また価格を見てみたら意外にも安!という印象を受けた。エンジンは3.9リッターのV8ターボだが、AMGやBMWのV8よりもパワフル。

 

この美しいボディとこのエンジン、乗り出し価格は3000万円弱となるが、十分にコスパが高いと思ってしまった。歴代のフェラーリでリアルに「ホシイ」と感じたのは、このモデルが初めてのことだ。走りの中で特に印象的なのはやはりエンジン。これだけでも1000万円の価値がありそうだ。さらに乗り心地にソリッド感(塊感)があること。ポルシェの「ソレ」に似ているが、ボディ全体でダンピングしている。これはズバリ、私好みである。

 

フェラーリ ポルトフィーノのエンジン

3.9リッターV8ツインターボは、最高出力600ps/最大トルク760Nmを発生する。

 

渡辺敏史「いいとこ取りの最新フェラーリ」

 

メタルトップオープンにして2+2シーターと、多面性と日常性を兼ね備えたフェラーリとしてデビューしたカリフォルニアの進化版。そのような成り立ちでみられがちなポルトフィーノだが、そのパフォーマンスにおいては別物的な進化を遂げていることがわかる。より大柄なGTC4 ルッソ系に対しても乗り心地に優劣はなく、トップの造作もしっかりしており可動部の軋み音などは聞こえない。

 

それほどの快適性を有する一方で後方の開閉システムの重量分はほとんど気にならず、オープン時でもクローズ時でもパフォーマンスに著しい変化は感じない。剛性もしっかり確保されており、操舵応答の確度は高く、FRらしいダイナミックさだけでなく、タイヤとしっかり対話しながらのリニアなドライブも愉しめる。極端な話、メルセデス・ベンツ SLあたりからの乗り換えでも戸惑わない完成度を持つフェラーリだが、繊細さを欠いたフェラーリらしからぬサウンドばかりは残念だ。

 

フェラーリ ポルトフィーノのインテリア

オープンモデルでありながら剛性不足を感じさせないのはやはりフェラーリ。オープン時のエアー巻き込みも想像以上に少なく快適なドライブができる。

 

吉田拓生「ベテランのフェラリスタのために」

 

レーサー気分でステアリング裏のパドルをカチャカチャといじり倒すのではなく、フェラーリの歴史全体を俯瞰すると、ポルトフィーノというクルマの真の姿が見えてくる。その名の通り、これは飛び切り優雅なスポーツカーなのである。FRレイアウトでリトラクタブルハードトップを備えるオープンカーとはいえ、そこはフェラーリである。右足の力加減によってエンジンは高音を奏で、ステアリングのキレ味も十二分に鋭い。屋根の密閉性も非常に良いので、オープンカーであることなど忘れてハードなドライビングに没頭することも可能である。

 

だがポルトフィーノは、海辺のレストランを予約しているのに、パートナーのお化粧の時間が長すぎる! という難題を涼しい顔で片づけるためにある。もちろん海辺の道に辿り着いたらトップを開け、ペースを落として走ってオンタイム。これはフェラーリに恋焦がれる時期が過ぎた、ベテランのためのフェラーリかもしれない。

 

 

PHOTO/田村 弥(Wataru TAMURA)、三橋仁明(Noriaki MITSUHASHI)N-RAK PHOTO AGENCY

 

 

【SPECIFICATIONS】

フェラーリ ポルトフィーノ

ボディサイズ:全長4586 全幅1938 全高1318mm
ホイールベース:2670mm
車両重量:1664kg
エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ
ボア×ストローク:86.5×82mm
総排気量:3855cc
最高出力:441kW(600ps)/7500rpm
最大トルク:760Nm(78.5kgm)/3000-5250rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク(カーボンセラミック)
タイヤサイズ(リム幅):前245/35ZR20(8J) 後285/35ZR20(10J)
最高速度:320km/h以上
0-100km/h加速:3.5秒

環境性能(EU複合モード)

燃料消費率:11.7L/100km
CO2排出量:267g/km
車両本体価格:2530万円

 

アストンマーティン ヴァンテージの走行シーン

清水和夫をして「ポルシェやフェラーリを卒業したい人には最後に乗るべきスーパースポーツかもしれない」と言わしめたアストンマーティン ヴァンテージ。

 

AstonMartin Vantage

アストンマーティン ヴァンテージ

 

清水和夫「いつでもドライバーを魅了する孤高にして官能的な英国の文化財」

 

アストンは並みいるスポーツカーの中でも、孤高の存在だ。だが、その中身は最近大幅にアップデートされている。というのも伝統だけで生き残るのは難しい時代となり、厳しさを増す環境や安全規制、さらに電動化や自動化が叫ばれる大変革の流れに対して、さすがのアストンも逆らうことはできなくなってきたからだ。それ故に生き残りをかけてメルセデスと提携し、AMGのパワートレインとデジタル技術を共有した。これは実に正しい選択ではないだろうか、と個人的に納得している。

