キャデラック リリックが「ほぼ量産」の姿を公開! 高級車ブランド肝煎りの第1弾EVを小川フミオが解説

公開日 : 2021/04/22 17:55 最終更新日 : 2021/04/22 17:55


キャデラック リリックのフロントビュー

Cadillac Lyriq

キャデラック リリック

 

 

プロトタイプながら「量産車とほぼ同じ」

 

キャデラックがピュアEV「リリック(Lyriq)」のプロトタイプを、2021年4月20日に開幕した第19回「上海自動車ショー(Auto Shanghai 2021)」に出展。ついに、というべきか、キャデラックがEVメーカーになる日まで秒読みの段階に入ったのだ。

 

全長5m近いクロスオーバータイプの斬新なスタイリングを特徴とするモデルで、しかもキャデラックでは今回のプロトタイプをして「量産車とほぼ同じ」としているのも、話題性に拍車をかけている。

 

キャデラック リリックのフロントビュー

キャデラックが2022年第1四半期に生産開始する次世代電気自動車「リリック」。コンセプトカーのように前衛的なスタイルながら、ほぼ量産に近い仕様だという。

 

キャデラックの次世代EVを先導する1台

 

リリックは、2019年1月にプロトタイプが発表された。のちにキャデラック自身が「2030年には内燃機関のクルマの生産をやめる」と発表したことも手伝って、米国のみならず、世界的に話題を集めてきたモデルである。

 

全長4996mm、全高1623mmのファストバックタイプのボディを、3094mmというロングホイールベースを持つシャシーに載せている。255kWの電気モーターを1基使う後輪駆動システムと、パワフルなわりにシンプルなドライブトレインというのも、ユニークな構成といえる。

 

上海ショーでの一般公開に先だって、キャデラックではオンラインで記者会見を実施。そこには、キャデラックのグローバルバイスプレジデントのロリー・ハービー氏が登場し、「これからキャデラックはEVを発表していきます。リリックはその第一弾として記念すべきモデル」とぶちあげた。

 

テストコースを走行するキャデラック リリックのプロトタイプ

米ミシガン州ミルフォードにあるGMのテストコースを走行する、キャデラック リリックのプロトタイプ。本国では2021年9月から予約受付をスタートする。

 

発売時期は当初予定よりも“繰り上げ”

 

特筆すべきは、リリックはお披露目されたプロトタイプとほぼ同じスタイルで登場すること。そしてもうひとつ、2022年第1四半期に発売と、当初発表されていた計画より9ヵ月も前倒しになったことである。

 

「このクルマで大事なのは、他と大きな差別化を生むデザインです」。ハービー氏がそう語るとおり、躍動的なプロファイル(サイドビュー)とともに、アグレッシブともいえる印象のフロントマスクが目を惹くモデルだ。

 

キャデラック リリックのフロントフェイス

キャデラック リリックのフロントフェイスには、無数のLEDが嵌め込まれている。キーをもった乗員が近づくと、照明が次々点灯して出迎えをするという。

 

無数のLEDで表情を作るフロントマスク

 

「リリックで注目していただきたいのは、クリスタルブラックフェイスと私たちが呼んでいるフロントマスク。無数ともいえる小さなLEDランプを入れて表情を作っています。システムをスタートさせると、シークエンシャルにライトが灯り、キャデラックのエンブレムである“クレスト”の輪郭をかたちづくります」

 

キャデラックでデザインを統括するエグゼクティブディレクター・オブ・キャデラックデザインのアンドリュー・スミス氏も、オンラインでの発表の場に登場し、デザインの要諦を語った。

 

ドライバーが近づいたことをクルマが検知するとウェルカムライトが灯るなど、「クルマが目をさます」(スミス氏)。いわゆるユーザーエクスペリエンスの一環であり、ほかの機能については、このさきの発表を待つ楽しみが残された。

 

