スポーツSUV最強の座は? ポルシェ マカンを追うジャガー Fペイスとレクサス RX450hの包囲網【Playback GENROQ 2018】

公開日 : 2021/04/14 17:55 最終更新日 : 2021/04/14 17:55

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ポルシェ マカン GTSとポルシェ マカン、ジャガー Fペイス S、レクサス RX450h Fスポーツのスタイリング

Porsche Macan GTS × Macan × JAGUAR F-PACE S × LEXUS RX450h F SPORT

ポルシェ マカン GTS × マカン × ジャガー Fペイス S × レクサス RX450h Fスポーツ

 

 

スポーツSUVの条件“打倒ポルシェは叶うのか?”

 

年々増え続けるスポーツSUVの中でもミディアムクラスの戦いは激しい。特にポルシェ・マカンを相手にする競合車は、性能から価格帯まで揃えている。しかし、それらが本当の意味でライバルとして評価した場合、どうなのか? 今注目度の高いスポーツSUVの検証企画として真実をレポートしよう。

 

ポルシェ マカン GTSの走行シーン

群雄割拠のミディアムSUVクラスの中でも、スポーツ性能を誇示するモデルの注目度は高い。プライベートでポルシェ マカン ターボを愛車とするレーシングドライバー・田中哲也氏が、4台のスポーツSUVを試乗インプレする。

 

「激戦区となっているミディアムクラスのスポーツSUVは“打倒マカン”」

 

今さら言うまでもないが、昨今の“スポーツSUV”というカテゴリーを開拓したのは、紛れもなくポルシェである。2002年にデビューした初代カイエンは、スポーツカーメーカーが造った初のSUVとして話題となり、その完成度の高さから瞬く間に浸透し、人気を博した。その成功を追うように、今では他社でも当たり前のようにラインナップしているどころか、クラス間の隙間を埋めるほどワンブランド内で相当数のスポーツSUVをリリースしている。

 

それだけに、その選択肢に悩んでいる人を多く見受けられる。もっとも、新しいモデルさえ選んでおけば間違いないと思い、最新型ばかりを乗り継いでいるユーザーもいるだろう。しかし、先にも触れたようにポルシェが元祖である。今でもライバル勢はポルシェを研究し、ベンチマークとしている絶対的存在だ。

 

だからこそ今あらためて再考する必要がある。特に激戦区となっているミディアムクラスのスポーツSUVは、“打倒マカン”であることは確か。その答えを見つけるべく、今回はスポーツを全面に押し出す、マカン GTSにジャガー Fペイス Sを、そして最もベーシックなマカンに対して、大人気のレクサス RX450hのFスポーツを引き合いに出して検証した。テスターには、自身でもマカン ターボを所有する本誌ではお馴染みのレーシングドライバー、田中哲也にコメントを求めることにした。

 

ポルシェ マカン GTSの走行シーン

マカンシリーズきっての武闘派、マカン GTS。今回集まった4モデルの中で全高1609mmはもっとも低く、スポーツ性能への注力が強く漂う。0-100km/h加速5.2秒のパフォーマンスがそれを裏付ける。

 

「マカン GTSは出来が違う。まるで背の高い911カレラ4 GTSのよう」

 

「SUVとは思えませんね・・・」

 

マカン GTSから降りてきて開口一番こう言い放った。

 

「GTSは出来が違います。普段、マカン ターボに乗っていますが、スポーツSUVという点においては、間違いなくGTSのほうが上。サスペンションの設定やブレーキ性能、エンジンのパワーもすべてにおいてスポーツそのもの。正直、SUVに乗っている気がしない。本当に背の高い911カレラ4 GTSのように感じますね」

 

ポルシェ マカン GTSのエンジン

マカン GTSが搭載する3.0リッターV6ツインターボは、最高出力360ps/最大トルク500Nmを発生。7速DCTを介して4輪で駆動する。

 

「スポーツプラスモード時は、エンジンのパンチ力がとにかく凄まじい」

 

マカン GTSに搭載されるV6ツインターボエンジンは、360ps&500Nmを発揮し、7速PDKを介して常時4輪で駆動する。これに対しても特徴があると加えた。

 

「スポーツプラスモード時は、エンジンのパンチ力がとにかく凄まじい。しかもPDKの反応も素早いから、ワインディングでも十分な速さを実感します。それに4WDとはいえ、フロントへの駆動はわずか。あくまでも後輪から押し出すようにトラクションをかけてくれるから楽しいと思えるんです。だから911のように感じるんでしょうね。実際、マカンは全モデル、サーキットで試したことがありますが、このGTSは、本当にちょっと背が高いだけで、基本的に911などと変わりないくらいに走りきりますから」