 

エンジンはAMG GTのV8を使っている。最高出力510ps、最大トルクは685Nmだ。そのエキゾーストサウンドはAMGよりも少し穏やかだった。エンジン音はクルマのキャラクターを決めるので、無視できないポイントだ。

 

パワフルなFRのダイナミクスを高めるために、ヴァンテージはギヤボックスをデフと一体化させてリヤアクスルに搭載している。これはトランスアクスル方式と呼ばれるが、そのために前後重量配分はややフロントが軽い。だが、前後重量配分という物理量はクルマのダイナミクスを正しく説明するにはやや不十分なのだ。実は静的な前後の重量配分ではなく、動的な重量配分(専門的に言えば慣性モーメント)が大切なのである。重いモノがクルマの中心に集まっているかどうか。その視点でヴァンテージを分析すると、V8エンジンはできるだけ後方に搭載し、キャビンに近づけている。重いギヤボックスはドライバーの後方に搭載される。こうして重いモノをクルマの中心に集めることで、優れた慣性モーメントとなるわけだ。

 

富士スピードウェイを走った印象は強烈だった。AMGのV8はさすがにトルキーなので、コーナーでは簡単にパワードリフトとなる。しかし、限界域ではとても扱いやすい。アストンとしては初めてとなる電子制御のLSDを採用したことが利いているようだ。タイトコーナーよりも100RやAコーナーが走りやすかった。富士スピードウェイ名物のロングストレートのエンドでは280km/h近くに達するのでライバルと比べても十分に速い。

 

新型ヴァンテージは先代と較べてホイールベースが100mmも伸びている。先代のV12は、これ以上ないほどヤンチャな操縦性で、紳士のスポーツカーとは思えないほどの荒々しいハンドリングに、魅了される人もいれば、ドライビングに自信を失う人もいるほど。すぐスピンするので油断大敵だった。しかし新型はV12よりもパワフルなV8でハンドリングも素直になった。新旧ヴァンテージのハンドリングの違いはちょうどフェラーリのF355と360の違いと似ていると思った。短い時間だったが、サーキットでもオンロードでも、どんなシーンでもドライバーを魅了する。孤高にして官能的。そんな印象だった。

 

アストンは英国の文化財であり、サーキットでもスリリングで楽しいハンドリングが楽しめるので、ポルシェやフェラーリを卒業したい人には最後に乗るべきスーパースポーツかもしれない。

 

アストンマーティン ヴァンテージの走行シーン

巨大で重いV12エンジンではなく、高効率なV8ツインターボをフロントベイ後方に搭載。マスの集中によって運動性能は向上している。

 

高平高輝「野生的パワーを御する覚悟が必要」

 

猛禽類を思わせる見た目通り、いま最も剽悍にして獰猛なFRスポーツカー。いかにも後輪駆動車らしいリニアでインフォメーションを失わないターンインもさることながら、ガツガツ、ガリガリと路面を齧り取るように後輪が執拗にアスファルトに食いつき、前へ押し出すコーナー脱出時の逞しいトラクションが直接お尻に伝わってくるのが嬉しい。

 

メルセデスAMG由来の4.0リッターV8ツインターボは回すほどに痛快というタイプではないが、トランスアクスル式8速ATを介して510psと685Nmを後輪に伝えるレスポンスは素晴らしく、リヤタイヤがダイレクトに右足とつながっていると感じるほど微妙なコントロールを受け付ける。電子制御LSD(Eデフ)が絶妙に働くおかげで、少なくともドライ路面では自信を持ってパワーを解き放てる。ただし路面が荒れた山道などでは跳ねて接地性が失われるほどの悍馬ゆえ、その野性的なパワーを御する覚悟を持つスポーツドライバーにお薦めしたい。

 

アストンマーティン ヴァンテージのエンジン

4.0リッターV8ツインターボは、最高出力510ps/最大トルク685Nmを発揮。富士スピードウェイの直線では280km/hに迫る最高速度を記録した。

 

吉田拓生「歴史に名を刻む1台になる」

1990年代にイアン・カラムが手掛けたDB7が、以降20年ほどのアストンマーティンのデザインの方向性を決めてきたが、ヴァンテージはその殻を破ったという点において歴史に刻まれるべき1台である。全体的にヌメッとした新型ヴァンテージのスタイリングは、クルマに興味のない人まで惹きつけてしまうほどの強いインパクトは持ち合わせてはいないが、しかしグレーフランネルのスーツのような質感の高さはちゃんと備えている。