キャデラック リリックのコクピット

キャデラック リリックのコクピットには、湾曲した超ワイド型高精細ディスプレイを搭載。レーザーエッチングを駆使したウッド×メタル製加飾パネルなど、新しい装飾にもチャレンジしている。

 

33インチの超高解像度ディスプレイを搭載

 

「キャデラックはこれまでにも、(1999年に始まった)アート&サイエンスのモットーを掲げるなどして、大胆なデザインをクリエイトしてきました。私が考えるキャデラックのデザインは、ファッションデザインとの共通点があります。それは“変わること”あるいは“変えること”を是としている点であります。リリックは、あたらしい時代のキャデラックの出発点です」

 

ちなみにデザイン面でのもうひとつの見せ場はインテリア。33インチという大型のディスプレイによる多機能性とともに、10億色の表示が可能という高解像度もセリングポイントなのだという。ロータリー式コントローラーに内部からのドアオープナーにいたるまで、操作類の仕上げにも徹底的にこだわったそうだ。

 

キャデラック リリックのラゲッジコンパートメント

SUVとシューティングブレークの中間ともいえるプロポーションをもつキャデラック リリック。EV専用車台の恩恵により、キャビンもラゲッジコンパートメントも広々としている。

 

500km弱の航続距離を標榜

 

リリックが用いるのはEV専用のプラットフォーム。搭載するドライブトレインは、12個のモジュールによる100kWhのバッテリーを使用。これによって、航続距離は300マイル(約483km)が可能とされている。同時にモーターは先にも触れたように225KWの出力と、440Nmの最大トルクを生む。

 

現在は後輪駆動であるものの「将来的には4WDや、スポーツモデルだってありえます」と、リリックの開発を担当したチーフエンジニアのジェイミー・ブリューワー氏が、やはりオンラインの画面のなかから教えてくれた。

 

キャデラック リリックの充電ポート

キャデラック リリックの充電ポート。190kWの急速充電なら、10分で約120km分のチャージができる。

 

車両価格は邦貨で約560万円から

 

ブリューワー氏によると、今回ショーに展示されたモデルは、専門用語でいうとプリプロダクションモデル。「ここから、ステアリング、ハンドリング、セイフティ、空力、ノイズ、バイブレーション、ハーシュネスなど、あらゆる分野での性能をブラッシュアップして量産モデルを仕上げる段階です」とのこと。

 

操作性としては、ワンペダル走行と、キャデラックが傘下にいるゼネラルモーターズ独自のブレーキ回生レベル可変システム「リジェン・オンデマンド」の採用が特徴だ。ステアリングホイールの操作パドルで、ブレーキングから停止にいたるまでの減速度合いを調整できるのだそうだ。

 

キャデラック リリックのリヤビュー

アウディ e-tronやBMW iX、ジャガー Iペイスなどにとって、かなりの強敵となりそうなキャデラック リリック。2021年4月のアカデミー賞では、新しいキャンペーンCMが放送されるという。

 

価格は北米で5万1990ドル(約560万円)と発表されている。キャデラックでは、ジャガー Iペイス(同7万1000ドル=約760万円)やアウディ e-tron(同6万9995ドル=約750万円))を引き合いに出し、価格競争力の高さも喧伝している。

 

 

REPORT/小川フミオ(Fumio OGAWA)

 

 

【SPECIFICATIONS】

キャデラック リリック(北米仕様プリプロダクションモデル)

ボディサイズ:全長4996 全幅1977 全高1623mm

ホイールベース:3094mm

車両重量:2545kg

モーター:永久同期式×1

最高出力:255kW(340hp)

最大トルク:440Nm

バッテリー容量:100kWh

航続距離:約483km(社内測定値)

トランスミッション:1速

駆動方式:RWD

サスペンション:前後5リンク

 

 

【問い合わせ】

GMジャパン・カスタマーセンター

TEL 0120-711-276

 

 

【関連リンク】

・キャデラック公式サイト

https://www.cadillacjapan.com