創立25周年を迎えたポルシェのレース実働部隊、マンタイ・レーシングが辿った栄光の軌跡

公開日 : 2021/04/07 11:55 最終更新日 : 2021/04/07 11:55


創立25周年を迎えたポルシェのレース実働部隊、マンタイ・レーシング栄光の歴史

Porsche 911 GT3 R

ポルシェ 911 GT3 R

 

 

WECやニュルブルクリンク24時間レースに参戦

 

ポルシェでレースを戦う、マンタイ・レーシング(Manthey-Racing)が創立25周年を迎えた。ニュルブルクリンク・ノルトシュライフェ近郊のモイシュパトに本社を構えるマンタイ・レーシングは、レーシングドライバーのオラフ・マンタイによって1996年に設立。以来、ポルシェと緊密な関係を築き、様々な栄光を手にしてきた。

 

2013年、オラフ・マンタイは自身の会社を、ニコラスとマーティンのレーダー兄弟が展開する「レーダー・オートモーティブ(Raeder Automotive)」と合併。さらに同年ポルシェAGがマンタイ・レーシングの株式の51%を取得し、関係を強化する。以来、ポルシェとマンタイ・レーシングは様々なプロジェクトを共同で行ってきた。

 

現在、共同経営者を務めるニコラス・レーダーとマーティン・レーダーのもと、マンタイ・レーシングは約200名の従業員を擁するビッグチームへと成長した。FIA世界耐久選手権(WEC)では、ポルシェのファクトリーチームとして「ポルシェ911 RSR」で参戦し、ニュルブルクリンク耐久シリーズ(NLS)やニュルブルクリンク24時間レースには911 GT3 R “ゲレーロ “を投入している。

 

創立25周年を迎えたポルシェのレース実働部隊、マンタイ・レーシング栄光の歴史

オラフ・マンタイが1996年に設立したマンタイ・レーシング、2013年にニコラスとマーティンのレーダー兄弟が展開する「レーダー・オートモーティブ」と合併。同年、ポルシェが株式の51%を取得し、協力関係を強化している。

 

ポルシェのオフィシャルチームとしての活躍

 

ポルシェ・モータースポーツの副社長、フリッツ・エンジンガーは、マンタイ・レーシング25周年に祝福のコメントを送った。

 

「マンタイ・レーシングは、1996年の設立以来、ポルシェにとって重要なパートナーです。私たちは共にモータースポーツで様々な成果を上げ、多くの勝利やタイトルを獲得してきました。 モイシュパトを拠点とするクルーの熱意とプロフェッショナリズムがその基盤となっています。ポルシェとマンタイ・レーシングは2013年から密接な関係にあり、その協力関係はレース以外にも多くの分野に広がっています。あらためて、マンタイ・レーシングの活動に感謝の意を表すとともに、25周年を祝福したいと思います」

 

自身のチームが25周年を迎えたことを受けて、オラフ・マンタイはその感慨を次のように語っている。

 

「1996年にマンタイ・レーシングを立ち上げたときは、このような形で成長するとは想像できませんでした。モータースポーツでは何よりも重要とされる献身的な働きにより、ポルシェから私たちの能力を認めてもらうことができました。現在ではポルシェがマンタイ・レーシングの株式の過半数を所有しています。これは私の誇りでもあります」

 

「2013年にニコラスとマーティン・レーダーに事業を委ねたのは大正解でした。私が意図したように、彼らはこれからもプロフェッショナルでありながら地に足のついた、心と魂のこもった経営を続けてくれるでしょう。私は今後もマンタイ・レーシングの発展を、傍らからサポートできることを楽しみにしています」

 

創立25周年を迎えたポルシェのレース実働部隊、マンタイ・レーシング栄光の歴史

DTMや耐久レースで活躍したオラフ・マンタイは、1990年に初めてポルシェでレースに参戦。1996年には自身のチーム、マンタイ・レーシングを設立する。

 

DTMからポルシェでのレース活動へ

 

オラフ・マンタイがチームを設立する以前から、特徴的な口髭を湛えた彼の名はレース界で非常に高い評価を得ていた。彼の恐れを知らぬ大胆なドリフトを駆使したレーススタイルは、ファンからも人気を集めることになる。

 

1990年、35歳になったオラフ・マンタイは、初めてレース仕様を施したポルシェ911のステアリングを握った。その瞬間、フラット6を搭載したリヤ駆動のスポーツカーへの愛情が花開いた。同年、 彼はポルシェ・カレラカップで初の王者を獲得。ドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)ではシリーズ2位を2度獲得しているものの、これが現役時代に手にした唯一のタイトルとなった。

 

1996年、オラフ・マンタイは長年の夢を叶え、新たに自身のレーシングチームを設立。ポルシェ・スーパーカップへと挑んだ。当時、F1のサポートレースとして開催されたこのシリーズで、マンタイ・レーシングは初年度にチームランキング4位を獲得。1997年にはパトリック・ヒュイスマンを擁して4連勝し、ドライバーズランキングとチームズランキングの二冠を達成した。これこそが、後に続くマンタイ・レーシングのサクセスストーリーの始まりとなった。

