1300ps超のスーパーEV開発をサポート! イタルデザインとウィリアムズが開発した最新アーキテクチャー「EVX」とは? 【動画】

公開日 : 2021/05/03 14:55 最終更新日 : 2021/05/03 14:55

イタルデザインとウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング、様々なボディタイプに対応する電動アーキテクチャー「EVX」を共同開発

アッパープレミアムEVのベースとなる「EVX」

 

イタルデザインとウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング(Williams Advanced Engineering:以下、WAE)が、新たなパートナーシップ契約を締結。このパートナーシップにより、自動車のアッパープレミアムセグメントに、高性能なEV生産システムを供給可能になった。 

 

このジョイントベンチャーでは、WAEが持つ最先端の複合電気自動車用ローリングシャシーとイタルデザインの車両開発完成引き渡しビジネスを組み合わせる。その結果、自動車業界の新規参入企業も既存企業も、電気自動車に関する高度な技術と車両設計・デザインという2つのグローバルリーダーの専門知識を活用し、高性能GT、クロスオーバー、セダンなど、アッパープレミアムEV開発のサポートを受けることができる。

 

新事業の基盤となるのが、WAEが開発した革新的なモジュラー・エレクトリックビークル・プラットフォーム「EVX」だ。EVXは、WAEが持つ電動化、軽量化、革新的なシャシー構造、車両とシステムの統合に関する高度な専門知識を、ひとつの先進的なアーキテクチャーに集約した新たなローリングシャシーとなる。

 

イタルデザインとウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング、様々なボディタイプに対応する電動アーキテクチャー「EVX」を共同開発

EVXはボディ形状や室内への自由度が高いだけでなく、少量生産から1万台までの中規模生産にも対応。そのうち500台はイタル・デザインのトリノ工場での製造にも対応する。

 

少量生産から最大年間1万台まで対応

 

EVXは、現在市販されているこれまでのEVプラットフォームとは異なり、バッテリーケーシングを車体構造の一部として統合。フロントとリヤのシャシー構造はカーボンコンポジット製ケースに取り付けられ、衝突時の荷重は内部の補強材を介して一体型のサイドシルに伝達される。この結果、従来と比較してねじり剛性の向上を達成した。さらに上部構造への依存度が低減されるため、ボディや室内の自由度が大幅に高まることになる。

 

イタルデザインの技術チームは、WAEによるローリングシャシーのEVXをベースに、安全システム、構造、UXデバイスを加えた車両アーキテクチャーを開発。ボディ形状や目的の異なる高性能車両のベースとなるモジュール式プラットフォームを完成させている。

 

この革新的なモジュール式プラットフォームは、イタルデザインのスタイリングチームによるカスタマイズにも対応。マーケティング・ポジションやデザインの方向性など、ブランドの要求に合わせて最終的な車両を形成する。また、EVXは高性能モデルでありながらも市場投入までの時間を短縮。様々な仕様に対応する柔軟性が特徴で、少量・中量生産でありながらも低価格を実現する。最大年間1万台の生産に対応しており、そのうち最大500台はイタルデザインの自社工場で生産することもできる。

 

イタルデザインとウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング、様々なボディタイプに対応する電動アーキテクチャー「EVX」を共同開発

F1だけでなく、フォーミュラEなど様々なモータースポーツにおける経験や知識を持つウィリアムズによって、非常に効率の高い電動パワートレインが完成した。

 

フォーミュラEで鍛えられた電動パワートレイン技術

 

モールドコンポジット構造のバッテリーを採用したEVXは、投資コストとパーツコストの両方を削減。コアパックは、ウィリアムズが参戦するF1などの世界的なモータースポーツや、高性能ロードカープログラムから得た知識・経験をベースにWAE社が独自に設計した。

 

EVXでは、1000kWの出力と104kWh~120kWhのエネルギー供給能力が確保され、モジュール設計の柔軟性によって最大160kWhまでのバッテリーパック拡張が可能。最大航続距離は1000kmまで延長することができる。

 

WAEは、2014年に最初のサプライヤーとしてFIAフォーミュラE世界選手権の全車両にバッテリーシステムを供給した経験を持ち、2022-23年シーズンのフォーミュラEに対する供給も決まった。さらにETCRやエクストリームEにもバッテリーシステムを供給しており、高性能電動ロードカーに関して10年以上もの豊富な経験を保有している。

 

イタルデザインとウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング、様々なボディタイプに対応する電動アーキテクチャー「EVX」を共同開発

EVXは、これから電気自動車ビジネスへの参入を計画しているスタートアップ企業だけでなく、自社のラインナップ拡充を狙う従来メーカーの需要にも応えることになる。

 

スタートアップ企業から既存メーカーにまで対応

 

EVXは2900mmから3100mmのホイールベースに対応し、後輪駆動と4輪駆動のレイアウトを選択することが可能になっている。再生複合材とアルミニウムを組み合わせ、軽量でありながらも高いねじり剛性も確保するなど、クラス最高レベルの性能と軽量化を実現。EVXは優れた空力特性と安全性を備えた柔軟な電動パワートレインとして、多くのメーカーの選択肢に入ってくることが想定されている。

 

WAEのテクニカルディレクター、ポール・マクナマラはイタルデザインと共同開発されたEVXについて次のように説明する。

 

「今回、イタルデザインとのコラボレーションが実現したことを大変嬉しく思います。高性能な電気自動車の需要は日増しに増加し続けていますが、これまでフルパッケージ状態のEV用製造ソリューションは存在しませんでした。EVXは最先端のEV用ローリングシャシー技術を持つ我々と、世界有数の車体エンジニアリング企業であるイタルデザインとを結びつけるものです」

 

「このパートナーシップにより、プレミアムカーメーカーは業界をリードする専門知識を自社のラインナップに活用することができます。私たちは、新規参入企業が初のEVを市場に投入したり、既存企業が少量生産の高性能モデルを開発する際にも、各国のホモロゲーションを含めた全てのプロジェクトを一括してサポートすることができるでしょう」

 

イタルデザインのアントニオ・キャスCTOは、次のように付け加えた。

 

「53年に及ぶ設計・エンジニアリング開発の経験を持つ我々イタルデザインの役割は、WAEが開発したローリングシャシーを完全な市販モデル用プラットフォームへと進化させることです。私たちはカスタマーが求めるボディスタイル、アーキテクチャー、コンテンツに合わせることができます。過去50年間、国際的な企業や新興企業を問わず様々な顧客のニーズに応えてきた実績があります」

 

「GT、セダン、クロスオーバー、コンバーチブル、内外装ともに完全にカスタマイズ可能な車両アーキテクチャーの開発を目指しています。私たちは、限定シリーズから年間1万台までの様々な生産量をカバーするビジネスケースを目標としています。そして、そのうち500台をイタルデザインのトリノ工場で製造することができます」