ランボルギーニ ウラカンで選ぶべきはペルフォルマンテかEVOか? 乗り味の違いを検証する【Playback GENROQ 2019】

公開日 : 2021/04/23 17:55 最終更新日 : 2021/04/23 17:55

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ランボルギーニ ウラカン ペルフォルマンテ スパイダーの走行シーン

Lamborghini Huracan Performante Spyder

ランボルギーニ ウラカン ペルフォルマンテ スパイダー

 

 

完璧主義のアスリート

 

ランボルギーニ史上最高の運動能力を実現したペルフォルマンテはEVOの母体となったと言えるモデルだ。果たして両車の間にはどのような類似点と相違点が存在するのか。改めてペルフォルマンテを検証してみよう。

 

ランボルギーニ ウラカン ペルフォルマンテ スパイダーのリヤスタイル

スパイダーはキャビンより後方が独自のデザインとなる。専用のバンパーやエアロパーツがペルフォルマンテの高性能をアピールする。

 

「ペルフォルマンテの高性能に扱いやすさをプラスしたEVO。その違いを再検証」

 

バーレーンでウラカンEVOに試乗してからおよそ一週間後。ボクはウラカン ペルフォルマンテで東京から箱根へと向かっていた。EVOに乗ってそのすごさに感動した後、ペルフォルマンテとの違いを確認したくなったのだ。

 

EVOはペルフォルマンテをベースとして生まれたクルマである。640ps、600Nmを発揮するV10エンジンはペルフォルマンテから移植され、どちらもAWDを採用する。大きな違いはEVOはウラカン初となるAWSを搭載し、LDVIと呼ばれるフィードフォワード技術を取り入れた車両統合制御機能が採用されており、一方ペルフォルマンテはALAと名付けられたアクティブ・エアロダイナミクスが搭載され、またランボルギーニが開発したフォージド・コンポジットと呼ばれるカーボン素材が多用されている。他にも違う部分は多々あるが、ざっくりと言えばペルフォルマンテの高性能により扱いやすさをプラスしたのがEVOだということになるのだろう。

 

ランボルギーニ ウラカン ペルフォルマンテ スパイダーのインテリア

アルカンターラとフォージド・コンポジットで覆われたインテリア。Dシェイプのステアリング下部にはANIMAの切り替えスイッチが備わる。

 

「速さを最優先したペルフォルマンテと、実用性も考慮したEVO」

 

ペルフォルマンテとEVOの違いは、まず乗り込んだ瞬間に感じることができた。リクライニングや高さ調整機能のないカーボン製のフルバケットシートは、ペルフォルマンテの性格を如実に物語るものだ。ウラカンを日常の買い物に使おうという人はあまりいないだろうが、このシートを見ればペルフォルマンテに乗るのは多少の気合が求められることがわかるだろう。

 

そしてルームミラーを横切る大きなリヤスポイラーの存在。速さを最優先したペルフォルマンテと、実用性も考慮したEVOの違いは、このように走り出してすぐに実感することとなった。EVOにALAを採用しなかった理由をチーフ・テクニカルオフィサーのレッジャーニ氏は「後方視界を妨げたくなかった」と語っていたが、なるほど、その理由は納得だ。

 

ランボルギーニ ウラカン ペルフォルマンテ スパイダーのリヤセクション

ペルフォルマンテのハイライトであるALA。コーナーではエアロベクタリング効果も発生する。素材はフォージド・コンポジットだ。

 

「ALAがもたらす超高速域の安定感は比類がない」

 

もちろん、ALAはその存在感にふさわしく、素晴らしいダウンフォースを発揮する。今回は一般道なのでその効果を実感するほどの速度は出せないが、以前にFSWでペルフォルマンテをドライブした際は、280km/hを超えてもまったく不安を感じないほどクルマは安定していた。あれほど超高速域でも安定していたクルマは他に経験したことがない。一週間前のEVOの試乗では270km/hほどまで出すことができた。もちろん安定はしていたが、ペルフォルマンテのように路面に張り付くような感覚ではなかった。後方視界を取るか、超高速での鬼のようなスタビリティを取るか。もっとも、あのさりげないエアロパーツであれほどの安定感を生み出すEVOも相当にすごいとは言えるが。

 

