ひと味違うプラグインハイブリッド「ジープ レネゲード 4xe」を雪上試乗。電動ジープの潜在能力を北の大地で詳らかにする

公開日 : 2021/04/08 17:55 最終更新日 : 2021/04/08 17:55

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ジープ レネゲード トレイルホーク 4xeの走行シーン

Jeep Renegade 4xe

ジープ レネゲード 4xe

 

 

コンパクトSUVとPHEVの妙なるマリアージュ

 

JEEPブランド史上初となるプラグインハイブリッド「レネゲード 4xe」を、北海道はトマムの大地で試乗。新しいJEEPの在り方を楽しんだ。

 

これほどクロスカントリー系SUV(レネゲードの場合はクロスオーバーと言った方が正しいのかもしれないが)とモーターの組み合わせが、その乗り味に面白さを与えるとは思わなかった。その複雑な制御機構など理解せずとも、ただそのアクセルを踏み込むだけで、4xe(フォー・バイ・イー)の楽しさを誰もが理解ができるだろう。オフローダーに電気の組み合わせ、とても新しい。

 

とはいえ仕事を放棄するわけにもいかないから、まずは4xeのシステムについて、ざっとお話しすることとしよう。

 

ジープ レネゲード トレイルホーク 4xeのメーター

内燃機オンリーのレネゲードとは決定的に異なる4xeのコクピットビュー。2眼メーターの左は回転計でその横にガソリンメーターが、右はパワーメーターと電力量が表示される。

 

本格オフロード用にセッティングされたハイブリッド4WDシステム

 

その名が示す通り4xeの駆動方式は、電動モーターを介した4WDである。特徴的なのは前後を結ぶプロペラシャフトがないことで、前輪は従来のレネゲードと同じく、1.3リッター(正確には1331cc)のマルチエア直列4気筒ターボ(リミテッド 4xe:131ps/270Nm)が担当。そして後輪は、定格出力60ps/最高出力128ps、最大トルク270Nmを発揮するモーターが独立してこれを駆動する。

 

この後輪をモーターのみで駆動する方法は、積雪時の登坂道脱出用など国産小型FF車のアシスト4WDとして見られる手法だが、ジープの場合は当然これを本格オフロード用4WDとして捉えている。

 

ちなみにフロントには定格出力20ps、最高出力45ps、最大トルク53Nmを発揮するモーターが、スターター及びバッテリー充電用発電機として機能する。その電力を供給するバッテリーは、11.4kW/33Ahの総電力量及び容量を持つリチウムイオンタイプ。ピュアEVとしての航続可能距離は48kmで、EV状態での最高速度は130km/h。その際駆動方式は後輪駆動となる。

 

ジープ レネゲード トレイルホーク 4xeの走行シーン

試乗ではリミテッド 4xeとトレイルホーク 4xeを乗り比べることができた。トレイルホークはエンジン出力が上乗せされ、最高出力は179psを計上する。

 

雪上走行では後輪駆動感が強い

 

さあ、いよいよ発進だ。アクセルを軽く踏み込むとレネゲード 4xe(リミテッド)は、ジープのイメージに似つかわしくないレスポンスで、かつ静かに“すぅっ”と雪道を走り出した。そしてアクセルを踏み続ければ、ヒューッとなる。さらに待ち続けても、ヒュー。そしてアクセル開度を高めてようやく、エンジンの存在が露わになる。

 

それはいわゆる最新プラグインハイブリッドの所作ではあるのだが、ガジェット感溢れるレネゲードの室内に居ながらこれをやられると、なんだかとっても新しい。目の前には雪深い山道が広がっているから、なおさらそのギャップが激しい。

 

電動パワステの、すっきりしっとりとしたステアフィール。滑りやすいはずの雪道で、細かく着実にトラクションを掛けていけるリニアなアクセルレスポンス。ペダルからは前輪を駆動するエンジンのNVHがうっすら伝わってくるものの、後輪からの蹴り出しが強い乗り味はハイブリッドを通り超してEV的ですらある。

 

そう、雪道で走らせるレネゲード 4xeはEV感が強い。即ち後輪駆動感が強いのだ。

 