 

走りの面にも革新は現れており、以前はフロントエンジン+ハイパワーによって不足するリヤのトラクションを優秀なLSDによってガツンッ! と補っていたが、ヴァンテージはシャシー自体の性能によってモダンなドライバビリティを身につけている。一時期、物理的にジャガーと近くなった時期もあったが、現在のアストンは再び孤高のポジショニングを取り戻しつつある。ヴァンテージは襟元を正して乗り込む大人のスポーツカーだ。

 

アストンマーティン ヴァンテージのインテリア

並み居るスーパースポーツの中にあって、伝統的な佇まいを見せるヴァンテージのインテリアは一見に値する。

 

島下泰久「強烈な個性が宿る走りが魅力的」

 

発表直後の国際試乗会での印象と較べて、サスペンションがあまりに柔らかく動くのでびっくりしてしまった。エキシージからの乗り換えだったせいもあるが、それにしてもである。もっとも、おかげで上屋の動きこそ落ち着きを欠くもののタイヤは路面から容易には離れることがなく、スタビリティは滅法高い。しかも、おそらくはE-デフの効果で、とんでもなく良く曲がるのだ。ステアリングを一度切り込めば、あとはアクセル操作だけでリヤが回り込んでくる。100Rなんてほとんど全開で行けそうな異次元のコーナリング感覚には本当に驚かされた。

 

AMG製の4.0リッターV型8気筒ツインターボエンジンは、排気音がAMG車ほど炸裂系ではなく、またレスポンスにも良い意味での丸みが感じられて、ちゃんとイギリス車に相応しいエンジンになっていると感じた。単に高性能というだけでなく、強烈な個性の宿る走りは興味深い。もっと深くその世界を知りたくなった。

 

 

PHOTO/市 健治(Kenji ICHI)、田村 弥(Wataru TAMURA)

 

 

【SPECIFICATIONS】

アストンマーティン ヴァンテージ

ボディサイズ:全長4465 全幅1942 全高1273mm
ホイールベース:2704mm
車両重量:1530kg
エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ
ボア×ストローク:83×92mm
総排気量:3982cc
最高出力:375kW(510ps)/6000rpm
最大トルク:685Nm(69.9kgm)/2000-5000rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前255/40ZR20 後295/35ZR20
最高速度:314km/h
0-100km/h加速:3.6秒

環境性能(EU複合モード)

CO2排出量:245g/km
燃料消費率:10.5/100km
車両本体価格:1980万円

 

ベントレー コンチネンタルGTの走行シーン

車名に“GT”を冠するだけに、長距離をハイアベレージでこなすコンチネンタルGT。その一方で「オーバーやアンダーに陥ることもなく、まるでライトウエイトスポーツカーのような反応を示す」と評された。

 

BENTLEY Continental GT

ベントレー コンチネンタルGT

 

大谷達也「あくまでもジェントルだがスイートスポットの広さは驚くほど」

 

箱根のワインディングロードを最新のベントレー コンチネンタルGTで存分に走り回った。それは文字どおり贅沢なひとときだった。

 

最初は全幅が2mに迫る巨体を気遣って、抑え気味のペースで走行していた。いうまでもなく箱根にはタイトで幅の狭い道が少なくない。だから、せいぜい6割程度のスピードに収めていたのだが、それでもまったくストレスを覚えない。いや、ゆっくりと流す走りがむしろ心地いいといったほうがいいだろう。それは、ドライビングに没頭していない分、しつらえのいいインテリアを愛でたり、窓の外を流れる景色を静謐なキャビンから眺める心の余裕が生まれるためだが、それと同時に、ゆっくり走らせても乗り手に心地いい時間をもたらす懐の深さをコンチネンタルGTが備えているからでもある。

 

ゆったりしたストローク感のあるサスペンションが路面からの入力を鷹揚に受け流し、排気量6.0リッターW12エンジンはボトムエンドから溢れるようなトルクを生み出す。ステアリングからのインフォメーションは限定的だが、それがまたドライバーをリラックスさせる作用を生む。間違っても、クルマのほうから「さあ、踏め! もっとスピードを出せ!」と誘惑するタイプではない。

 

ひとしきり走ったところで、もう少しペースを上げてみる。限界の8割ほどだろうか。するとコンチネンタルGTはそれまで想像できなかったほどの俊敏さを発揮し、タイトコーナーでも狙ったラインをピタリとトレースするレスポンスの良さを示し始めた。心なしかステアリングインフォメーションも豊富になったようだ。おかげで、それまでは巨大に思えていたボディがふたまわりほどもコンパクトになったかのように感じられたのである。

 