ちなみに今回試乗したペルフォルマンテはスパイダーボディ。ソフトトップはスイッチひとつでフルオープンにでき、開ければ甲高いV10 NAサウンドをさらに満喫できる。窓を上げていれば風の巻き込みは意外と少なく、真冬でもオープンドライブが楽しめるほど。EVOはまだクーペボディのみだが、いずれはスパイダーが追加されることだろう。

 

ランボルギーニ ウラカン ペルフォルマンテ スパイダーのブレーキ

カーボンコンポジットのローターは、フロントが380mm、リヤが356mmの大きさ。キャリパーはそれぞれ6ポット、4ポットとなる。

 

「繊細なレスポンスと甲高いサウンドは、クルマ好きなら心が踊らないわけがない」

 

高速を降りて、箱根の山へとペルフォルマンテのノーズを向ける。このようなステージで際立つのはV10エンジンの素晴らしさだ。エンジンはmm単位のわずかな右足の動きにも素早く反応し、タコメーターの針を瞬時に踊らせる。その繊細なレスポンスと甲高いサウンドは、クルマ好きなら心が踊らないわけがないだろう。ダウンサイジング流行りの昨今、5.2リッターのNAエンジンを味わえるのは幸せというしかない。

 

コーナー手前でブレーキングしながらシフトダウン、ステアリングを切り込んで、スロットルを開けていく。一連の動きは実にスムーズで、無駄な挙動は一切出ない。ALAがこの峠道ほどの速度でも効果を発揮しているのかはわからないが、コーナーでもクルマは常にフラットでビシッと安定している。また路面のインフォメーションがステアリングからしっかりと伝わってくるので、運転していても非常に安心感があるのだ。またボディ剛性の高さも特筆モノで、オープンボディでありながらボディがきしんだりたわむような感覚はまったくない。

 

ランボルギーニ ウラカン ペルフォルマンテ スパイダーの走行シーン

ウラカン ペルフォルマンテとウラカン EVOは同じ640ps/600Nmを発揮するV10エンジンを搭載するが、車両制御システムの違いが大きい。よりアグレッシブでスキルを必要とするのがペルフォルマンテだと筆者は評価する。

 

「両車の走りに決定的な違いはない。そこにあるのは微妙なベクトルの差異だ」

 

ただ、そのコーナーワークにはやや繊細さがつきまとう。特にこの日は場所によって路面が少し濡れていたせいか、しっかりと荷重をかけてやらないとクルマがどこかに飛んで行ってしまいそうな危うさがあった。峠とサーキットという違いはあるが、EVOはとにかくクルマがグイグイと曲がっていき、多少ラフなアクセル操作でもとにかくクルマは前に進んで行ってくれる。それはまるでクルマが「オレに任せとけ」と言ってくれているような感じだ。かと言って運転している方は、決して乗せられている感じはない。640ps、600Nmを完全にコントロールしている気分で楽しめる。テクノロジーが完全に黒子に徹しているところが、EVOのすごいところだ。

 

対するペルフォルマンテで本当に速く走ろうと思ったら、それなりのスキルが必要となるだろう。逆に言えば、スキルのある人にとっては、ペルフォルマンテは最高の存在になる。自らの腕でこのクルマを完全にコントロールできたなら、それは無上の喜びとなるはずだ。

 

決定的な違いがあるわけではない。両車の間に存在するのは、本当に微妙な走りのベクトルの差異だ。それをあえて世の中に問うランボルギーニ。その姿勢に、スーパースポーツカーの雄としての意地を見るような気がした。

 

 

REPORT/永田元輔(Gensuke NAGATA)
PHOTO/市 健治(Kenji ICHI)

 

 

【SPECIFICATIONS】

ランボルギーニ ウラカン ペルフォルマンテ スパイダー

ボディサイズ:全長4506 全幅1924 全高1180mm
ホイールベース:2620mm
車両重量:1507kg
エンジン:V型10気筒DOHC
ボア×ストローク:84.5×92.8mm
総排気量:5204cc
最高出力:470kW(640ps)/8000rpm
最大トルク:600Nm(78.5kgm)/6500rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク(カーボンセラミック)
タイヤサイズ(リム幅):前245/30R20(8.5J) 後305/30R20(11J)
最高速度:325km/h
0-100km/h加速:3.1秒
車両本体価格:3846万2614円

 

 

※GENROQ 2019年 4月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

 

 

【関連リンク】

・GENROQ  2019年 4月号 電子版

※雑誌版は販売終了