ジープ レネゲード トレイルホーク 4xeの走行シーン

電気モーターを前後に搭載し、フロントモーターは最高出力45ps、リヤモーターは128psを発生。雪上走行では特にリヤモーターの存在感が強く、250Nmに及ぶ最大トルクが車体を前へと押し進める。

 

コーナーではリヤモーターのトルクが車体を押し進める

 

ものは試しと、直線路でアクセルをグッと踏み込んでみる。するとやはり、モーターのトルクが強く立ち上がって、真っ先に後輪をむずむずさせる。もちろんこのとき前輪も車体を引っ張ってくれるのだが、どうやらモーターの方がいち早く反応するようである。

 

そしてこれがコーナーになると、グーッと後ろから車体を押し出して行く。バッテリーを車体中央に積む重心は車高の割に低く、これにより車体もシッカリしている。よってよほど乱暴な操作をしない限りスナップすることはないのだが、確実に後輪コンシャスな4WD制御である。

 

ある意味これは楽しい乗り味だ。しかし雪道で一般的だと言えるのだろうか?

 

ジープ レネゲード トレイルホーク 4xeのドライブモードスイッチ

ジープを名乗るだけにオフロード走行を前提としたトラクションコントロール「セレクテレインシステム」はもちろん完備。オート、スポーツ、スノー、サンド&マッド、ロックの5モードから選択可能だ。

 

ドライブモードはシチュエーションに合わせるのが肝心

 

その大胆さにはちょっと呆気に取られた感もあったのだが、それはモードを「AUTO」から「SNOW」に切り替えることですんなり解決した。パワーのアウトプットが穏やかになり、至って普通に走らせられるようになったのだ。

 

とはいえ「AUTO」モードには最適制御のイメージがあるから、4xeで雪道を走るなら、こうした特性とモード切り替えの必要性は頭に入れておくべきだろう。ちなみに「SAND/MAD」モードに入れるとスタック脱出モードとして多少の空転が許容され、さらに積極的に雪道を走らせることができる。また4輪制御には「4WD LOW」モードもあったが、今回はアトラクションステージが吹雪のために中止となり、その実力を試すことはできなかった。

 

わからないついでで言うと、「トレイルホーク」と「リミテッド」の違いもわからなかった。トレイルホークはそのエンジン出力が179ps/5750rpmと、リミテッドに比べ49psも高いのだが、車重も70kgほど重いのだ。また雪道だとそもそも、高回転までエンジンを回さない。エンジンの最大トルクは両者共に270Nmと同じであり、さらにモーターシステムも同じだから、常用域のドライバビリティにおいても差を感じないのである。

 

ジープ レネゲード トレイルホーク 4xeのインテリア

レネゲード トレイルホーク 4xeのインテリア。専用のカラーベゼルが特別感を演出し、サイドサポートが張り出したシートは悪路走行時にドライバーを確実にサポート。“TRAILHAWK”の刺繍も施されている。

 

エンジン出力の異なる2グレードをラインナップ

 

違うといえばトレイルホークの方が全高が30mmほど高く設定されている(最低地上高は40mmアップ)。また4輪駆動の制御に「4WD ROCK」モードが加わり、タイヤサイズが215/60R17から235/55R17へと、若干サイズアップされる。その名の通りオフロード性能を高めるためのポテンシャルアップだ。実際価格差もほとんどないから、用途に応じて選べばよいだろう。

 

もっとも違いを感じたのは、従来モデルとの比較だった。ガソリンエンジンが全域で野趣に溢れるのは当たり前として、そのハンドリングキャラクターもまったく正反対。前輪駆動をベースに後輪へトルクスプリットするその4WDは、極めて安定した弱アンダーステアとなっている。

 

よって雪上路面で、オーソドックスなハンドリングを求めるならガソリンモデルの方がいい。ただ筆者には、4xeの新しいテイストが魅力的に感じられた。バッテリーとモーターを搭載したことでリミテッド比だと350kg(!)も重たくなっている時点で、それはもはや別のクルマとも言えるが、その重量差すら感じさせないモーターの瞬発力と後輪駆動制御には、ジープブランドの明るい未来を感じた。

 

高いオフロード性能を備えているとはいえ、やや凡庸なハンドリングキャラクターだったレネゲードが、パワートレインを刷新しただけで一気に若返った。4xeを運転していると、まるでマルチバンド6とタフソーラーを搭載した、チタン外装やカーボン外装の高級Gショックを腕に巻くような昂揚感がある。