 

創立25周年を迎えたポルシェのレース実働部隊、マンタイ・レーシング栄光の歴史

1999年にニュルブルクリンク近郊にファクトリーを移転したマンタイ・レーシング。2006年には、ついにニュルブルクリンク24時間レースで勝利を飾った。

 

2006年にニュル24時間レースを初制覇

 

1999年、マンタイ・レーシングは、タイプ996ベースのポルシェ911 GT3-Rをル・マン24時間レースに投入し、GTクラスで優勝を果たす。その1年後、ドイツ西部のラインブライトバッハからニュルブルクリンク近郊のモイシュパトに拠点を移転。その後、スポーツカーメーカーとレーシングチームの関係は、さらに緊密さを増していく。

 

2006年、ポルシェ・モータースポーツは、UPSポルシェ・ジュニアチームの運営をマンタイ・レーシングに委託。同年、マンタイ・レーシングはポルシェ・モータースポーツと共同で、新型911 GT3 RSRをシェイクダウンさせた。そして、スパ24時間レースではスタートダッシュに成功し、デビュー戦でクラス優勝を果たしている。

 

一方、ホームグラウンドであるニュルブルクリンク24時間レースではなかなか勝利に手が届かず、3度も惜しいところで優勝を逃していた。そして2006年にお馴染みとなったイエローとグリーンにペイントされた911 GT3-MRで、悲願のニュルブルクリンク24時間を初制覇。その後09年まで、破竹の4連覇を飾った。

 

2010年、彼らは新たなセンセーションをレース界に巻き起こすことになる。マンタイ・レーシングとポルシェ・モータースポーツが共同開発した911 GT3 R ハイブリッドは、この年のニュルブルクリンク24時間のレース大半をリードするも、フィニッシュ直前にバルブスプリングの破損でリタイア。それでも2011年のレースでは前年の雪辱を果たしている。

 

創立25周年を迎えたポルシェのレース実働部隊、マンタイ・レーシング栄光の歴史

ポルシェのファクトリーチームとして参戦するWECでは、3度のクラス優勝を達成。さらにポルシェとの協力関係は、ポルシェ・レーシング・エクスペリエンスの運営など多岐にわたっている。写真は、現在チームを率いるニコラ(左)とマーティン(右)のレーダー兄弟。

 

様々な分野で広がるポルシェとの協力関係

 

マンタイ・レーシングは、2013年からFIA世界耐久選手権(WEC)にポルシェのファクトリーチームとして参戦し、911 RSRのデビューイヤーにクラス優勝。2015年シーズンにはWECのGTE-Proクラスで初の世界選手権タイトルを手にした。また、2018-2019年シーズンのル・マン24時間レースは3度目のクラス優勝を果たしている。

 

現在、マンタイ・レーシングは、様々な分野で事業を展開する企業に成長した。ポルシェ公式チームとして参戦するWECや、ニュルブルクリンク24時間のプログラム、ポルシェ・レーシング・エクスペリエンスの運営、モイシュパトのポルシェ・サービスセンター、さらにはカスタマーチームへのワールドワイドなサポートまで、そのプログラムは多岐にわたっている。

 

創立25周年を迎えたポルシェのレース実働部隊、マンタイ・レーシング栄光の歴史

現在、マンタイ・レーシングは、モータースポーツ活動だけでなく「MR」の名前を冠した市販仕様の開発も行っている。

 

Porsche 911 GT2 RS MR

ポルシェ 911 GT2 RS MR

 

次の25年を見据えて発展する様々な事業

 

マンタイ・レーシングは、自身のチーム名を冠した「MR」パッケージの開発も行っている。911 GT2 RS MRは、マンタイ・レーシングが独自のパフォーマンスキットを開発し、公道走行可能なスポーツカーとしてリリースしたモデルだ。

 

2018年10月、テストドライバーのラース・カーンがステアリングを握った911 GT2 RS MRは、ニュルブルクリンク・ノルトシュライフェを当時の最速記録である6分40秒33でラップするなど結果を残しており、マンタイ・レーシングは現在、ポルシェのGTモデルの多くに「MRパッケージ」を展開している。

 

マンタイ・レーシングのマネージングディレクターを務めるニコラス・リーダーは、現在の状況をふまえて将来に向けた展望を語ってくれた。

 

「マンタイ・レーシングとレーダー・オートモーティブの合併後も、私たちはオラフ・マンタイの哲学を継承してきました。それは、私たちの考え方とも一致していたからです。ポルシェのパートナーであり、彼らが筆頭株主であることで、私たちのチームは驚くべきペースで発展することができました」

 

「今後も成長を続け、モータースポーツで培ったノウハウを活かしていきたいと考えています。そのためにも、プライベーターへのサービス提供、イベントの運営、レーシングカーやロードゴーイングカーの開発など、様々な活動を行っています。献身的な社員とともに、次の25年に向けてマンタイ・レーシングの魅力的なストーリーを続けていくことになるでしょう」