これに気をよくして高速コーナーが続くワインディングロードで限界まで攻め立ててみたのだが、これが圧巻だった。アクティブアンチロールバーの効果なのか、ハードコーナリングでもロール量はしっかりと規制されており、4輪が均等に接地していることが実感できる。しかも、限界を迎えても4輪が適度な接地感を保ってバランスよく流れるため、オーバーやアンダーに陥ることもなく、まるでライトウエイトスポーツカーのような反応を示すのだ。

 

その秘密は新型コンチネンタルGTに搭載された様々な可変制御技術にあるに違いない。エアサスペンションはスプリングレートの制御幅が広い3チャンバー式に進化し、前述したアクティブアンチロールバーと組み合わされる。そして4輪駆動システムには油圧多板式クラッチを用いた電子制御式を採用、従来は前後40対60で固定式だった前後のトルク配分を38対62から0対100の範囲で可変できるようになった。先代のトルコン式ATからDCTに改められたギヤボックスも、よりスポーティな走りを実現するのに貢献しているはずだ。

 

こうしたテクノロジーを採用することで、新型コンチネンタルGTはどんな速度域でもファン・トゥ・ドライブが堪能できる、恐ろしくスイートスポットの広いグランツーリズモに仕上がったのである。

 

ベントレー コンチネンタルGTの走行シーン

fあらゆるシチュエーションをこなすベントレー コンチネンタルGT。そのエレガントなスタイリングもGOTYの審査員から高い評価を得た。

 

藤原よしお「軽やかだが重厚感も失われていない」

 

コンセプトカーEXP10 スピード6を踏襲したロングノーズ&ショートデッキの伸びやかなスタイル。ラウンドしたデザインのインテリア。ちょっとボンドカーチックなローテーションディスプレイ。それだけでも十分魅力的なのだが、さらに虜にさせられたのがその乗り味だ。FR的な味付けを濃くしたシャシーはコートを1枚脱ぎ捨てたかのように軽やか。それでいて、さらに洗練された6.0リッターW12 TSIエンジンを含め、ベントレーらしい重厚感やしなやかさがまったく失われていない仕上がりは、見事としか言いようがない。

 

もろもろ条件が許すなら、ボディカラーはアルパイングリーンにして、ホイールは22インチのブラック&ポリッシュドをセレクト。インテリアはキャラメル色と濃いグリーンのレザーのコンビで、ウッドは濃い目。サイドに渋いゴールドでピンストライプを入れてもいい。それを創業100周年の記念すべき年にオーダーできたら・・・素敵な話になるのだが。

 

ベントレー コンチネンタルGTのエンジン

6.0リッターW12ツインターボは、最高出力635psを発生。900Nmもの最大トルクは1350rpmの低回転域から発揮される。

 

佐藤久実「余裕のある大人のために」

 

美しいプロポーションは、優雅さやマッシブな力強さなどさまざまな表情を見せる。キラキラと煌くLEDのヘッドランプも素敵だ。さらに、室内に乗り込むと、フロントからサイドまで連続的なウッドパネルに囲まれ、センターコンソールの装備やスイッチなどインテリアもキラッキラ。ホンモノの上質さに触れ、それだけでも別世界にワープした気分だ。

 

900Nmという、とてつもないトルクを備えるが、それを受け止めるボディコントロールがお見事。たとえば、少々ラフなアクセル操作で発進しても、コンチネンタルGTは“急”な動きとは無縁だ。そして、穏やかで優雅なのに、鈍重ではない。最新テクノロジーにより、多くの電子制御を備えることは容易に理解できるが、これまた見事な黒子ぶり。気持ちの良いドライビングを邪魔せず、操られている感覚もない。ドライバーはもちろん、乗員の移動の快適性だけでなく、気持ちも豊かにしてくれる。そんな贅沢なクルマだ。

 

 

PHOTO/市 健治(Kenji ICHI)、三橋仁明(Noriaki MITSUHASHI)N-RAK PHOTO AGENCY

 

 

【SPECIFICATIONS】

ベントレー コンチネンタルGT

ボディサイズ:全長4850 全幅1954 全高1405mm
ホイールベース:2851mm
車両重量(EU):2244kg
エンジン:W型12気筒DOHCツインターボ
圧縮比:10.5:1
総排気量:5950cc
最高出力:467kW(635ps)/6000rpm
最大トルク:900Nm(91.8kgm)/1350-4500rpm
トランスミッション:8速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前265/40ZR21 後305/35ZR21
最高速度:333km/h
0-100km/h加速:3.7秒

環境性能(EU複合モード)

燃料消費率:12.1L/100km
CO2排出量:278g/km
車両本体価格:2568万円

 

 

※GENROQ 2019年 3月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

 

 

【関連リンク】

・GENROQ  2019年 3月号 電子版

※雑誌版は販売終了

 

 

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