 

ジープ レネゲード トレイルホーク 4xeのセンターディスプレイ

8.4インチのタッチパネルモニターをセンターコンソールに装備。充電状態や走行履歴、充電予定などのインフォテイメントを表示し、Apple CarPlayにも対応している。

 

モーター主導のドライブフィールは秀逸

 

ちなみに4xeはバッテリーが底を尽くと(実際は走行用電力が底を尽くと)、エンジンが発電機となりフロントモーターが電力を後輪へと供給する。これはいかなる状況でも4輪の駆動を保ち続けるという、ジープとしての意思表示のようだ。そしてエンジンが唸る分だけEV感は損なわれてしまうものの、このモーター主導のドライブフィールが保たれ続けることにはとても好感が持てた。

 

ただ電力消費を抑える「E-SAVE」モードはあるものの、積極的に電池を貯めるチャージモードがないのは残念だ。ついでに言うと電化ユニットを搭載した分、ガソリンタンクも容量は46リットルから36リットルへと減らされている。

 

また純粋なEV航続距離は48kmと、P-HEV目線では平凡であり、急速充電にも対応していない(200V電源で4時間)。ハイブリッドモードで走らせていても、寒さもあってか割と早くバッテリーが底を尽く。ガソリンモデルに対して130万円高い価格も(リミテッド比)、「レネゲード」の車格として考えるとちょっと高過ぎる気がする。

 

ジープのラインナップ

今回の雪上試乗は「星野リゾート リゾナーレトマム」にFCAジャパンが販売する各ブランドのモデルを持ち込んで行われた。貫禄の走行性能を見せたラングラーにも4xeの追加が発表されており、写真のラインナップも近い将来には電動モデルがメインとして置き換わっていくだろう。

 

電動化したジープはライフスタイルを一変させる

 

日本はトヨタが作り上げた歴史によってハイブリッドを見る目が厳しい。だからストレートに言ってしまえばレネゲード4xeは、アーリーアダプターが「これいいじゃん!」と買うコンパクトSUVだと言える。そもそも充電設備を必要とすることや、車高の高さから考えても、集合住宅住まいの庶民派にはハードルが高い。

 

しかしだからこそ、新しいものへの感度が高く、面白いクルマに乗りたい! と常日頃から思ってるアナタには、一度このテイストを試して欲しい。きっと電動化ジープの新しさにピカッ! とくる人がいるはずだ。

 

バッテリーの小型化・高性能化が進み、マンションに充電施設が完全配備される頃になれば、私のような庶民でもこの楽しさが当たり前になるのだろう。

 

そしてその前にいち早くつまみ食いできるからこそ、その味は甘美なのである。

 

 

REPORT/山田弘樹(Kouki YAMADA)

PHOTO/FCAジャパン

 

 

【SPECIFICATIONS】

ジープ レネゲード トレイルホーク 4xe

ボディサイズ:全長4255 全幅1805 全高1725mm
ホイールベース:2570mm
トレッド:前後1540mm
車両重量:1860kg

エンジン:直列4気筒ターボ
ボア×ストローク:70.5×86.5mm
総排気量:1331cc
エンジン最高出力:132kW(179ps)/5500rpm
エンジン最大トルク:270Nm/1850rpm

モーター型式:交流同期電動機
モーター最高出力(前):33.0kW(45ps)

モーター最高出力(後):94.0kW(128ps)

モーター最大トルク(前):53Nm/8000rpm

モーター最大トルク(後):250Nm/2000rpm

バッテリー:リチウムイオン
総電力量:11.4kWh

トランスミッション:6速AT
駆動方式:4WD
サスペンション形式:前後マクファーソン

ブレーキ:前ベンチレーテッドディスク 後ソリッドディスク

タイヤ:前後235/55R17

CO2排出量(WLTCモード):148g/km
ハイブリッド燃料消費率(WLTCモード):16.0L/km
EV走行換算距離(WLTCモード):48.0km

車両本体価格(税込):503万円

 

 

【問い合わせ】

ジープフリーコール

TEL 0120-712-812

 

 

【関連リンク】

・ジープ 公式サイト

https://www.jeep-japan.com/