 

ジャガー Fペイス Sの走行シーン

マカンGTSに真っ向から勝負を挑むジャガー Fペイス S。性能的には申し分ないが、機能性こそ高いものの、各種操作性やシートをはじめとする細部の作り込みはポルシェと比較するとやや微妙。それでも魅力的な存在ではあるのは確かだが。

 

「Fペイスで特に印象的なのはハンドリング。ゲインが高くてシャープ」

 

では、最近、注目度の高いジャガー Fペイス Sはどうか? 実はこのモデルこそ、もっともマカン GTSを意識しているスポーツSUVである。V6スーパーチャージャーエンジンは、トルクこそやや劣るものの、パワーは20ps上と、敵対心むき出しであることが数値に表れている。

 

「エンジンは速いです。サイズ的にはちょっと大きく感じられますが、悪くないですね。特に印象的なのはハンドリング。ゲインが高くてシャープです。これはジャガーの考え方でしょうね。だから常にスポーティに感じられます。ただ、これが時に気を使う要因にもなります。シャープすぎるんです。過剰ですね。ワインディングでは油断禁物です」

 

さらにこの2台に対して、こう付け加える。

 

「例えば、911に乗っていた人が家庭の事情で、どうしてもSUVに乗り換えなければならない場合、マカン GTSは最高の選択になるでしょう。これならスポーツカーを諦めずに済みます。普段使いでは、ちょっと足が硬く感じられるかもしれませんが、不快な硬さではないから奥さんに文句を言われることはないと思います。もちろんジャガーも悪くないですが、正直、ポルシェほどの安心感や信頼性はないですね。速くて個性はありますが・・・」

 

ポルシェ マカンの走行シーン

ベーシックグレードとはいえ、デザインはもちろん、細部にまで“ポルシェ クオリティ”で仕上げられているマカン。シート形状も適度なサポート性をもち乗降性にも優れている。7速PDK&パドルシフトも俊敏性があって実にスポーティだ。

 

「4気筒エンジンは軽く全体的に軽快感があるベーシックなマカン」

 

となれば、マカン(ベーシックグレード)の場合も同じようなことを思えるのだろうか?

 

「4気筒エンジンとはいえ、そのぶん軽く仕上げられていますから、軽快感があります。速さにしても十分でしょう。実際、以前サーキットで走らせたことがありますが、トヨタ 86よりちょっと遅いくらいのタイムで周回できますから。それにGTSと比較するのはナンセンスかもしれませんが、素のマカンは快適性が高い。同じマカンでも、ここまで異なるセッティングを施すとは、見事だと改めて思いましたね。かといって、きちんとスポーティな走りにも応えてくれる柔軟性を兼ね備えているから、むしろ感心してしまう部分が多々あります」

 

それに対して引き合いに出した、最近、大人気のレクサス RX450h Fスポーツはどうか? Fスポーツ独自の足まわりを与えているうえ、アクティブスタビライザーやパフォーマンスダンパーなど、スポーツ走行に適した統合制御システムをもつことも特徴としているが・・・。

 

レクサス RX450h Fスポーツの走行シーン

グローバル戦略車として造られているだけに、日本車とは思えないほど拘りが伺えるレクサス RX。とはいえ、デザイン性やクオリティは高いものの、欧州車と比べると全体的にツメの甘さが見え隠れするのも事実。シートも大柄だけにサポート性は今ひとつ。

 

「RX450hはノーマルよりはスポーティだが・・・」

 

「正直に言わせてもらうと、全体的にスポーティを演出しているようですが反応は鈍いです。攻め込んだ時など最初は不安。だけど最後の方で応えてくれるイメージです。サスペンションのセッティングも、あまりスポーティとは思えません。それにハイブリッド車だから重い。ノーマルから比べればスポーティなのかもしれませんが、色んな面でちょっと疑問が残ります。もちろん、悪くはないんですけど。エンジン音だけは意外と良いのは驚きましたが・・・」

 

さらに、こう続けた。

 

「実は価格設定をみて驚きました。素のマカンは700万円をきっているんです。それに対してレクサス RX450h FスポーツのAWDはそれ以上。マカンはベーシックグレードとはいえ“ポルシェ クオリティ”です。今日、改めて乗って、すごくリーズナブルに感じられましたね」

