ポルシェ911 GT3の鍛え方。エンジンテストから風洞実験まで、開発の舞台裏を追う

公開日 : 2021/04/17 17:55 最終更新日 : 2021/04/17 17:55

ポルシェ 911 GT3の風洞実験プロセス

Porsche 911 GT3

ポルシェ911 GT3

 

 

992型ベースの最新GT3、まもなくデリバリー開始

 

ポルシェ ジャパンは992型ベースの「911 GT3」の国内予約受注を2021年4月7日にスタートした。6速MTと7速PDKの2タイプをラインナップし、車両価格はいずれも2296万円。5代目に進化した伝統の自然吸気フラットシックス搭載モデルは、ニュル7分切りの記録を既に打ち立てている。

 

ポルシェ 911 GT3のフロントビュー

992型をベースにした新型ポルシェ911 GT3は2021年2月にワールドプレミア。4月7日より日本での予約受注を開始した。

 

後輪操舵システムを全車に採用

 

新型911 GT3に搭載する自然吸気フラットシックスは、耐久レースで酷使されながら信頼性を鍛え上げてきた911 GT3 Rのユニットがベース。最高出力510ps/8400rpm、最大トルク470Nm/6100rpmは、それぞれ従来比で10ps/10Nm引き上げており、最高回転数はこれまで同様の9000rpmとしている。厳しい排ガス/環境規制に対応させるため、2基のガソリン・パティキュレート・フィルター(GPF)を搭載しているが、それでもなおこれまでを上回る性能数値を達成した。

 

ポルシェは新型911 GT3を「closer to motor sport than ever(これまで以上にモータースポーツに近づけた)」と主張しており、ポルシェ・モータースポーツチームと密に連携しながら多くのレーシング技術を投入している。フロントサスペンションはダブルウィッシュボーン形式とし、5アーム式のリヤアクスルにはロワ側ウィッシュボーンにボールジョイントを追加して、高負荷時における正確性を向上。また、車速に応じて同位相/逆位相へ最大2度操舵する後輪操舵システムを全車に搭載したのもトピックだ。

 

ポルシェ 911 GT3のリヤビュー

ポルシェ911 GT3は、リヤウイングを上から吊り下げるタイプの「スワンネック型」に。羽根の下の気流がステーによって乱されないというメリットがある。

 

トレンドのスワンネック型ウイングを装着

 

空力性能も徹底的に磨き上げた。リヤにはポルシェの量産車としては初となるスワンネックタイプのウイングを採用。GTマシンの911 RSRやGT3 カップカーに見られる形式のリヤウイングで、2ヵ所のアルミニウム製ブラケットを介して羽根を上から吊り下げている。ウイングにとって重要な底面の気流がステーによって乱されることがなくなるため、空力面で有利なレイアウトとして注目されている。

 

リヤウイングの角度は任意で4段階に変えることができ、それに合わせてフロントのディフューザーもやはり4段階に調整可能。デフォルトの状態でも200km/h走行時のダウンフォース量は従来比で50%プラスとなり、さらにサーキット専用のセッティングにすれば150%以上の増加が見込めるという。

 

ポルシェ 911 GT3の風洞実験プロセス

ポルシェ911 GT3の空力開発は、ヴァイザッハが誇る最先端の風洞実験室で行われた。サーキット走行時の挙動をシミュレートし、広範なテストを実施したという。

 

風洞実験はサーキット走行を想定

 

新型911 GT3の空力開発にあたっては、およそ700回のシミュレーションを実施した上、160時間以上を費やして風洞実験を行ったという。空力エンジニアのマティアス・ロールは説明する。

 

「ヴァイザッハにある最先端の風洞実験棟では、直線走行だけでなく、あらゆるシチュエーションを想定して実験を行いました。サーキット上での動きを再現するため、ロールやピッチ、ヨーまで作り出しています」

 

ポルシェ 911 GT3。エンジンのベンチテスト

「GT3」伝統の自然吸気フラットシックスは、高負荷時の使用を想定して、徹底的なベンチテストを実施。2万2000時間以上を費やして心臓を鍛え上げた。

 

試験台上で鍛え抜かれたフラットシックス

 

高回転まで吹け上がる4.0リッター自然吸気フラットシックスは、さらに長い時間をかけてテストベンチ上で鍛え上げられた。GTロードカー用エンジンのプロジェクトマネージャー、トーマス・マダーは次のように語る。

 

「GT3のエンジン開発にあたっては、合計で2万2000時間以上のベンチテストを行いました。サーキット走行で起こりうる動作を繰り返し再現するとともに、全開加速試験にもかなりの時間を割きました」

 

また、サーキットでの強烈なGに備えるべく、セパレートオイルタンクを組み合わせたドライサンプ潤滑システムを採用。「基本的にはGT3カップカーのエンジンと共通です。違うのは、エキゾーストシステムとコントロールユニットくらい。それ以外はまったく同じなんです」とマダーは説明する。さらに彼は「厳しい排ガス基準に適合させるべく、600ものエミッション試験を行いました」と続ける。

 

ポルシェ 911 GT3のニュルタイムアタック

ポルシェ911 GT3は、開発の最終フェーズでニュルブルクリンク北コースでのタイムアタックを実施。全長20.8kmコースで6分59秒927を、伝統的な20.6kmコースでは6分55秒2を記録した。

 

ニュル北コースを先代より17秒速くラップ

 

充分な耐久性を保証するべく、イタリア・ナルドのオーバルコースでとびきり過酷なテストも実施。300km/hで5000km超を走破する間、停止したのは給油のときのみだったという。

 

厳しいテストを経て開発された新型911 GT3は0-100km/h加速3.4秒、最高速度320km/h(PDK=318km/h)を公称値に掲げる。開発の最終フェーズで行ったタイムアタックでは、ニュルブルクリンクのノルトシュライフェ(全長20.8kmコース)で6分59秒927を記録。先代のタイムを17秒以上も上回る数字を叩き出した。

 

新型911 GT3のデリバリー開始は2021年5月を予定している。

 

 

【SPECIFICATIONS】

ポルシェ911 GT3(6速MT)

ボディサイズ:全長4573 全幅1852 全高1279mm

ホイールベース:2457mm

トレッド:前1601 後1553mm

車両重量:1418kg

エンジンタイプ:水平対向6気筒DOHC

総排気量:3996cc

ボア×ストローク:102.0×81.5mm

最高出力:375kW(510ps)/8400rpm

最大トルク:470Nm/6100rpm

トランスミッション:6速MT

駆動方式:RWD

サスペンション:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク

ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク

タイヤ&ホイール(リム幅):前255/35ZR20(9.5J) 後315/30ZR21(12J)

0-100km/h加速:3.9秒

最高速度:320km/h

 

ポルシェ 911 GT3(7速PDK)

ボディサイズ:全長4573 全幅1852 全高1279mm

ホイールベース:2457mm

トレッド:前1601 後1553mm

車両重量:1435kg

エンジンタイプ:水平対向6気筒DOHC

総排気量:3996cc

ボア×ストローク:102.0×81.5mm

最高出力:375kW(510ps)/8400rpm

最大トルク:470Nm/6100rpm

トランスミッション:7速PDK

駆動方式:RWD

サスペンション:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク

ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク

タイヤ&ホイール(リム幅):前255/35ZR20(9.5J) 後315/30ZR21(12J)

0-100km/h加速:3.4秒

最高速度:318km/h

 

 

【問い合わせ】

ポルシェ コンタクト

TEL 0120-846-911

 

 

【関連リンク】

・ポルシェ 公式サイト

https://www.porsche.com/japan/jp/