 

ポルシェ マカン GTSとポルシェ マカンのスタイリング

車重が嵩張るSUVモデルのスポーツ性能はエンジンよりブレーキが重要。マカンのブレーキに関して「例えSUVでも真剣にサーキット走行まで視野に入れて開発しているのは、ポルシェだけだと思います。実際に攻めれば攻めるほど実感しますね」と筆者は評価する。

 

「数ある最新スポーツSUVの中でも、ポルシェだけは別格、レベルが違う」

 

最後にスポーツSUVにとって重要なことは何かと訊いてみると。

 

「パワー&トルクの数値や、足まわりのセッティングも大事ですが、実はスポーツカー同様、ブレーキ性能がものをいうんです。いくら速くてもブレーキに信頼がおけなければ、すべて台無し。その点、ポルシェは揺るぎない。“宇宙一、強力なブレーキ”と言われて久しいですが、未だに他のメーカーはポルシェを超えられないのは事実でしょう。例えSUVでも真剣にサーキット走行まで視野に入れて開発しているのは、ポルシェだけだと思います。実際に攻めれば攻めるほど実感しますね。だから普段使いでも安心して身を任せられるようになるんです」

 

激化するスポーツSUV市場の中でも、常に頂点に君臨し続けられるポルシェには、確固たる理由があることが明白となった。最新モデルが続々とデビューする中においても、マカン及びGTSは、決して色褪せるないどころか、むしろ如何にその完成度が高いのか、あらためて気付かされたのは間違いない。やはり“恐るべし、ポルシェ”である。

 

 

TESTER/田中哲也(Tetsuya TANAKA)
TEXT/野口 優(Masaru NOGUCHI)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)

 

 

【SPECIFICATIONS】

ポルシェ マカンGTS

ボディサイズ:全長4692 全幅1926 全高1609mm
ホイールベース:2807mm
車両重量:1895kg
エンジンタイプ:V型6気筒DOHCツインターボ
総排気量:2997cc
最高出力:265kW(360ps)/6000rpm
最大トルク:500Nm(51.0kgm)/1650-4000rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション:前ダブルウィッシュボーン 後トラペゾイダルリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ 前265/45R20 後295/40R20
最高速度:256km/h
0-100km/h加速:5.2秒
燃料消費率:9.2-8.9L/100km(EU複合)
車両本体価格:981万円

 

ポルシェ マカン

ボディサイズ:全長4697 全幅1923 全高1624mm
ホイールベース:2807mm
車両重量:1770kg
エンジンタイプ:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1984cc
最高出力:185kW(252ps)/5000-6800rpm
最大トルク:370Nm(37.7kgm)/1600-4500rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション:前ダブルウィッシュボーン 後トラペゾイダルリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ 前235/60R18 後255/55R18
最高速度:229km/h
0-100km/h加速:6.7秒
燃料消費率:7.4-7.2L/100km(EU複合)
車両本体価格:699万円

 

ジャガー Fペイス S

ボディサイズ:全長4740 全幅1935 全高1655mm
ホイールベース:2875mm
車両重量:1980kg
エンジンタイプ:V型6気筒DOHCスーパーチャージャー
総排気量:2994cc
最高出力:280kW(380ps)/6500rpm
最大トルク:450Nm(45.9kgm)/3500rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション:前ダブルウィッシュボーン 後インテグラルリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ 前後255/50R20
最高速度:250km/h(リミッター介入)
0-100km/h加速:5.5秒
燃料消費率:10.1km/L(JC08)
車両本体価格:982万円

 

レクサス RX450h Fスポーツ(AWD)

ボディサイズ:全長4890 全幅1895 全高1710mm
ホイールベース:2790mm
車両重量:2130kg
エンジンタイプ:V型6気筒DOHC+ハイブリッド
総排気量:3456cc
最高出力:193kW(262ps)/6000rpm
最大トルク:335Nm(34.2kgm)/4600rpm
トランスミッション:電気式無段階変速
駆動方式:E-Four(電気式4輪駆動)
サスペンション:前マクファーソンストラット 後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ 前後235/55R20
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃料消費率:18.2km/L(JC08)
車両本体価格:743万6000円

 

 

※GENROQ 2018年 4月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

 

 

【関連リンク】

・GENROQ  2018年 4月号 電子版

※雑誌版は販売終了